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  3. 田島安江さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年6月)

田島安江さんのレビュー一覧

投稿者:田島安江

17 件中 1 件~ 15 件を表示

読むより眺めている気分

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

最初、読んだとき、普通でないから、いいって、ごく単純に思ってしまったが、普通でないというのは、つまりは、普通であろうとする必要はないということだろう。
そう思いながら読み返すと、際だって高い感受性の回路が見えてくるのだ。

 夜明け前 誰も守らぬ信号が海の手前で瞬いている
 残酷に恋が終わって、世界ではつけまつげの需要がまたひとつ
 可能性。すぺての恋は恋の死へ一直線に墜ちてゆくこと

いま、伝統的な短詩型文学がおもしろいと思う。短歌、俳句、川柳、そして、現代詩。この歌集の感覚はまさに、その「いま」を表現している。もしかしたら、歌集という既成のジャンルではくくれない、新しい文学スタイルといった方がわかりやすいかも知れない。

 目覚めたら息まっしろで、これはもう、ほんかくてきよ、ほんかくてき
 
ありきたりのメルヘンにも、定型詩にも満足できない人にとって、この型破りとも思える表現形式が実に楽しいと映るにちがいない。けっきょく、文学は楽しくないとだめだということだ。こんな短歌が毎日、送られてくるというのは、ゾクゾクするほど、新鮮で、刺激的なことに違いない。

 午前四時半の私を抱きしめてくれるドーナツショップがないの

さて、この歌集は、突然舞い込んできたまみという女の子との手紙のやりとりを短歌という形式で表現しているが、書き方が現実離れしているように見えて、ある意味、とてもリアルで・・・。

 ドアの前で目があったときこの部屋に入りたそうにしてたゴキブリ 
 眼ってのは外に出てきた脳なんですってね。感心しました、脳か。
 
若い女の子はある時期、とても繊細で、どうにもこうにも手を付けられないところがある。この歌集は、そんな一時期の女の子の心象風景を描き出していて、危ういけれど、妙に新鮮で魅力的なのだ。

 のぞきこむだけで誰もが引き返すまみの心のみずうみのこと
 なめとって応急処置をしておこう、うなずきあって舌を準備す

それにもう一つ、この本は表紙の絵と挿画がいい。タカノ綾の描くまみや妹のゆゆ、黒ウサギのにんには中性的だが、それでいて、ときにまみは、紛れもないエロティックな女に見えたりする。タカノ綾がこっそり魔法をかけたみたいに。

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健康と自然は同義語

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 健康と自然は同義語
 健康な心と体を持つ人は、自然に近いし、自然の中にいると、自分自身を素直に表現できるということだ。というわけで、自然に近い生活をするならまず食事から。最近、自然食に関する本が数多く出版されているが、中でも、自然食と健康の関係を長い間研究している高畑康子氏の本も含めて何冊か紹介してみたい。

 最新刊の『玄米を手軽に美味しく食べる本』は、ここまできてはじめて到達できたという究極の玄米食である。といってもあの圧力鍋を使って炊く玄米ご飯ではない。手軽に使える玄米粉を使って、ご飯はもちろんパンや麺類、スープ、飲みものと自在に使える。しかも、この玄米粉のすごいところは、欠陥のある食品と組み合わせると、その欠陥を是正してくれるというのである。詳しい料理法が写真入りで紹介されている。

 その玄米粉の効用を知るには、玄米粉そのものがなぜ、健康にいいかを知ることだ。それが『玄米粉食健康法の奇跡』だ。その書で鶴見隆史氏は、玄米が体によいとわかっていても、ぜいたくに慣れた現代の日本人にはなかなか受けいれられにくい。だが玄米粉なら、様々な料理に使え、ベーシックな意味で価値の高い食べ物ではないかと述べている。

 同じ高畑氏の『健康自然食料理入門』は変わりご飯や野菜のポタージュ、汁物からお菓子まで自然食料理の基礎が紹介されている。自然食料理がこんなに彩り豊かなのかと思わず「目からうろこ」の一冊である。

 『粗食のすすめ』はやはり定番ものとして一冊はきちんと読んでおきたい。現代日本人の食生活にメスを当て、食生活改善という以前からのテーマを再確認するだけでなく、「危険な食生活度テスト」によって、自分の食事がチェックできる。健康で長生きしたい人にはバイブルといえるかもしれない。

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紙の本トリエステの坂道

2001/06/11 14:45

詩人とともに歩く

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ユダヤの血を受けた詩人サバに惹かれて彼の詩を辿る短い旅をしたときのことを綴った「トリエステの坂道」はことに印象的だ。ホテルに着いた翌朝、遅い朝食のあと、ふと立ったレストランのベランダで、坂を上りきった賑やかな通りで敦子はサバに出合う。特にベランダでの描写がいい。敦子が「大きな白い花束のような」と形容した群れ飛ぶカモメと遥か向こうに広がるアドリア海。20年前に逝った夫との思い出を彩ったサバの詩。私ははじめて知った「トリエステ」という街のたたずまいを敦子とともに辿る。詩人の中の異国性とそこに思いをはせる敦子。読んだ私もまた、イタリアに住んで後、日本に暮らすようになった敦子の中に不意に訪れる異国性に思いをはせる。そこには、同じ思いが流れていた。外国に暮らした人に必ずといっていいほど訪れる感覚である。私の中で忘れていたカナダに暮らした思い出の風景がふいに立ち上がってくるのと同じ感覚だった。敦子の愛した異国イタリアは、だからこそ、意味を持って私の前に在るのだ。

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紙の本ヴェネツィアの宿

2001/06/11 14:43

短編集を読む味わい

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須賀敦子は初めから物語りを綴るために生まれて来た人ではなかったかと思いつつ、私はこの本におさめられている12の物語を読んだ。珠玉の短編集を読む味わいといっていいだろうか。特に私はイタリアでの日々を語った物語の間にそっと差し込まれている、敦子の両親の物語に惹かれた。ある日突然愛人の元に去った父と取り残された母。20才だった敦子は両親の間で苦悩し、考えた末にもう一度二人を結びつける。そしてある日、ガンに侵されて余命いくばくもない父のために帰国しようとする敦子のもとに、一度も土産を欲しいといったことのない父からその代理人を通して、土産を依頼される。それは父が若き日のヨーロッパ旅行で乗った「オリエント・エキスプレス」で使われているコーヒー・カップだった。やっと帰り着いた敦子の顔とそのカップをみて、安心したかのように永遠の眠りに就いた父と娘との心の通い合いが切なく美しい。

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16歳の少女の転落と再生の物語

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 ニューヨーク、グランド・セントラル駅。それは私が何度かニューヨークに滞在したとき、乗り降りしたことのあるどっしりとした巨大な地下鉄の駅だ。迷路のように入り組んでいて、何度も出口を間違えた。なんと16歳のティーナをはじめ、エイプリルやジャッキー、コーリーなど、多くの若者があの駅でホームレス生活をしていたというのだ。その誰もが、心と体を温め合う、肉親や仲間を求めている。ニューヨークの冬は寒い。ティーナたちはどのようにここですごしたのだろうか、と、さまざまな思いがよぎる。
 「どうなってもいい」といいながら、一方では、まっとうな暮らしに憧れている。更生への道に一歩踏み出しながら、また、元の生活に戻る。このホームレス生活から脱却できたのはティーナただ一人だけだという。その分かれ目は何だったのか。ドラッグに溺れながらも、こんな生活をしていてはいけないと仲間で語り合い、なのにまた、ドラッグに手を出してしまう。いかにも、不安定で危うい。
平行して語られるのは、ティーナの親友エイプリルの救いようのない転落の軌跡だ。友人はいう。「エイプリルは自分の魂をクラックの悪魔に売ってるんだ」という。そして、彼女はティーナが刑務所にいる間に自殺してしまう。この世でたった一人、愛した人を救えなかったという自責の念。でも、いつしか、ティーナはエイプリルの分まで生きようと決心するのだ。
 ドラッグや売春、窃盗、レイプなど、ティーナの転落の過程は痛ましいというほかない。だからこそ、その再生の物語は、読む人の心を強くとらえて離さないのだ。この優れたノンフィクションは、転落と復活の二つのルートを交互に読み進むという、珍しいスタイルをとっている。いつの間にか、ティーナとともにニューヨークの街を歩いていた。

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時のかけらたち

2001/06/11 14:47

須賀敦子の愛したイタリアの原点

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須賀敦子の描くイタリアは他の誰とも違っていた。「ヴェネツィアの悲しみ」もまた私には思いがけない物語だった。たとえば、女がウソをついたといって本気で腹を立てるヴェネツィア男なんていないらしい。ということは、女が本当の事をいってもウソだと思われるのかも知れないなあなどと思うのだが。また、島であるヴェネツィアが16世紀に「夢の部分と蔭の部分に別れた」という表現にははっとさせられた。こんな表現もあるのかと。そしてそれこそが「ヴェネツィアの悲しみ」でもあったのだ。須賀敦子という人の表現力の素晴らしさを今さらながらに感じた。
読んでいて思わず立ち止まってしまったのは「舗石を敷いた道」だ。人はある日、忘れてしまった光景を突然思い出すことがある。その時に出会った人のことなど少しも思い出せないのに、なぜかひと握りの光景だけが妙にリアルに思い出されるといったような。敦子にとっての白い舗石はイタリアで暮らした日々の思い出のかけらそのものであった。

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ミラノ霧の風景

2001/06/11 14:41

魅力あふれる人、街

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須賀敦子が描くナポリやミラノは、誰も書かなかった街だ。そこには必ず、敦子にとって忘れがたい人々がともに登場するからである。敦子の描く人々はそれぞれが個性的で読んだ途端、私にとっても忘れがたい人になってしまう。「退屈な長ばなしをする」を「ボタンをつける」と表現することから、「ボタンつけのマリア」と呼ばれるマリア・ボットーニの話しは特に興味深い。マリアとの出会いが須賀敦子をイタリアへと誘い、早くして亡くなった夫と敦子を結びつけたのがほかならぬマリアであったこと。収容所で辛い日々を過ごした過去をはじめてマリアが語ったとき、マリア自身のそして、マリアと敦子との間の長い旅もまた終わるのである。人との出会いが偶然に見えて実は必然であることをそれは物語っているのである。

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紙の本つきあいベタでいいんです

2001/06/09 19:22

だれかとコミュニケーションする方法

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前の4冊とは少し趣が違う。友だち付き合いのノウハウがやさしい文章とやわらかいタッチのイラストで綴られているからだ。ここに書かれているのは、人付き合いの基本になるようなこと。人付き合いが苦手だと思っている人にとって、この本はほっとさせられる。結構付き合いよさそうにみえて、実は苦手という人にはなおさらだ。電話が苦手なら手紙を書くといいといわれると納得できる。笑ってしまったのは「開かずの扉」だ。確かに人が訪ねてき来たとき、忙しくて片付けるひまなどないときの開かずの扉はありがたい。人付き合いが苦手という前に少しだけ自分を押し出してみるのは確かに大事だろう。どこから運が開けるかわからない。人との出会いがなければなにも始まらないからだ。

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紙の本理想の自分をつくる50の方法

2001/06/09 19:18

小さなことから始められる

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吉沢深雪という人は不思議な人だ。とても些細なことがとても大切なことに思えてくる。毎日の生活の中で、少しずつ、忘れていた自分を取り戻す方法を教えてくれる。お勧めは片づけや掃除。タナの中を片付けたり、玄関の掃除をしたり。片づけって、気分転換にはぴったりなのだ。部屋がすっきり片づいてくると自分の内面も片づいてくる。つまりは自分の中をすっきり整理すること。タナの奥にしまったまま忘れていた何かを発見して心が安らぐように、自分の中の何かを発見することができるなら、それはすごく心癒される事に違いない。自分表現の方法がたくさんみつかりそうな気がしてくるからだ。

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かっこよくなくても潔くありたい

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「たまらない女」で、アッといわせたはにわきみこの第二弾。「たまらない女」とは、便秘に悩み、あらゆる手段を使って便秘解消に取り組んだ極めてリアルで現実的なテーマだったが……。その彼女が今回は、落ち込んだ自分を引っ張りあげるためのあらゆる手段を公開する。その方法のすべてが、何かを始めること。たしかにひたすら落ち込んで、こもっていてもそこからはなにも始まらない。うーん、やっぱり自分も何か始めて見るかという気分にさせてくれる不思議な本だ。

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辛い自分を辛いと認める

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このbk1で占い(bk1ホロスコープ)を担当しているフォーチュン・カウンセラー、上田麻結の初めてのエッセイ集だ。エッセイといっても内容は、落ち込んでめげていたり、自分に参っていたりする人に立ち直るきっかけの作り方、自分を誉めてあげる方法などが書いてある。ありのままの自分を素直に認めることから、始まるということだ。自分に自信を持つなんて、すごく難しい。うまくいっているようにみえるのに、どうしてそんなにめげないといけないのと言いたくなることも多い。「コンプレックス」は自分の宝物だという上田麻結。その彼女だから言えることがいっぱい詰まった本。自分を励まし、何かを始めるきっかけがきっと見つかるだろう。
(田島安江/ライター&エディター)

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紙の本ベロニカは死ぬことにした

2001/03/22 17:40

生きるとは…

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 敬愛するブラジルの作家パウロ・コェーリョの作品『アルケミスト』に出会ったとき、私は病院のベッドにいた。腰痛で動けなかったのだ。心因性だとわかったのはずっと後のことである。私はこの本に魅了され、心にとどめた。そしてまた巡り会ったのが『ベロニカは死ぬことにした』である。まるで何かの符合のようにぴたりと。

 さて、この本の主人公ベロニカは一度自分を殺そうとする。が、精神病院のベッドで目覚めたベロニカにとっては、自分が生きていることがすぐには信じられない。死ぬことに失敗したけれど、心臓が弱っていて、後5日しか生きられないと聞かされるのだが。多重人格、躁鬱病・・・。この世界では、狂気こそが普通である。ここにいれば、何をしても許される。だが、やがて外での暮らしを考えはじめたとき・・・。外の世界では、夢見ることは許されないとしたら・・・。本を読んだたくさんの「私」や「あなた」は、生きるにはどうしたらいいかを突きつけられるだろう。作者パウロが実際に突きつけられたように。ベロニカが生きられるなら、多くの「私」や「あなた」もまた生きられるだろう。

☆自分自身に気づきたい人は、著者パウロ氏へのインタビュー記事をぜひ!

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夫と一緒の墓に入りたくない妻たち

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 墓に入るのは死後のこと、「だから、元気なうちは関係ない」などというのは通用しない時代らしい。確かに墓は先祖代々につながる家制度の継承である。夫、あるいは夫の家族と一緒の墓に入りたくないという妻が増えているというのもうなずける。
つまりは死後離婚である。
 この本に挙げられている例はすさまじい。妻が自分のためだけの墓を買ってやっと安心して生きられるという例を読むと、家族の業というものを実感させられる。自分の墓を買うことでやっと自分の居場所ができたと考える若い妻の例も挙げられている。心のわだかまりは死後にまで持ち込みたくない、それならいっそ一人でというわけである。
 葬儀はしない、たとえしても地味葬でという例。あるいは、葬儀や墓のことなど事細かな遺言を書き残す人など、現代という時代は死後の世界まで選べるのかと改めて、自分の行く末を考えてしまう。新しい葬儀のあり方や自由墓の求め方まで紹介されていて、墓が動き出したという言葉が実感できる。家族という一番身近な人との関わりを見直すには格好の1冊である。

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奪われし未来

2001/01/29 17:52

女性科学者は警告する

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「環境汚染」「環境破壊」「環境ホルモン」これら、20世紀から21世紀にかけての最大の関心事となった現実をこれほど的確にしかも何の科学的知識のないものにも分かりやすく説明してくれた本は、他にないだろう。本書は3人の共著である。女性科学者シーア・コルボーンは、2000年のブルー・プラネット賞を受賞した。薬剤師の彼女は51歳で大学に入りなおし、生態学で修士号を、58歳で動物学の博士号を取得している。
 その彼女が、世界中からかき集めた膨大な資料を次々と読みながら、世界の野生動物の身に起こったことは、いったい何を意味するのか、その謎を解こうとするところから、本書は始まる。その優れたドキュメンタリータッチの文章は、まるでミステリーを読みとくような迫力を持って読者を謎解きの世界へと誘っていく。ジャーナリストのダイアン・ダマノスキのペンの力だ。そして環境問題と核戦争廃絶に取り組んできたジョン・ピーターソン・マイヤーズ。3人の個性がこの本に深みと説得力とを与えている。
 これが書かれたおよそ30年前の1962年、アメリカではすでに『沈黙の春』という化学物質への鋭い警告の書が発表されている。その優れて先見的な書の作者はレイチェル・カーソン。以来、ずっと環境問題のバイブルと呼ばれている。彼女もまたアメリカの女性科学者である。農薬や殺虫剤の恐るべき害を説いたが、その毒性についての警告が、より多くの人々に届くには、時間が必要だった。その間にも、世界のあらゆる場所で相変わらず化学物質は生産され続け、地球を覆い尽くすことになってしまった。
 確かにこの本の内容は衝撃的であり、どんなミステリーよりもミステリー的である。バラバラに散らばっていた論文の指し示すいくつものピースが、ある日、ぴたりとはまる。ジグソーパズルが一つの絵を浮かび上がらせたのだ。
 それは恐ろしい結果を示していた。誰もが日常的に接しているプラスチックや殺虫剤、そして、合成化学物質であるDDT、PCB、ダイオキシンなど、これら地球上でもっとも有害な化学物質は自然界の水や空気、動物の体内、植物の中にも蓄積されている。地球上に安全で汚れなき場所など望むべくもないというのだ。そして自分たちの作り出した合成化学物質について人類は驚くほど無知であるといわれると一言もない。世界にはなんと約10万種類もの合成化学物質があり、その全てがこの視点で検証されれば、もっと多くの結論が導き出されてくるだろう。
 さて、コルボーンが「有毒の遺産」と名づけた化学物質は、食物連鎖によって、野生動物の種を超えて次々に子孫へと受け継がれていくことがわかってきた。そして、有害な化学物質は生殖を司る内分泌系のホルモンを撹乱しているという結論を導き出したのである。精子が減り、オスのメス化、メスのオス化が進み、両性具有もふえているというのだ。
 環境ホルモン、すなわち内分泌系撹乱化学物質は、まるでしのびよる陰なる殺人者である。何十年にもわたって蓄積され、それを解消するには、それよりも多くの月日が必要である。私たちにいったいどうすることが出来るというのだろう。自分の「健康や幸福が実は自然界のシステムに根ざしているという事実をつい忘れてしまっている」それをもう一度思い出すべきだと、彼女はいうのだが。
 コルボーンはあるテレビのインタビューに答えて次のようなことを話していた。「21世紀は内なる小宇宙である私たちの体内に目を向けるべき時代になる。そこに何が起こっているか、新しい内なる宇宙に学ぶべき時代の訪れなのだ」と。
 レイチェル・カーソンとシーア・コルボーン、この二人の女性科学者は男性が築いた科学偏重の20世紀から、私たちの生きている地球と私たち自身の声にしっかり耳を傾けるべき21世紀へと時代は移ったと告げている。女性の視点を信じるべきだと。

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紙の本水野葉子のオーガニックノート

2001/01/25 13:13

安全な食品を見分ける法

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 安全な食べ物を食べたいと思ったら、自分で探さないといけない時代である。目安は無農薬栽培、減農薬栽培、そして有機栽培。お店でこの表示を探す。しかし、この表示の違いとその意味するところを私たちはどれだけ正確に知っているだろうか。日本初のIOIA認定トレーニングコーディネーターとなった著者が検査の方法や言葉の違いを分かりやすくまた興味深い表現で教えてくれる。

 無農薬や有機栽培による農業は、今までの農業を根本的に見直すことになった。それはずっと昔の私たちの祖先の農業のやり方だ。実際に食べてみるとその柔らかさとおいしさに驚く。どうして、こんな大切な事を忘れていたのだろうと思う。

 そして、著者の思いは環境運動へと広がっていく。自分の身のまわりの小さな事から、それははじめられる。何よりも力強いのは、自分が病気になり、抗生物質漬けにならず、オーガニックの食事で治したこと。体験に基づいた内容は説得力がある。

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