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真野 佳博さんのレビュー一覧

投稿者:真野 佳博

長い進化の歴史を経て,今,見ることができる生き物の不思議。その“不思議さ”はなぜ進化したのか

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 生き物の世界には,不思議なことがいっぱいある。そして,それがどういうわけか,自然界で生きていくうえで,理にかなっていることが多い。理にかなうのが自然であり,それは進化の結果なのではないだろうか。本書は,「“生き物の不思議さ”がなぜ進化したのか」(まえがきより),その理由を探り,数式をまじえながら進化が起きる仕組みについて解説した本である。数式が出てくるが,決して難しいものではなく,高校までの数学の知識で十分理解できる。むしろ,数式を用いることによって理解が促進される。進化生態学あるいは行動生態学と呼ばれる研究分野の入門書であり,一般読者にも分かるように書かれている。
 ダーウィンの提唱した自然淘汰説,そして,その説に基づいて生き物の不思議さを解明するための2つの理論(最適戦略論,ゲーム理論)が紹介され,次いで,さまざまな“生き物の不思議さ”が登場する。たとえば,オスとメスとで外見が大きく異なる生き物についての考察。オスがメスに求愛する生き物の場合,オスは派手で目立つ器官を備えているのに対し,メスはいたって地味なことが多い。鹿やカブトムシのオスには立派な角があるが,メスにはない。また,クジャクというと派手で大きな尾羽を広げた姿を思い浮かべるが,あれはオスであり,メスは極めて地味である。・・・なぜか?
 この疑問に答えてくれるのが,“配偶者を得るうえで有利な性質が進化する”という“性淘汰”の概念である。メスには生涯で生む子供の数に限界があり,また,子を生むために,かなりのエネルギーと時間が必要となる。したがって,メスは生存力が強くて遺伝的に質の高いオスを“慎重に選ぶ”ことになる。大きくて強力な武器を持ったオスは,オスの間で繰り広げられる闘争に有利であり,勝ち残ることができる。オスは多くのメスに求愛して交配し,より多くの子を残そうとする。その結果,“慎重に配偶者を選ぶ”メスに選ばれるための器官がオスに発達した。ちなみに,メスがオスに求愛する生き物の場合は,メスのほうがオスよりも派手なのだそうである。身近なものほど,よく考えてみると不思議なことが多いのであるが,この本を読めば,なるほどとうなづける。
 タカ派とハト派が混在する場合,進化的に安定な状態をとるための戦略とは? “強いものが生き残る”のではなく,“打ち負かされない戦略”が最適戦略なのだそうである。簡単な数式を用いて,争わないことの有利性を解く記述など,政治家を志す人にも必読の書ではないかとも思う。
 本書の内容は多種多彩であり,「親と子の対立」「擬態」「実らない花の不思議」「利他行動の進化」「性転換」「性淘汰」「植物における性表現」など,合計15章と17カ所のコラムからなる。一読すれば,これまでとは違った視点で,生き物の不思議さを見るようになっていることと思う。
(C) ブックレビュー社 2000

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生命科学の実験を着手する際,頼りになるナビゲーター

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 生命科学分野の研究者を志す学生や大学院生,あるいは研究者の卵に対して,自分の実験台(=ベンチ)で実験を始めようとする際の心構え,研究者としてのマナーや常識,さらには実験結果のまとめや発表の仕方までを教える本である。また,通常の実験書には記載されていないような,実験操作上の詳しい解説やノウハウまでもあり,475ページのなかに豊かな情報がぎっしり詰まっている。
 本書は,米国ロックフェラー大学の助教授によって書かれたものの邦訳版である。翻訳されることを意識してかどうかはわからないが,『外国の研究室に入った日本人へのアドバイス』という記述まである。博士研究員として海外での研究生活を始める人も含め,若い学生諸君には,ぜひ一読されるようお薦めしたい。
 生命科学の知識があっても,実際に体を動かして“実験する”ための知識を十分には備えていない。実験しようと思っても,どうしてよいかわからない。そんな人のそんなときに,頼りになる。そして,なによりもうれしいのは,読んでみて楽しい。たとえば,試薬の調製や保存の方法,廃棄物の処理方法,無菌操作のやり方,動物や微生物細胞の培養方法,DNA や RNA を扱う際に気をつけること,遠心機の操作,電気泳動のやり方,顕微鏡の使い方など……,多くの図や表を用いてわかりやすく解説している。また,巻末の索引や用語解説が充実しており,とても使いやすい。
 教える側にとっても,頼もしい助手になってくれる本である。新しく研究室の仲間になった学生や大学院生に“ラボルール(実験室のきまり)”を教える際,大いに助かる。知っている者にとっては,なんでもない操作や言葉でも,知らない者にとっては異次元空間のできごとに近い。教える側としては,それを考慮に入れて説明するものの,毎年繰り返されるとなると実につらい。そんなとき本書には,たとえば無菌操作時の『個別に包装されたピペットの開け方』,遠心分離操作時の『遠心チューブのバランスの合わせかた』などなど,初心者向けの解説までも用意しているので誠にありがたい。大学の先生方にもお薦めの1冊である。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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植物細胞の分裂に関する最新の知見を,遺伝子レベルでまとめた優れた総説集

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 本書は,細胞工学別冊・植物細胞工学シリーズの第13号である。「細胞周期の制御因子」,「細胞周期を支配する細胞内構造」,「オルガネラの分裂制御」,「細胞分裂パターンの決定因子と形態分化」など大きく4つの章からなる。それぞれの章は 3〜4 節からなり,“その分野の代表的な若手研究者(序より)”によって,植物細胞の分裂に関する最新の知見をまとめたものである。優れた総説集であり,植物を研究対象とする大学生,大学院生や研究者などに必見の専門書である。
 植物の体は多くの細胞から構成されている。そのような生き物を多細胞生物と呼び,個々の細胞は同じ遺伝情報を持っている。しかし,個々の細胞の形態や機能はそれぞれ異なり,それらの集合が“組織”や“器官”であり,さらにそれが集まったものが“個体”である。では,その個体は,どのようにして出来上がったのだろうか?
 動物と同様に,植物も受精卵という1個の細胞が「命」のはじまりである。それが細胞分裂を繰り返すことにより,細胞数が増すと同時に発生や分化が起こり,植物の形が作られていく。多くの場合,細胞分裂というと,1つの細胞から同じ形の2つの娘細胞ができることをイメージするが,必ずしもそうではない。例えば,胚発生や花粉形成の過程などでみられる細胞分裂は,形や大きさの異なる娘細胞を生じるタイプであると考えられている。細胞が分裂するとき,形や大きさが同じものに分かれるのか,あるいは,そうならないのかを決定する因子は何か。また,細胞分裂するかしないかを制御する因子は何か。このような細胞分裂の制御機構を,遺伝子レベルで詳しく解説したのが本書である。
 細胞分裂は,あらゆる生命に共通の現象であり,植物と動物から構造や機能のよく似た,細胞分裂関連遺伝子も見つかっている。本書から得られた情報をもとにして,真核生物の細胞分裂制御機構を統一的に理解できるような発想も生まれるかもしれない。

(C)ブックレビュー社2001

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ストライヤー生化学

2000/12/26 15:22

生化学の専門書を代表する一冊。ライフサイエンスを目指す学部学生のよき教科書

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 ストライヤーの「生化学」は,欧米の大学において,生化学の基礎コースのテキストとしてよく用いられる。生命科学,分子生物学,細胞生物学,遺伝子工学,細胞工学などの研究分野を目指す学生に,おすすめの一冊である。原書第4版は1995 年に出版された。原書が世に出てから,すでに5年を経過しているため,内容が少々新しさに欠けるのは仕方ないが,生化学の基礎を修得するには今でも十分に活用できる。
 原書第4版では,「生命の分子設計」,「タンパク:高次構造,動態,機能」,「代謝エネルギー:生成と貯蔵」,「分子構築のための素材の生合成」,「遺伝子:複製と発現」の大きく5つのパートから成り,第3版に比べると項目が整理・統合され,読みやすくなったように思う。特に,タンパク質関連の分野ではそれが著しい。例えば,「生体膜の構造と動的性質」,「シグナル伝達」,「分子モーター」,「タンパクの折りたたみと設計」などの項目において,多くの新しい情報が取り入れられ,内容が充実した。また,カラーの挿し絵や図表が多いので,わかりやすく,見ているだけでも楽しい。
 本書は,原書第4版の日本語訳である。この訳本のよいところは,索引が充実している点である。すなわち,日本語と英語の両方から検索ができ,しかも,日本語索引に英訳,英語索引に和訳が,それぞれキーワードごとについている。従って,“生化学用語集”のような利用も可能になり,付加価値が高まったように思う。ただ,残念なことに,Protein の日本語訳が“タンパク質”ではなく,『タンパク』となっている。まちがいではないのかも知れないが,少々気になる。また,Protein kinase が『タンパクキナーゼ』というのも違和感を覚える。多くの場合,“プロテインキナーゼ”あるいは“タンパク質リン酸化酵素”と訳され,本書と同じ東京化学同人の出版物である分子細胞生物学辞典も,そのようになっている。科学用語は統一されているほうがよいのではなかろうか。
 東京化学同人の専門書は,ありがたいことに安価なものが多い。本書もそれに違わず,A4 よりやや大きめのサイズで,厚さが 4.8 cm もあり,1152 ページという豊かな情報量で,しかも美しいカラー印刷の本が 14,400 円 +(税)で購入できる。お買得である。ちなみに,重さは 2.8 kg あり,持ち運ぶには力が必要となるが,自宅でじっくり読んだり,調べものをするには手応えのある一冊である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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生物時計の分子生物学

2000/10/25 18:15

生物には時を計る遺伝子があり,地球上の生命には24時間の内因性リズムが存在する

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 地球は24時間かけて自転し,そのたびに,昼と夜がやってくる。これは地球が誕生した時からのリズムであり,その地球で生まれた生命が,24時間のリズムに支配されているというから何とも不思議である。地球上の生き物は,動物界,植物界,菌界,原生生物界,原核生物界の大きく5つのグループに分けられるが,そのほとんどすべての生き物に内因性(概日)リズムが存在し,生命は正確に24時間リズムを刻むための“生物時計”(別名:概日時計)を有している。では,その実体は,なにか?
 解剖学的・生理学的研究によって,生物時計がどこにあり,どのような役割を果たしているのかが明らかになった。そして,近年,分子生物学的研究によって,生物時計の実体である“時計遺伝子”が次々と発見され,その発現制御機構やシグナル伝達機構の解明が進んでいる。
 本書は,その生物時計に関する分子生物学分野の最新の研究をまとめた専門書である。原核生物のシアノバクテリア,ミドリゾウリムシやカサノリ,そして哺乳類など,あらゆる生き物を用いて生物時計に関する研究が行われている。本書は,第一線で活躍する研究者によって分担執筆され,多くの図や表を用いて詳しく解説されている。また,各節や項ごとに参考文献が多数引用されているので,容易に原著論文を紐解くこともできる。
 本書を読めば,概日リズム発振機構が地球上のあらゆる生き物に普遍的に存在すること,そして,少なくとも動物界では共通の“時計遺伝子”が概日リズム発振に関与していることなどがわかる。生物時計に興味があり,総説を待ち望んでいた人はもちろんのこと,これからこの分野にかかわろうとする人にとっても,必読の書である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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