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先月(2017年8月)

竹内 佐和子さんのレビュー一覧

投稿者:竹内 佐和子

3 件中 1 件~ 3 件を表示

21世紀の都市プランナーを目指す人々に都市再生の方向を示す。国家主導でない小さな公共性を重視する

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 まちづくりの大切さは誰もが感じているが,そのきっかけがつかめない。その理由を都市計画という観点から解き明かそうとした書である。都市計画はややもすると公共事業優先論につながり,大きな公共性を代表する国に住民が対立するという不幸な垂直的構図ができあがる。しかし,これからはNPO(非営利組織),住民,自治体,企業,国家が水平的関係に転換することが都市計画のポイントだという。上からの公共性に変わって,下からの公共性の構築を優先させようという視点から,都市計画を刷新するための画期的提案がいたるところに描かれている。理論面,実践面の話が相互に出てくるので,現場で悩むプランナーや住民向け実践マニュアルとしても活用できる。
 住民からのフィードバックを組み込んだ顧客志向型の計画体系への転換,そのための政策評価の導入はその1例である。一方通行の政策形成からマネジメント型への転換だが,膨大な量の事業評価,政策評価をだれがこなせるのか。生活の質評価のために第3者がどこまでかかわれるのか不明な点は多い。行政サイドには住民や企業を低くみる発想が強い。この点は司法や自治体の組織改革を組み込んだ評価体制の確立に期待しよう。
 最終章では,21世紀の都市デザインへの大胆な提案がある。国土空間を将来目標値によって引っ張るという国家統治型計画は時代遅れとなり,社会運営の場として都市空間が活用される。都市間競争に向けた都市計画の戦略的活用,地域社会の運営母体,市民ネットワーク型の統合体としての発展の方向を踏まえて,広域的な都市田園構想,自治体主導型事業体系,公共施設の管理体系の一体化など具体的提案がなされる。ぼんやりと感じていた時代の変化がはっきりと整理され,21世紀の都市再生の道標が見えてくる気がする。都市はまた,政治経済学で用いられる「社会的厚生」という抽象概念に具体的イメージを与えるきっかけにもなるだろう。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本自由と経済開発

2000/11/08 12:15

経済開発を市民的自由獲得のプロセスとして描き出し,経済学の倫理性を掘り起こしてくれる本

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 日本の戦後50年間の経済発展は,企業という受け皿を活用して,労働人口を吸収し所得獲得のチャンスを拡大していった。経済の拡大と公共事業の拡大は人々の豊かさと機会の平等に無限に貢献すると思われた。
 しかし,90年代以降経済指標がマイナスを記録する中で,われわれが享受する物質的豊かさは,みずからの運命を切り開いていく能力に結びついていないのでないかという疑念を抱くようになっている。
 アマルティア・センはこの著『自由と経済開発』の中で,先進国,発展途上国を問わず,経済開発の目的を工業化,GDPといった一国全体の経済指標で語ることに疑念を投げかけ,本当の目的は人々が享受する真の自由を拡大するプロセスだという視点を強調する。真の自由とは,人間がみずからの価値観と目的を基準に環境を変化させていく能動的力のことであり,それを潜在能力と定義する。
 潜在能力の拡大に必要な条件とは,途上国においては飢餓,栄養失調による若死の減少,計算能力,政治体制への異議申し立ての自由などである。自由な経済取引の拡大,市場の拡大はこの観点からプラスと評価する。先進国では,所得の不平等を過大視する傾向があり,補助金,失業手当の拡大が,かえって個人の責任と自由度を低下させてしまうという懸念を表明する。
 ここまでは経済自由主義賛成論のように見えるが,実は経済学が拠って立つ功利主義的発想には批判的である。効用学派は効用の総和を考えるが,幸福の分配度を考えていないからである。その代替案として,市場の活用と社会的機会の増大を組み合わせるという総合的アプローチを提唱する。
 セン教授の論理構成は,アジアに見られる強力なり−ダー達による統制型経済や大きな政府への体制批判と受け取られる部分がある。しかし本質的な論点はそこにない。むしろ,社会体制への批判的能力をなくし,貧しい人達が貧しさゆえに,変化をもたらす勇気さえ失っていくプロセスに人間として耐えがたいという感性に裏打ちされている。
 経済的自由や市民的自由という用語は,これまで日本やアジアでは西欧的価値観の所産だという見方が強かった。この見解に対しては強い警戒感を表明している。こういった見方をする人々が,結局は既成勢力を強め,人間の潜在能力拡大のチャンスを喪失させる危険性が大と考えるからである。アジア,西欧を問わず,地域社会への参加,生活の場を自ら再編し,創造する意欲は,人間として普遍的な価値基準だという意思表明は,市民意識の高まりをこれまでの東洋,西洋といった価値分類から開放してくれる。
 それにしても物的豊かさの中で,民主主義的な政治的参加のしくみを作れず,もがき苦しんでいる日本の国会をみるにつけ,経済開発の次のステップに勇気をもって挑戦しなければならないという意欲を沸き立たせてくれる本である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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一極型国土構造を分散型に変えるシナリオと都市の位置付けを明確にした本

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 先の衆議院総選挙では公共事業に対する都市と地方の認識ギャップが浮き彫りになった。この格差を埋めていくには,国土空間をどう活用していくかという抜本的なシナリオが不可欠である。本書は,1998年3月に閣議決定された全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」を材料に,国土空間を新たに設計し直すそうとした意欲的な本である。
 その中で提起された問題は大きくわけて3つある。一つは日本の国土空間をどう分散型に転換するか,第2は政策空間と社会インフラの関係をどう整理するか,第3は都市集積空間をどう再編成するかという点である。
 第一の点については,過去の全総は公共投資の呼び込み合戦を定常化させたという反省に立って,地域が個性を発揮できる多軸型構造実現のための地域政策を提唱する。地域政策単位としては,「機能空間」という概念を使って,生活圏や国際拠点といった水平ネットワーク型「圏域」を基礎に据える。地域政策単位として8都市圏案を推奨している。社会インフラ整備は,都市間の高速通信基盤を基礎に,研究開発,医療・福祉,教育・文化,環境基盤など高次のサービスの機能的連携を促す地域連携軸を提唱する。次に,知識産業を大都市圏から地域へ分散し,「知的資本」に基づく新産業を創出する風土こそ,地域インフラの原点であり,大規模公共投資依存を停止すべきだと主張する。最後に,都市の階層化要因として,情報管理能力や取引機能というソフトの能力に注目し,情報と資金の地域循環を階層的に組み合わせることが大切だという結論にいたる。
 行政区域と縦割り予算型で展開されてきた公共投資を,機能空間に見合ったものに転換させるべきという本書の主張は,日本の計画論に不足していた空間経営論の研究を飛躍的に増大させるきっかけになるだろう。
(C) ブックレビュー社 2000

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