江上冴子さんのレビュー一覧
投稿者:江上冴子
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紙の本桜咲く、桜散る
2001/07/16 21:33
【著者コメント】青春の思い出と桜
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物語の舞台は、明治後期の東京。
旧制高校に入学するために、群馬から上京してきた主人公・小野沢智和(おのざわ・ともかず)は、老舗のお茶問屋である「江南園」の末の坊ちゃん・南条貴臣(なんじょう・たかおみ)の書生になる。
智和の仕えることになった『坊ちゃん』こと貴臣は、垢抜けた美貌で大学でも秀才の誉れが高いが、プライドが高く神経質。人嫌いで家族ともうちとけず、『勉強にさわるから』と一人で離れに暮らしている。
智和は、貴臣の度を越えた我ままぶりに、面食らい、戸惑いながらも、持ち前の明るさと素直さで、一心に彼に尽くす。忌まわしい出生の秘密を胸に秘め、誰にも心を許さず、学問を武器に孤独に閉じこもっていた貴臣が、書生である智和の誠意と献身によって、少しずつ素直な気持ちを表わすようになる。しかし、平穏な日々は、そう長くは続かなかった。
「桜咲く、桜散る」のタイトル通り、冒頭の桜吹雪のシーンに始まり、クライマックスの夜桜、ラストシーンで風に舞う桜まで、青春の象徴として、同じ桜が、それぞれの色で描かれる。
出会いと別れ、青春のきらめきを四季折々の花に託してつづられた、著者の記念碑的処女長篇。
表題作「桜咲く、桜散る」の他に、番外編「夏椿」を収録。
<追記>表紙と口絵の桜の写真は、1999年の春にヴィジュアル・プランナーである藤原圭人(作家・榊原史保美の別名)によって東京都内で撮影された、撮り下ろし作品。
◇江上冴子公式HP
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