とばさんのレビュー一覧
投稿者:とば
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2000/08/04 17:35
つのぶえからあふれてくるよ、色とりどりの美酒(うまざけ)が!
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この本がどんなに希有な本であるか、まずは訳者のお一人、矢川澄子さんによる解説から。今から二百年ほど前に出版された、ドイツのマザーグースともいうべき同名の詩集(六百編ほどの民謡が収められている)から、あまり長たらしいものや抹香くさいものを省き、ごく親しみやすくわかりやすいものを選んだとの由。ちなみに76編。
さらに引用。この十八世紀後半、疾風怒濤(シュトルム・ウント・ドラング)時代は、ドイツ民族本来の魂の声に耳をかたむけようという気運が高まった。この期の世界にほこる二つのすばらしい仕事こそ、グリム童話集であり、『少年の魔法のつのぶえ』である。
解説にはさらに、ハイネのこの詩集に対する手放しの賛美やマーラーやブラームスといった名前もあがっている。
もうこの解説だけで十分心引かれたこととは思いますが。
第一部「こどものうた、くらしのうた」には、めえめえ子やぎ、おんどりちゃんとめんどりちゃんのこわい話、こどもがすききらいを言うときetc.。
第二部「さまざまな愛のうた、ものがたりうた」には、わすれなぐさ、おさそい、愛のおこないetc.。
では一編取り上げてみます。タイトルは、「おそすぎて」。
「かあさんかあさん おなかがすいた
パンをくれなきゃ死んじゃうよ」
まあ おまち かわいいぼうや
あしたは種まきするからねかくして、まあ おまち、あしたは刈りいれ、あしたは籾うち・・・続きます。結果は??
そう、「パンがようやくやけたとき
こどもはすでに死んでいた」
もちろん、愛らしい唄、甘い唄、おいしい唄もどっさりあります。
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