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芹川洋一さんのレビュー一覧

投稿者:芹川洋一

2 件中 1 件~ 2 件を表示

日本経済新聞2001/07/01朝刊

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 なぜ日本は戦争に突入し敗戦への道をひた走ったのか、復興の道筋はどのようにして開いていったのか——。本書を読むと、カギを握っていたのは政治指導者で、政治がきちんと機能していたかどうかにかかっていたことが良く分かる。国家としての失敗の教訓も十分に生かされておらず、今なお同じような過ちをおかしているのではないかということも思い知らされる。
 これまでの著書の要約版になっている部分も見受けられるものの、文章のうまさでは定評のある著者ならではの読ませる本に仕上がっている。特に政治リーダー論として面白い。
 二・二六事件から日米開戦までの五年間に誕生した七人の首相について「本物の政治家の名に値する者はいない」と断じる。
 とりわけ、戦争突入を止めることができたはずの近衛文麿に関しては、大事なところでいつもチャンスを逃し、あとで時機遅れのばん回を試みる「機会喪失の名人」と手厳しい。
 占領下では片山哲や芦田均への点数は辛く、吉田茂は「修羅場にあって骨太く方向性を示し、体を張る素養」があったリーダーとして評価する。政治指導者に必要なものは、歴史感覚であり、大局観であり、全体的合理性であるというのが著者の見解だ。
 政治の機能が衰退し、統合機能を欠き、個別的な利害が全体的な合理性を上回ってしまった結果、戦前の日本は破局に向かったとみる。
 いつまでたっても出口が見えず、「経済敗戦」と言われて久しい現状に思いをめぐらせるとき、戦争・占領の歴史は過去の話として年表の上に置き去りにしておいていいものだろうか。
 日清・日露から真珠湾へと突っ走った大日本帝国は軍部の既得権益を抑えることができなかった。戦後の経済大国ニッポンもまた高度成長期の既得権益構造の壁の前であえいでいる。やはり歴史は繰り返すのか。
 小泉ブームが過熱する中で、ちょっと頭を冷やして、政治は、政治指導者は、いかにあるべきかを考えるうえで格好の書である。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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紙の本「普通の国」へ

2000/10/21 00:16

日本経済新聞2000/7/23朝刊

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「神の国」といえば森喜朗首相、「民の国」といえば民主党というように、政界で「普通の国」といえば自由党の小沢一郎党首のことである。それを承知のうえで、あえてタイトルを『「普通の国」へ』としたところに、著者の意図がこめられているようだ。それは、新保守主義のイデオローグとしての自らの立場を明確にし、政治の流れをはっきりと示したいという意思のあらわれではなかろうか。
 収録されているのは、村山政権の後半から小渕政権までの五年間の折々に、日本の政治について、したためた論考である。
 新進党の崩壊で「普通の国」への小沢氏による挑戦は挫折したにもかかわらず、その方向は徐々にだが実現されつつあるというのが著者の基本的な立場だ。従来型の自民党政治への批判や政治のリーダーシップ論と並んで、政権交代可能な野党の存在による緊張感ある政党政治の確立もひとつの基調をなしている。
 分析のさえを見せるのは、歴史との対比で今の政治をとらえ直してみせるくだりである。とくに、全体で八カ所あるが吉野作造を引用しながら、二大政党制や日米同盟の必要性に触れているところなどがそうだ。東大の政治外交史講座の担当として、岡義武—三谷太一郎両教授に続くひ孫弟子にあたる著者には、主な論文発表の場が吉野と同じ中央公論であることも含め、思い入れを感じさせるものがある。
 もう一つのポイントは、安全保障問題だ。政府の憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使が可能になるよう改めるべきだと主張、憲法九条も二項問題ととらえ、その改正を打ち出すなど明快で、賛否は別にして傾聴に値する議論だ。
 確かに「普通の国」の方向に進んでいるように見える。しかし、一方で、著者も指摘するように自民党政治の終わりが見え始めたものの、その先ははっきりしない。将来は過去と現在の延長線上にしかあり得ないとすれば、本書を通して、この五年間を振り返り、日本の政治を考え直してみることは必要な作業だろう。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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