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先月(2017年4月)

清水俊弘さんのレビュー一覧

投稿者:清水俊弘

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9月27日今日のおすすめ書評

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 カンボジアの首都プノンペンにあるトゥールスレイン虐殺資料館には、今も25年前の虐殺の傷痕が生々しく残る。本書は、百万を越える人々が「不自然」な死に方をしたと言われるポル・ポト時代を、最愛の家族を失いながらも必死に生き抜いた幼い少女の証言である。

 クメール・ルージュがプノンペンを制圧した日、幼いルオンは、両親、兄弟、姉妹とともに住み慣れた街から農村部へと追い立てられる。行き着いた農村で彼女らを迎えたのは、謎のオンカーに忠誠を誓う黒装束の兵士達だった。彼らは、ルオン一家ら都市からの住民に対し男女問わず過酷な労働を強いる。配給される食事は少なく、見る間に衰弱していく姉や妹。感染症にかかり腹痛に苦しむ姉は、見せかけの病棟で何の治療も施されず絶命する。涙に暮れるのも束の間、今度は父親が、そして母までもが兵士に連れられていった。

 7人兄弟の下から2番目、末っ子を可愛がる周囲の愛を引き付けたくわがままに育ったルオン。「お父さんのひざにずっと座っていたい」彼女は連れて行かれた父の夢を見る。幼くして家族のぬくもりを奪われ、常に飢えと死の恐怖と背中合わせの生活を余儀なくされる。愛する親に甘える夢を断たれた彼女は、両親や姉の敵を取りたいと憎しみの炎を燃やす。「心を占めているのは復讐と殺人のことだけだ」。ルオンは、優しさや悲しみの感覚を麻痺させることで、精神の均衡を保とうとした。

 長年続いた紛争の末残された地雷の数は400万を越え、死傷者の数は今でも年間1000人に及ぶ。これらの問題は、今もこの国の発展を妨げる大きな壁として立ちはだかっている。著者は、現在、米国を拠点に地雷廃絶のためのキャンペーンのスポークスパーソンとして活躍している。彼女がポル・ポト時代に抱いた怒りは、紛争終結後も市民を巻き込む地雷に向けられ、世界を駆け回る。
 心の中に今も残る悪夢を振り払うために。

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