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先月(2017年8月)

柴田 昌治さんのレビュー一覧

投稿者:柴田 昌治

1 件中 1 件~ 1 件を表示

企業組織を複雑系とみなして自律的に進化させていく試みは,具体的にどのように展開されているか

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 ビジネスをとりまく世界で「複雑性をどうマネジメントするか」という新しいテーマが注目されるようになったのは,1990年代に入ってからである。日本では90年代も後半になってようやく関心もやや具体的になってきたように思われるが,アメリカではすでに90年代前半から「自律的エージェントによる自己組織化」を明確に意識し,組織を進化させていく試みがなされていた。
 本書は,ユニバーサルバンクの雄であるシティバンクがさらなる市場対応力とスピード経営の強化をめざして取り組んだ複雑系マネジメントの実践のもようを,かつて同社に在籍していた著者が内側から紹介したものである。アメリカで実際に,シティバンクのような先進的な企業を舞台に組織を進化させているという事実,そして,それが確実に成果をもたらしているという事実を書き記しているところに本書の大きな意義がある。
 アメリカではよくありがちなのだが,あまりにも複雑系モデルを先行させすぎて“理論のための理論の説明”というきらいはあるにしても(事実から説き起こすという姿勢が弱い),4つのルールを共有しながら個人がエネルギーを発散させていくアプローチや後半の実践パートは,複雑系モデルの具体的な展開イメージを見せてくれる内容として興味深い。
 ただし本書の場合,読み手が前提として複雑系に関する知識を下敷きとしてもっているか,実際にこのような組織の進化を促すような活動の経験がないと,せっかくの実践例も実感をもって理解できないだろう。そういう意味では実践の手引きとしては考えにくい。世界でもまだ緒についたばかりの複雑系モデルが企業,組織の革新のキーとなることが実践的に示されているという意味での参考の書ととらえたい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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