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石原 功雄さんのレビュー一覧

投稿者:石原 功雄

3 件中 1 件~ 3 件を表示

あつれきによる危機をチャンスへ—在米日本企業現地法人の問題解決にみるグローバルマネジメントへの道

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 海外の現地法人を運営することは,それを設立する事よりはるかに難しいと言われている。
 本書の著者は,長年にわたり米国で日本企業の現地法人のコンサルタントを務めてきた,日米の文化に精通した2人の米国人である。在米日本企業現地法人で実際に起こったあつれきのケースをもとに,その原因,解決のプロセスを説く。
 本書によれば1997年米国商務省発表の,在米日本企業の現地法人数は3,241社,雇用米国人数75万8000人の多くに達しているとの事である。今後,職場における日米間のあつれきの増大が予想され,これらの解明と解決が緊急の課題であるとしている。
 著者は職場におけるあつれきの根本的な原因は,異なる文化の相互作用の結果であるとし,著者が実際にかかわった8つの紛争のケースを,取り上げている。
 不良品発生解決のため,ローカルスタッフに毎晩7時から8時までのミーティングを課したケース。ローカルスタッフに対する研修。責任と権限の問題。昇格,昇給のペース。従業員の成績評価および還元。営業目標の設定に対するローカルスタッフの参加。男女機会均等の問題。本社に製品を発注しようとした際に,根回しの不足から,現地法人の日本人および本社の協力を得られず,大口の契約を失ったケース。本音は時間外の場でのみ語る日本人管理者。目標の大幅達成祝賀会でも,さらに気を引き締めさせる日本人管理者など。いずれも日本人派遣社員であれば,誰でも身に覚えのありそうなケースである。
 それぞれについて,問題の確認明確化その問題の背景にある文化,価値観の相違の検討本社,現地間の関係の検討紛争解決に向けての,双方の融和の達成,目標戦略,行動計画の設定,実施効果の測定解決策の制度化という7段階のプロセスモデルに添った解決の過程を明らかにする。
 著者はケースごとに,丹念に繰り返し問題の背景にある両国文化の基本的な相違,例えば企業に対する価値観の相違,本音と建前,面子(めんつ)について日米間の考えの違いなどを明らかにする。この辺りは両国の文化に精通した著者の手によるものだけに,極めて説得的で比較文化論のおもむきすらある。また日米双方が真面目に誠実に取り組めば,必ず問題解決の道があることを示す。そして,日米双方の文化の上に立った第三の文化を作り上げるのが最も効率的であるとし,それは危機をチャンスに変えることであるとする。
 書中にも述べられている通り,この視点はグローバルに通用するだろう。海外拠点で働く日本人,管理職にあるローカルスタッフはもちろん,海外オペレーションを有する企業の本部スタッフなどにとって,一読の価値は十分にあろう。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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転換期にある生命保険会社の金融リスクを多面的,実証的に鋭く分析。示唆に富む提言も多数

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 本書は,財団法人生命保険文化研究所のなかで1998年に発足した,小川英治一橋大学教授を座長とする研究者,実務家からなる「生命保険金融リスク研究会」の研究の成果をまとめたものである。
 書中で述べられているように生命保険会社は,その資産・負債構造面で他の金融機関に見られない固有の問題を抱えている。すなわち負債サイドでは資産運用の結果如何を問わず,長期にわたり固定された予定利率を支払い続けなければならない義務を負い,さらに資産運用が予定利率を上回れば配当として保険契約者に支払う,と言ったコールオプションとしての性格をもあわせ持っている。一方,資産サイドは長期にマッチングする円建ての運用資産を十分確保することが困難であること,あるいは保険料の平準払いという性格から,現物資産のみで将来の保険料のヘッジが難しい,といった事柄などである。
 このような生命保険会社のALM上の金融リスクをまず第1部でとり上げ,直接的な価格変動リスク,為替リスク,信用リスクなどの観点からの効率的な資産配分の問題を第2部で,さらに生命保険会社固有の経営,組織上のリスクをも第3部で論じるなど,ALMの問題のみならず,生命保険会社を取り巻く金融リスク上の問題を多面的にカバーしている。
 長期化している超低金利の下で逆ザヤ問題が象徴するように,生命保険会社の体力には翳りが窺え,進行しつつある規制緩和の動きとあいまって,生命保険会社の経営は大きな変換点を迎えている。本書は,こうした問題を考えていく上で数々の示唆に富んだ提言を行っている。また,進んだ数学,統計学を用いた研究成果である市場,ポートフォリオ理論に基づく実証的な分析も示している。この分野の1990年代後半での研究成果を知る上でも興味深い。
(C) ブッククレビュー社 2000

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自己責任時代の生命保険に対するパースペクティブ・ビュー。高齢化社会における私的生保の果たす役割も提言

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 最近,生命保険会社の相次ぐ破綻や,高齢化社会を迎えての老後の生活問題,規制緩和による商品の多様化などから,生命保険に関しても一層の自己責任が求められつつあり,生保に対する関心が高まっている。こうした傾向から,生保に関してハウツー物の本を多く見かけるようになったが,国民経済,法的側面までを包括的にカバーし,論じた本は少ない。
 この点本書は,住友生命保険相互会社,及び住友生命総合研究所の実務経験の長いスタッフが,立命館大学での講義をベースに共同執筆したとされ,今後の高齢化社会における私的生保の果たす役割についても提言がなされており,広範,かつ立体的な構成になっている。
 本書の第1部では,米国や英国における金融制度改革と生保のかかわり,日本の金融制度改革の動向と生保の位置づけ,日本の生保の抱える問題,特に相互会社の株式会社化,逆ざや問題,倒産法制,時価会計などのアップデートな問題について論じている。また,郵貯,簡保については,まず加入限度の引き下げから今後段階的に民営化をはかるべきであると提言している。
 第2部では,生命保険の歴史,理論,事業の現状,商品,さらには約款,保険事業法といった,部外者にはやや分かりにくい分野についてもポイントを平易に述べている。
 第3部では,急速に高齢化時代を迎えつつある我が国における社会保険制度の問題点について述べると共に,個人の「長生きするリスク」への自助努力としての私的保険の果たしうる役割分担について,年金,医療保険,介護保険分野に関し提言を行っている。
(C) ブッククレビュー社 2000

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