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名護すえ子/ライター・編集者さんのレビュー一覧

投稿者:名護すえ子/ライター・編集者

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心がカチカチになったとき、何度でも読み返したい

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「彼女が紡ぎだす人間模様をもっと知りたい」。読んだ後にきっとそう思う人は多いに違いない、と感じた。彼女とは「SMの女王様」でもある著者の藤森直子さん。ただし、この『ファッキン ブルー フィルム』は人の目を気にしながら読む内容ではない。確かにSM愛好者との交わりもあるし、「えっ、そんなことまでするの?」とページをすっ飛ばしたくなる描写もある。とはいえこれは、本の最後に田口ランディさんが「解説」しているとおり、アダルト本ではないしエロ本でもない。自由な選択肢を望む、多面性をもった現代に生きる女性を魅了する「人間回復系癒し本」といえる。単純にカテゴリー分けできないこの不思議な本を、どこのコーナーに置くかで書店のセンスがわかる、と私は思う。

この本は、藤森さんのホームページに連載された「1999年8月〜2000年4月」までの日記をまとめたもの。ランディさんはじめ、毎日その更新を楽しみにしている数多くのファンがいるという。それはそうだろう。小説のような様々な出来事と鋭い人間観察。読み手として「もっともっと」と感じるのはうなずける。そしてその言葉のセンスのよさ。「真実の中の嘘に私は気をつけたい。嘘の中の真実をすくいとる目を私は持ちたい」、「誰かの哀しみに触れたことなしに大きくなっちゃったら、その人は年は食ってても大人じゃないと思う」、「おまえの中の変態を私がぜんぶ見てあげるよ」、「私はコミュニケーション乞食が大嫌いだ」、「幸せっていうものは線としては存在しない、それは点として時々、訪れるもの」。どんな経験をしたら、こんな言葉を言えるんだろう。私は本を読みながら、付箋と蛍光ペンを手元においた。いつでも読みたいときにその文字に出会えるように。付箋の数はどんどん増えていく。それほど心に響いてくる言葉がつまっているのである。また日記のひとつひとつのタイトルがこれまたセンスがいい。その羅列だけでも十分堪能できる。

そして最後にまるで小説のクライマックスを見せられたような、心臓に銃を突きつけられたような、強い衝撃を受けたエピソードがある。藤森さんはある男性とある契約をしていた。2人はメールで連絡を取り合い、待ち合わせをしてセックスをする。ただし決して一言も言葉を交わしてはいけない。ほんとうに言葉が必要なときは、お金を払う。藤森さん百万円、相手の男性は一千万円。「ほんとうに百万円分の価値のある言葉ってなんだろう」。私はどきどきしながらその言葉が発せられる瞬間を待った。2人の言葉に私は泣かされた。そして考えさせられた。私だったら何と言うのだろうか。彼女にすべて賛同する必要はないが、彼女が投げた石をどう自分が返すのか、試されている気がする本である。
(名護すえ子/ライター・編集者/2001.4.12)

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