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先月(2017年6月)

鈴木 博之さんのレビュー一覧

投稿者:鈴木 博之

1 件中 1 件~ 1 件を表示

彫刻とランドスケープ・デザインの間,アメリカと日本の間を駆け抜けた芸術家の作品論

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 イサム・ノグチのデザインのうちで,もっともよく知られたものは,球形の提灯の形をした紙張りの照明器具であろう。これは日本でもアメリカでも,しばしば見受けられ,日米どちらの室内にも,意外にマッチするのである。しかしながら本来彼は彫刻家であり,しかもランドスケープ・デザインや遊具もつくる多彩な芸術家であった。
 在米の日本人詩人野口米次郎とアメリカの著述家レオニー・ギルモアとの間に生まれた彼は,日系2世としてふたつの文化の間を生きた芸術家である。本書はそのイサム・ノグチを,ランドスケープ・デザイナーとしての仕事を中心に据えてたどった作品集であり,作家論である。著者アナ・マリア・トーレスは,イサム・ノグチ研究で学位論文をまとめたスペイン出身のランドスケープ・デザイナー。
 複雑な国際結婚のなかで,故郷喪失の感覚に陥ったイサム・ノグチは,日本の文化に自己のアイデンティティーを見い出すとともに,アメリカ的国際感覚のなかでそれを開花させる。ニューヨークの国連ビル前の広場の造形,パリのユネスコ本部前の日本庭園など,ランドスケープ・デザイナーとして大成していく。一方で,彼はアメリカ人だという理由で広島平和記念公園計画のなかでの仕事から外されたり,アメリカの批評家から東洋人として偏見に満ちた評を浴びせられたりもした。結局,ひとつの文化に固着するのではなく,文化の接点のなかに自己の作風を築くのである。
 日本でも,東京の草月会館の入口,最高裁判所の中庭など,多くの仕事を残している。ニューヨークと四国にアトリエをもって,ふたつの文化の間を行き来しながら創作をつづけたのだった。
 作品を整然とたどっていく著者の叙述は明晰(めいせき)であるが,彫刻家としてのノグチ,照明器具のデザイナーとしてのノグチにはあまり触れない。また,彼の人格的内面への追究もそれほど行なわれるわけではない。むしろイサム・ノグチのランドスケープ・デザイン作品集としてゆっくり眺めながら,読み進むべき書物であろう。
(C) ブッククレビュー社 2000

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