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先月(2017年5月)

渡辺 幹夫さんのレビュー一覧

投稿者:渡辺 幹夫

2 件中 1 件~ 2 件を表示

アジア通貨危機後も一種の固定相場制をとる香港の経済,為替を分析

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 本書は,カレンシーボード制と香港の経済,為替などのマクロのファンダメンタルズとを関連づけながら,総合的に分析し解説を行った本である。カレンシーボード制は為替の固定相場制の一種で,自国通貨をある外国通貨と一定の為替レートで交換することを保証した制度。またカレンシーボード自体は,その制度を実施する金融当局を指す。同制度がうまく機能している国としては,米ドル連動性のカレンシーボード制を導入している香港が挙げられる。
 1997年中旬に発生したアジア通貨危機の際,他のアジア諸国通貨と同様に香港ドルも投機攻撃の対象となった。しかしアジア諸国の多くが固定相場制を放棄し変動相場制に移行することを余儀なくされた一方,香港は度重なる投機攻撃にもかかわらず,カレンシーボード制を存続させることが可能であった。この事実を著者は重視し,本書における分析に着手したものと思われる。
 本書は,次の2点を明らかにすることが目的である。
 第1に,カレンシーボード制がどのような特徴と仕組みをもち,一般的な固定相場制とどのように異なるかを解説し理解を促進させること。カレンシーボード制に対する関心は世界的に高まっているが,一方で同制度は必ずしも正しく認識されておらず,誤った理解にもとづく議論がしばしばみられると,著者は指摘する。
 第2に,香港のカレンシーボード制が長期的に持続可能であるかを検討すること。香港は現在,次の2つの選択に直面しているというのが著者の主張だ。1つは現在の香港の為替制度が既に正統なカレンシーボード制から大きくかい離しており,そのためカレンシーボード制から完全撤退すること。もう1つは引き続きカレンシーボード制を維持すること。ただしこの場合には,同制度の信任をさらに高める方法を考える必要があると指摘する。
 国際通貨に関する経済政策の研究,および香港経済の分析をする上で,本書に書かれている知識は役に立つことであろう。
(C) ブックレビュー社 2000

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プラザ合意後の国際金融問題を理解する一冊。1980年以降の問題について背景や影響も含め解説

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 著者のロバート・ソロモン氏は国際金融問題の世界的権威であり,米国連邦準備制度理事会国際局長,IMF20カ国代理会副議長,ブルッキングス研究所主任研究員などを歴任している。著者の「国際通貨制度——1945〜1981」は国際金融関係の「古典」といわれ5カ国語で出版されているが,本書はその続編という位置付けである。
 サブタイトルにある通り,本書は1980年以降の主な国際金融問題について,その背景や影響も含め解説を行っている。主なテーマは,(1)1980年代前半におけるドル相場の上昇とそれに続く1980年代後半の下落,(2)1980年代における発展途上国債務危機問題,(3)欧州における経済通貨統合,(4)中央計画経済から市場経済への体制移行諸国と国際金融への影響,(5)1990年代の国際資本移動とその影響(特にアジア通貨危機とその背景),(6)国際通貨システムの現状と今後の展望などである。プラザ合意前後以降の国際金融問題を理解するには,格好の一冊といえよう。
(C) ブックレビュー社 2000

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