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先月(2017年4月)

浅田 一さんのレビュー一覧

投稿者:浅田 一

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本走るアジア遅れる日本

2001/04/20 15:16

通貨危機後のアジア各国は大きく変化した。それに気づかず追随できないかに見える日本に対する警鐘の書

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 今なお通貨危機の後遺症を抱えているアジア各国の現状からみて,本書のタイトルに違和感を覚える読者がいても不思議はない。ところが現実には著者の指摘通り,アジアは危機克服の過程で大きく変化し,同時にアジアの中での日本の存在感が著しく後退している。
 世界銀行が『東アジアの奇跡』の中でアジアの経済発展を高く評価する一方,P.クルーグマンがその著『アジアの奇跡の神話』でアジアの経済成長は要素投入が主因で生産性向上を伴っていないため,その持続性には限界があると指摘したのは,ともに1994年のこと。その後しばらく日本の存在感の高揚は続くものの,通貨危機後のアジアでは様相が一変した。
 各国の国際資本市場での資金調達案件の取りまとめ役(ブック・ランナー)や,金融システム再生のための不良債権・不動産などの資産の証券化(ABS)といった先端的金融技術の分野で日本は欧米系投資銀行に主役の座を奪われた。産業面でも著者が指摘するように,新しいビジネスモデルのEMSが日本を置き去りにして本格的な展開を始めている。本書の第1の特徴は,こうした通貨危機後のアジアの変化とそれに追随できない日本の姿を,豊富なビジネス事例の紹介を通じて具体的に解説していることだ。
 もう1つの特徴は,著者の持論でもあるヒューマン・キャピタル(人的資本)という概念をキーワードに途上国の経済発展を説明する仮説を立てていること。途上国の経済は,テイクオフの初期段階では電力・道路などインフラの制約を取り除くことが必要なため,規制緩和による外国直接投資誘致をテコとする要素投入型の成長が図られるが,テイクオフ後期にはヒューマン・キャピタルの蓄積による生産性向上型成長に移行する,という。この示唆に富む仮説の今後の検証が期待される。
 本書は,著者自身が言う「足で歩いたアジア論」で,通貨危機後のアジアに関する優れたビジネスガイド。アジアに携わる実務家に一読を薦めたい。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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FRB−−ドルの守護神

2001/03/08 15:15

20世紀の国際金融システムの基本構造を解明し,その21世紀におけるありかたを展望

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 国際金融の分野におけるトップレベルの実務家は,国籍や所属組織とはかかわりなく,それぞれの生い立ちに応じてロンドン派とニューヨーク派とに分かれる。ロンドン派はニューヨークを,資本市場であれ為替市場であれ巨大な米国経済の実需に依存する泥臭い市場であるとこき下ろし,ロンドンこそプロフェッショナルが腕を振るうにふさわしい,ソフィスティケートされた国際市場である,とする。一方,ニューヨーク派は,ロンドンなぞ所詮(しょせん),メカニカルな裁定取引主体の根無し草であり,ニューヨークこそ実体を伴う,懐の深い,人間臭い魅力にあふれた市場である,とする。
 経済・市場のグローバル化が極限にまで進行した今日でさえ,肌で実感できる両市場のこうしたフレーバーの相違はなぜ生じたのか。著者の,国際化するニューヨークがパックス・ブリタニカにとって代わろうと試みる過程についての明快な分析と論述に,「目からウロコが落ちる」思いをする読者が多いのではなかろうか。
 また,著者は膨大な先行実証研究のエッセンスを簡潔に分類・紹介しながら,それらを目の前で起きている事象に重ね合わせて見せることによって,現実を解釈する上での確たる座標軸を提供する。ドルの基軸通貨としての地位確立過程とその今日的問題点にかかわる著者の論考の前では,わが国の中央官庁や御用エコノミストたちの「円の国際化」の主張は色あせる。
 ところが著者は,「エピローグ」において日米の金融システムの相違を論じるにあたり,「われわれの思考様式こそが,われわれの経済システムを,ひいては金融システムを作り出し,そして支えてきた」として,経済学の範疇(はんちゅう)を飛び越え,文明論の領域に踏みこむ構えを見せながら,著者自身の見解を封印したまま,論述を閉じてしまうのだ。多くの読者とともに本書の「続編」を是非期待したいものである。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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アジア太平洋共通通貨論

2000/10/06 15:19

風化しつつあるアジア通貨危機を振り返り,その教訓を踏まえて新たな国際通貨制度を提言

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 1997年央に発生したアジア通貨危機から3年が経過し,アジア各国の経済はマクロ指標に見る限りインドネシアを除いておおむね大きく改善しているが,このことがかえって危機当事国のみならず支援国・国際機関の間にも根拠の乏しい楽観論を醸成してしまい,危機の教訓を踏まえた国際通貨制度の再設計(著者の言葉ではインターナショナル・ファイナンシャル・アーキテクチャーの第1層)にかかわる議論の具体的進ちょくを阻害しており,この結果通貨危機の再発に際して試行錯誤が繰り返される危険性がむしろ高まっているように思われる。
 為替管理を一貫して排除し続け,政治的にも「民主化」を達成したインドネシアが深手からの回復に手間取る一方,固定相場制とセットで資本規制を強化したマレーシアが経済再建に向かうという現実を目の当たりにして,通貨危機後の国際通貨制度の設計にかかわる議論は閉塞状態に陥った。現在のワシントン・コンセンサスは,新古典派・リビジョニスト双方を「立てる」形の,ジェフリー・サックスに代表されるフリー・フロート制とルディ・ドーンブッシュに代表されるカレンシー・ボード制との二者択一であるが,本書はこうした両極端の議論の中間に最適解を求めようとする多くの試みの1つであり,その真骨頂は著者の提言の骨格を成す「本章」の部分である。
 著者の主張の特徴は,ナショナリズムの匂う「円の国際化」の議論とは一線を画し,米ドルと人民元にも相応の役割を期待して,APECを共通基軸とするニュメレール通貨の創設を「踏み切り台」として位置づけている点である。わが国の国際経済・金融政策の責任者として国際通貨問題に直接携わってきた著者は,自己目的化しがちな実証分析や詳細な技術論に偏しがちな制度インフラ論,さらにはしばしば非現実的な前提条件から導き出される理論構築といった方法論を排除し,国際金融の「ナマ」の現実の中から最適解を演えきしている。本書は,「現場」ならではの差し迫った危機感と鋭利な問題意識に根差した新しい国際通貨制度の提言であり,優れた啓もう書でもある。
(C) ブックレビュー社 2000

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現在のIMFプログラムの策定プロセスを整理し,有効性を多角的に再検討,IMFの将来のあり方を展望する

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 1997年央に発生したアジア通貨・金融危機に際してIMFが果した役割については多くの議論がなされてきた。海外においては,1999年初,米国議会におけるIMF増資引受承認の過程での国際通貨制度としてのIMF機能の再検討や,同時期のルディ・ドーンブッシュによるIMFの不作為責任論など,「そもそも論」に立ち返った議論が主であった。しかし,本邦においてはIMFの処方せんの有効性に対する批判的な議論がややナショナリスティックなニュアンスで展開されがちであり,こうした議論の中には,著者が指摘する通り「IMFのアプローチについて十分な理解のないままに,非経済学的な側面にのみ焦点を当てた見解」が少なくなかった。
 5年間にわたってIMFエコノミストとしてその経済政策の立案・策定に携わってきた著者は,まずIMFによる経済プログラムの理論的裏付けとその歴史的経験・実績,策定プロセスを詳細に紹介することでこうした感情論を一蹴するとともに,数多くの実証研究を紹介しつつIMFプログラムの現段階における有効性をさまざまな角度から検討し,それらを踏まえて国際機関としてのIMFの将来のあり方を展望している。
 現在のアジア経済はマクロ指標の面ではおおむね順調な回復を見せているものの,次回の危機発生を予防し得る新たな通貨制度についての国際的コンセンサスが形成されていないという「不発弾」を抱えており,特に民間部門の資本取引が再び危機の引き金を引く可能性を否定できない。1998年初における韓国金融機関の外貨債務リスケジューリング以降,アジア各国支援プランに民間部門を(建前上はあくまでも自発的協力の形を取りつつ)巻きこむことが必須であることが明確になったものの,民間のベイル・イン・ルールが確立したわけではない。著者の,経常取引におけるWTOに相当する機能が資本取引については存在しない以上,資本取引規制に関するガイドラインを早急に作成する必要がある,という指摘は当を得ている。
 本書は体系的な学術書であり,現代の国際金融にかかわるフレームワークについての論点を広汎にカバーしている。国際金融の現場に携わる実務家に是非一読を薦めたい。
(C) ブックレビュー社 2000

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