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先月(2017年8月)

杉上晴美さんのレビュー一覧

投稿者:杉上晴美

3 件中 1 件~ 3 件を表示

日経エコロジー2000/03/01

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エコデザイン
 例えば10年前と現在では、市場から「良い企業」として評価されるための条件は大きく変わった。株主重視などもそのひとつだが、もちろん環境への取り組みも不可欠になっている。
 製品開発はもとより、グリーン調達やゴミを排出しないゼロエミッションなど企業全体での対応が問われるのだ。この傾向が、今後ますます強まるのはまず間違いない。
 こうした工業化社会の新局面を、本書は、「エコデザイン」というキーワードを使い、豊富な事例とともに解説する。エコデザインとは耳慣れない言葉だが、単に商品のデザインを指すのではなく、企業、或いは社会全体のグリーン化をいう。
 すでに先進的な企業が採用した環境会計や、商品の環境への影響を評価する方法など参考になるテーマを取り上げているが、優れたエコデザインとして100種類の商品やサービスを紹介しているところも興味深い。
サービスへ広がるエコデザイン環境の時代、脱物質経済を提唱
 レンタルの掃除機、パッケージが要らない音楽配信サービス、紙ゴミを文具などに再生する共同事業、さらにエコファンドなどを取り上げており、新たなアイデアで環境対応が進んでいることがわかる。モノづくりだけでなく、新しいシステムをつくり上げている点が、エコデザインの広がりを象徴しているようだ。
 地球が持続可能な発展をするためには、もはや従来型の大量生産・大量消費というスタイルを続けていくことはできない。筆者は、この脱物質経済という視点からエコデザインの必要性を唱える。その主張からは、環境破壊への悲壮な危機感はなく、むしろパラダイム・シフトに前向きに挑む科学者の姿勢が感じられて、頼もしい。
 東京大学生産技術研究所の教授という肩書を見ると、堅い本なのではないかという先入観を持ちそうだ。しかし説明は丁寧で、図表がふんだんに盛りこまれているためか、さほど難解という印象は受けない。「フーテンの寅さんは持続可能な小売業者なのでエコデザイナー」「われわれも一日4時間も働かなかった江戸時代の大工に学んで、資源の過剰消費を避けよう」といったくだけた記述も気分をほぐしてくれる。
Copyright (c)1998-2001 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

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日経エコロジー1999/12/8

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かつて多くの日本人は、自家用車や大型冷蔵庫など、アメリカのテレビドラマが映し出す豊かな暮らしに惹きつけられた。そんな豊かさへの憧れは、高度成長を大きく推し進めた。
 時代を経て、今、日本の家庭にはモノが溢れる。「既にあらゆる商品が行きわたり、売るべき品がない」とメーカーや小売業者が嘆くほどだ。しかし豊かさの裏で環境汚染やゴミ問題は深刻化している。さらに新たな汚染の恐怖も生まれた。隣国の中国でも、自動車の台数が急速に増え、排気ガスによる酸性雨など国境を越えた環境問題が日本の住民を不安にさせている。
 全人類がこのまま物質的な豊かさを追い求めていけば、早晩、地球環境は破壊される。そこで本書は「地球を持続させる」という視点から、先進国の生活の質は下げず、かつ発展段階の国々の生活水準を引き上げながら生活様式を転換しようと訴える。
人類による資源共有を提唱真の豊かさとは何かを追求
そのために、著者は、地球の資源を人類の共有財産ととらえ、一人あたりの消費量を考えながら有効利用の道を探ろう、と説く。まるでジョン・レノンの名曲「イマジン」を思わせる理想論のようだが、中身は具体的だ。
 例えば、商品を生産する企業に向けては、1章を割いて、材料管理や技術革新によって生産効率を10倍に改善するよう呼びかける。できるだけ少ない資源で、できるだけ多くの商品を作れ、というわけだ。一方、消費者に対しては、商品を購入する時には、その商品を製造・販売する過程で環境にどれだけ負荷を与えたかを考えよう、無駄な消費はやめようと啓蒙を試みる。
 本書を読んで、いま一度、自分の周りを見まわして、改めて納得する人は多いのではないか。著者が「(資源の無駄遣いである)過剰消費の問題は、物質主義を卒業して初めて取り組める」というように、モノが溢れる暮らしと、真の豊かさは決してイコールではない。
 より多くのモノを買うために長時間働けば、ゆとりある暮らしは遠のいていく。個人が、どんな人生を送るかという問題が、実は地球環境さえ変えてしまうことを、本書は気づかせてくれる。
Copyright (c)1998-2000 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

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日経エコロジー1999/7/8

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 話題を呼んだバイアグラのスピード承認からほどなくして、経口避妊薬である低容量のピルが解禁されることとなったのは記憶に新しい。多くのマスコミもこのニュースを取り上げたが、その内容は解禁歓迎の色合いが濃く、本書が取り上げたようなピルと発ガン性の関連、さらにピルの成分に生体をかく乱する「環境ホルモン」が含まれるといった疑いについての報道は、ほとんど見受けられなかった。現段階では因果関係を立証できないと言ってしまえばそれまでだが、ならば今までの規制は何だったのか、との疑問が残る。
 ピルだけではない。本書はほかにも、焼却炉から発生するダイオキシンをはじめ、医薬品から生活用品、建築資材などに含まれる化学物質と、その周辺で発生している各種のガンや化学物質過敏症に代表される疾病・症状を詳しく紹介している。
 化学物質による人体への影響は、いまだ解明されていない部分も多い。だが消費者優位の時代を迎え、化学物質を巡っては、作る側、売る側のリスクが高まっている。ひとたび因果関係が認められれば、その賠償負担、倫理上の責任は、製造業者はもとより販売を承認する行政など、製品を世に送り出す側を足許から揺るがしかねない。
 ではどうすれば、消費者も作る側も、安全で快適な環境を享受できるようになるのか。この点について本書は、上述したような警告を発するだけでなく、環境対策の先進国であるドイツの取り組みを記しており、興味を引く。
 すでにドイツでは、包装材の回収・リサイクルの仕組みが大規模にネットワーク化されている。さらに、リサイクルにかかるエネルギーとコストそのものを削るために、製造段階からゴミを出さないようにする「発生抑制」から始まって、容器を再利用する「リユース」への動きも盛んだという。
 今後、こうした環境運動が必要になるであろう日本の読者としては、一連の取り組みを実現させるためにドイツがたどったプロセスも知りたいところだが、それは次回以降の著作に期待することにしよう。
Copyright (c)1998-2000 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

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