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先月(2017年6月)

富田俊基さんのレビュー一覧

投稿者:富田俊基

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明るい21世紀の構築に向けて

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 景気のためなら何でもあり、という経済政策は、国民をどこに連れて行こうとしているのだろうか。「消費税は上がるんですか」という小学生の質問に、為政者はきちんと答えることができるのだろうか。最新の経済学の成果を踏まえて、井堀教授は、財政赤字についての「正しい」考え方をわかりやすく丁寧に、論述する。
 外国の投資家が保有するのが「悪い」国債で、日本人が持つ内国債ならば「良い」国債であると、通説のように理解されているが、いずれもきちんと返済されるのであれば、損得勘定は同じなので、外国債の場合に特別の負担が日本経済に発生するわけではないと、教授は喝破する。
 そして、返す当てがあれば、「良い」財政赤字だが、返す当てのないものは「悪い」財政赤字であると再定義している。将来の経済成長があまり期待できない時に、わが国は効果の乏しくなった景気対策を繰り返した結果、返す当てのない「悪い」国債を累増させてしまった。このため、いずれ財政再建に取り組まねばならない。
 財政健全化のメリットは、国民に広く均しくゆきわたるので、誰もがそれに只乗りしようとする。とくに、連立政権の場合、連立与党のなかに増税や歳出削減が負担となる少数政党が大きな影響力を持ち、実施が困難となる。しかし、先送りするほど、将来の増税規模は大きくなり、実施がより困難になり、マーケットは日本国債に高い金利を求める、と教授は指摘する。
 では、どうするべきか。米国では、ベビーブーマー世代を代表するクリントン大統領のもとで財政健全化が進んだ。彼らの長期的な負担を緩和するには、現在赤字の削減が必要だからである。短期的な視野の高齢者の声が政治に強く反映される現行の選挙制度を、年齢別の単純小選挙区に改めるよう教授は提言する。また、財政健全化が進んだイタリアの事例を踏まえ、少数政党が拒否権を持っている連立政権の場合には、歳出削減と増税とを並行させて進めるビッグバン方式が必要だ、と教授は指摘する。
 最後に教授は、財政再建のプログラムを提示する。まず2003年までの第1段階では社会保障、地方財政、公共投資の構造改革を、そして第2段階では財政赤字の削減を行い、2006年までに財政赤字が発散しない水準に削減すべし、という内容である。歳出削減をGDP比で4%程度行うことができれば、増税はGDPの5%相当が必要というのがそのメドと述べられている。明るい21世紀を迎えるには、財政赤字を正しく理解する必要がある。今世紀最後の秋の夜長に広く読まれるべき好著である。
(C) 日本経済研究センター

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