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  3. 磯部 朝彦さんのレビュー一覧

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先月(2017年1月)

磯部 朝彦さんのレビュー一覧

投稿者:磯部 朝彦

11 件中 1 件~ 11 件を表示

各種団体・企業における環境技術の最新動向を,対策分野別に網羅した環境技術の入門書

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 2000年度は「循環型社会元年」と言われる。「循環型社会形成推進基本法」「資源有効利用促進法」など6本の関連法案が成立し,循環型社会の法的な枠組みは整ったことになる。
 循環型社会とは,廃棄物等の発生の抑制,循環資源の循環的な利用の促進,適正な処分の確保により,天然資源の消費を抑制し,環境への負荷が低減される社会のことをいう。このような循環型社会を形成するには,実に多くの観点からの取り組みが必要になってくる。
 本書は,循環型社会の形成を目指し,環境負荷を低減するためには,何をすべきなのか,今何がなされているのか,1000を超える企業や団体の活動を通して,185項目の環境技術について具体的に解説している。
 第1部では,特徴ある環境技術に取り組んでいる人々の考え方や活動にスポットを当て,それらの環境技術が生まれてきた背景や成功のポイントを分析している。著者自らが,どんな方法や技術があるのか探すため,日本中を訪ねて実際に取材しているだけに,内容には説得力がある。第2部では,185項目もの環境技術の最新動向について,大気,水・土壌,エネルギーなど7つの対策分野別に,各技術の内容や特徴,開発された背景や目的,関係している企業や団体の動向などを具体的にわかりやすく紹介している。
 技術の説明がわかりやすい点と,1000を超える企業や団体の豊富な活動事例が収録されている点において,本書は,環境問題に何らかの形で携わっている者にとって役立つ一冊となる。また,本書の内容および経団連環境自主行動計画などの資料が収録されたCD-ROMが付録されており,技術に関する内容や企業の活動内容を検索するのに便利だ。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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国家政策としてのITS発展に情熱を抱いて道路行政に携わった著者が日米欧の構想を紹介

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 「『ITS(Intelligent Transport System)革命』とは21世紀に向けた道路交通に関する社会資本整備を通じたライフサイクルの大きな変化を意味し,これによって今後の日本社会の可能性が大きく広がっていく未来ビジョンである」と解説する。
 約100年前に大衆化した自動車は「渋滞」「事故」「環境への影響」という負の遺産をもたらした。例えば我が国の交通渋滞による時間の損失は1人当たり年間42時間,経済価値に換算すると年間12兆円もの損失で,GDPの2.5%に相当する驚くべき金額であるという。ITSは負の遺産を軽減し新しい産業の創出や地域の振興を可能にする新しいシステムとして注目される。
 著者によると,ITSの歴史は意外に古く,1960年代の米国が発祥とされる。ERGS(Electronic Route Guidance System:電子経路案内システム)として始まった。1971年に連邦予算を獲得できずに中止になった経緯があるものの,「道路と車を通信でつなぐ,ドライバーの負担を軽減させる」という基本的なコンセプトは,日本にも引き継がれた。VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)として開発・整備が進み1996年から実用化された。
 米国におけるITSへの取り組みは一時的な停滞を経た後に1990年以降再始動する。
 1998年6月クリントン大統領はホワイトハウスで「TEA−21(21世紀交通最適化法)」に署名し,「アメリカが21世紀に全力で進んで行くためには,我々の道路,橋梁(りょう),交通システムに再び歴史的・長期的な投資を進んで行なう必要があることを確信した」と演説する。まさにITSが米国の21世紀の国家戦略として位置付けられたと著者は言う。
 著者は長年の道路行政に携わってITSを推進した経験と最新技術をフォローし,ITSによる地域振興までをモデルケースで紹介した。プロローグにある「平成家族の帰省」シーンが夢ではなく現実に近づきつつあることを実感する。
(C) ブッククレビュー社 2000

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既存の管理システムでは改善できない問題を抱えた経営者,顧客満足を達成したい経営者に

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 (1)財務・企業文化・競走上のニーズに照らして変革が必要な状況であるか。(2)シックスシグマ導入を強力に後押しする戦略上の正当性を見出せるか。(3)既存の管理システムや改善プロセスによって,成功を維持するのに必要な変革を成し遂げることができるか。答えが(1)イエス,(2)イエス,(3)ノーであればシックスシグマ導入を検討すべき,と本書は書いているが,少なくとも耳を傾けるべき段階にはあるだろう。
 本書は,GE(ゼネラルエレクトリック)などが採用している,米国の新経営手法であるシックスシグマの俯瞰と,同時にテキストとしても使える解説書である。本書は統計より,むしろ導入の理由や導入時の注意に焦点を絞っており,類書と比較して読みやすい。
 ご存知の通りGEではウェルチ会長自身が「常軌を逸している」と言われるほどシックスシグマ運動を強力に推進している。1999年の年次報告書には,約50回「シックスシグマ」という文字が使われており,会長からの手紙でも一項目をなしている。もたらした金額効果は,費用を差し引いて15億ドル(1999年末)といわれている。重要な経営会議では,必ずシックスシグマに関する活動報告がなされており,上級職の報酬の40%がシックスシグマの成果に連動している。
 東邦生命(現GEエジソン生命)買収後にはストップウォッチを持って,書類作成の時間を量って効率化を進めたそうだ。GEが徹底してシックスシグマを遂行するのは,投資先を買収(外部)から改善(内部)に変えたからだろう。しかし選択したのが,シックスシグマであったのは,製造業から金融まで同じ原則にしたがって適用できる改善範囲の広さと,事実重視の科学的方法が魅力的であったためである。
 シックスシグマは,日本のTQMとなじまない,あるいは概念が難しいという声も聞かれる。しかし,本書のような良質の解説書が出たことにより,シックスシグマは今以上に広まっていくであろう。
(C) ブッククレビュー社 2000

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バイオ・遺伝子ビジネス

2000/12/08 21:15

バイオテクノロジー産業について体系的に整理。同時に個別企業の動向も網羅されている

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 バイオテクノロジーは,ITと並んで21世紀の中核を担う産業として大いに期待されており,今後もさらに飛躍的な発展が予想されている。バイオテクノロジー産業では化学,医薬,食品・農業,環境などが従前から研究の進んでいる分野であるが,近年特に注目を集めているのがバイオインフォマティクス分野である。バイオインフォマティクスとは,ITとバイオテクノロジーを組み合せ,遺伝子情報などをコンピューターを用いて効率的に処理する新しい研究分野である。ヒトのゲノム情報(全遺伝子配列)を解明するべく90年代初頭にスタートした「ヒトゲノム計画」では,2000年6月にゲノム情報の解読をほぼ終了し,最近では遺伝子機能の解析に移行しつつある。30億もの塩基から成る膨大なゲノム情報から有用遺伝子を特定し,その機能を解析する上で,バイオインフォマティクスの果たす役割は今後ますます重要なものとなろう。
 本書はこうしたバイオテクノロジー産業の動向や将来展望を,体系的かつコンパクトにまとめている。本書の特徴は,世界及び日本のバイオテクノロジー産業の現況や課題を分かりやすく記述していること,日本のバイオテクノロジー関連企業42社を分野別に分け,その取り組み動向を調査していることである。内容は第1部 バイオ・遺伝子ビジネスの台頭,第2部 期待できる日本のバイオ・遺伝子関連企業の2部構成となっている。
 筆者は,米国に比べて日本のバイオテクノロジーの産業化が遅れていること,その最大の原因は優れた技術を持つベンチャー企業の少なさにあり,今後の緊急課題としてバイオテクノロジー産業発展のためにベンチャー企業を育てていくことの重要性を指摘している。
 本書は,バイオテクノロジーの概要や最近のバイオ産業・企業の動向について全容を理解したい読者に是非お薦めしたい一冊である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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バイオ研究の概要を教科書的に網羅し,研究テーマの要点や知りたい分野の内容を一読で把握できる

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 1953年に米国のジェームス・ワトソン博士と英国のフランシス・クリック博士により,DNA(デオキシリボ核酸)の2重らせん構造が明らかにされて以来,遺伝子の研究は急速に進展した。遺伝子組み替えによるインシュリンなどの有用医薬品の開発,PCR法によるDNA増幅技術などはその好例である。最近ではヒトゲノムの全塩基配列がほぼ解読され,遺伝子機能の解明が精力的に行われている。近い将来,遺伝子と疾患との関連が詳細に解明され,個人個人に適した医薬品や治療が行えるようになるであろう。
 本書はこうした遺伝子研究の進展の基礎となるバイオ研究分野について,最新の成果を盛り込みながら記述したものである。本書の特徴は,研究テーマ別の概要を教科書的に網羅していること,重要因子の機能が辞書なみに豊富な索引からすぐ調べられることである。本文は第1章 細胞生物学,第2章 高次生命現象,及び第3章 疾患と遺伝子の3部構成から成っており,生命現象の最小単位である細胞の活動の記述に始まり,細胞が増殖・分化していく過程でのアポトーシス(細胞死)や老化のメカニズム,そして遺伝子と疾患との関連が体系的かつ平易に解説されている。イラストが随所に示されており,概念的理解に止まりがちなバイオ分野の分子生物学的なイメージを,明確に把握することができる。
 したがって初学者が本書を通読すれば,生物学の全容を把握することができ,また専門家がテーマ別に関心のある部分のみを調べる場合にも要点を短時間で把握し,かつ文末に掲載された関連文献により,さらに詳しく調べられるようになっている。本書はまた,各章の分野別の解説ごとに概要及びまとめが述べられており,これに目を通すだけでも大まかな内容を理解することができる。
 本書は初学者から専門家,そして時間との戦いで忙しい現代のビジネスマンにとって,幅広く多様に活用できる書物として,是非お薦めしたい一冊である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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歴史上重要な事件や医師と社会のかかわりの変化を踏まえ,これからの医療と生命倫理を考える上で必読の書

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 本書は,歴史学者が書いた医療倫理の本である。著者は「生命倫理と社会の変化が,医療上の意思決定をいかに変革したか」というテーマを医療の歴史上重要な事件や医師と社会のかかわりの変化などを,時には文学の中で描かれる医師像などを用いてわかりやすく描いている。
 まず,医療の歴史の流れを変える契機となった数々の医療事件が紹介されている。1966年の人体実験に対するヘンリー・ビーチャーの告発。1969年,ダウン症で精神遅滞のある新生児の小腸閉塞手術を親が拒否し,病院側もその希望に従ったジョンズ・ホプキンス事件。1976年,ニュージャージー州最高裁が22歳のカレン・アン・クィンランの人工呼吸器をはずすよう,医師たちに命じた判決などである。これらの事件は,当時のベトナム反戦運動,黒人解放運動,女権拡張運動などの流れの中で,一般の人たちから大いに関心を集め,医療倫理にかかわる運動を高めるきっかけとなった。
 同時に,医師や病院と患者や地域社会との距離の広がりという社会的な背景も,注目すべき点として取り上げている。医療の専門化や細分化が進み,特定の臓器にかかわる集中訓練を受けた医師には,患者の存在が目に入らなくなっていること。一方,病状が深刻化した患者が,なじみのない環境で,なじみのない専門家による治療を受けなければならず,用心深い消費者へと態度を変えざるをえなくなったこと。医療の外の世界から隔離して進められる医学訓練や医師たちの日常生活など,医師と患者の距離をさらに広げることになったのである。
 このような医療事件や医師と社会とのかかわりの変化は,多くの第三者の介入を助長した。皮肉なことに見知らぬ医師,見知らぬ病院と戦い,利害対立や新しい技術の力に対抗するため,さらに見知らぬ人たちを病室につれてこなければならなくなったのである。
 ただし,著者が指摘するように,このような,病室に多くの人々が群がる状況は,医療の意思決定の歴史において,一時的な現象であるかもしれないということも真実であろう。
 米国の医療システムは,患者と医師,病院,保険者や法律家,裁判官,政治家などさまざまな利害関係者のバランスが機能しているという点で,医療倫理の確立が進んでいると考えられる。患者と医師,第三者との関係を語る時に指摘される「密室性の壁」「専門性の壁」「封建制の壁」が,米国において,いかに克服されてきたか,その背景がこの本に示されている。
 我が国においても,4年ほど前に相次いで表面化した官僚たちのスキャンダルが行政を変える契機となり,また,1999年来の深刻な医療ミスの露呈がもたらした世論の高まりは,医師や病院のあり方の変化を促すきっかけとなるかもしれない。これらの事件を単なる人災と片づけてしまうのではなく,その社会的背景や医療の意思決定の現状にまで踏み込み,問題の本質を問うような議論の高まりが期待される。本書は,そのための必読の書である。
(C) ブックレビュー社 2000

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デジタル放送産業の未来

2000/10/06 15:15

通信・放送の融合という産業構造の大変革期を迎え,放送業界はデジタル化のメリットを享受できるか

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 本書は,デジタル放送産業全体の展望,視聴時間需要,広告費需要,有料放送需要,デジタル放送受信機需要,マルチメディア・ネットワークと放送,放送局経営の7つのテーマについて現状分析をもとにした将来展望を行っている。
 2000年のBSデジタル放送を皮切りに,2003年には広域圏の地上波デジタル放送がスタートし,本格的なデジタル多チャンネル・テレビの時代に突入する。地上波テレビのデジタル化には膨大な投資が必要となる。仮にハード面のデジタル化が進んでも,多チャンネルを保持し続けるコンテンツやランニング・コストが課題であり,放送業界各社の中にはデジタル化対応の重みに耐えられない社が出てくることも想定される。既存の地上波,CATV,BS放送,CS放送などメディア間での競合によるマイナス要因が懸念されるが,従来の視聴者は,地上波を見る一方で,不足している部分をCATVなどの他メディアで補足していることから,多チャンネル化時代においても,メディア間相互を競合相手としてとらえるよりも,それぞれの強みを生かした番組提供を考える必要があると提言する。
 これに際し,多チャンネル化は必ずしも広告収入の増大に結びつかず,同時に番組当たりの制作費の縮小を迫られることを挙げ,現在のスポット的な広告費への依存の大きい収益構造から脱却し,時代を超えて評価される良質なコンテンツの創造が重要であると示唆する。
 デジタル・テレビ受信機全体のハード機器は地上波デジタル放送開始後10年以内に100%普及すると考えられるが,先行するBSデジタルの普及動向,CATV経由での地上波デジタル放送の視聴が進展するなどにより,デジタル放送受信機は全世帯に普及しない段階でハード普及飽和状態を迎える可能性もある。
 本書は,通信・放送の融合という産業構造の大変革期を迎え,放送業界が放送の新しい可能性を開拓して収益力を維持・発展させる戦略を打ち立てるための判断材料を提供するものである。
(C) ブックレビュー社 2000

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長年半導体事業に携わってきた経験に裏打ちされた21世紀電子デバイス産業のあるべき姿を提言

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 20世紀が生んだ脅威の産業,半導体。それは1947年米国のベル研究所で点接触型トランジスタ実験の成功から始まり,今では30兆円を誇る産業となっている。しかし,21世紀を迎えるにあたり,この成長は継続するのであろうか。今世紀末に登場する期待の半導体製品としては,クォーターマイクロDRAM,フラッシュ・メモリー,DRAMエンベデッド・ロジックの3つがあり,そして,情報通信関連市場の拡大とともに今後も半導体マーケットは伸びていくだろう。
 21世紀に向けた半導体の期待マーケットとして,パソコン,移動体通信などがあるが,その需要にこたえ継続的な半導体市場の成長を実現するには,技術面,事業運営面での課題を克服していかなくてはならない。本書では,筆者の経験からそれぞれ10の課題を挙げている。
 これらの課題へ的確に対応していければ,少なくとも2020年までは半導体の技術革新は続き,2050年までは自動車に匹敵する巨大産業として存在するであろうと予測する。その中で日本の半導体が生き残っていくためには,(1)従来の日本半導体産業の強みである「ハウ・ツー・メイク」に加え「ホワット・ツー・メイク」への取り組み,(2)分業体制,(3)木登り型経営(会社に合わせて事業を育てる“山登り型”ではなく,事業を育てて会社を作る)の推進,(4)システム・ソリューションの提供,(5)マーケットを先取りした製品戦略ができるか,にかかっている。
 また,半導体に加え,21世紀期待の電子デバイスとして2次電池,フラット・パネル・ディスプレイが挙げられる。これらはマルチメディア時代を支えるキー・コンポーネントであることに違いないだろう。2次電池は携帯端末向けの需要が旺盛であるし,またフラット・パネルはパソコン向けディスプレイ・マーケットの伸びとともに今後も継続的な成長が期待されている。特にフラット・パネルには技術面での改良の余地はまだあり,コストダウン,ポリシリコン液晶ディスプレイなどの新製品の導入が成長の鍵になる。ただし,半導体,フラット・パネル,2次電池の共通の課題は国際化,標準化と差別化である。国際化はマーケットそのものを拡大させ,標準化はコストダウンをもたらし,差別化はライバルとの競争を優位にはこぶことができる。これらをどのようにバランスよく進めていくか。本書の後半を占める「自分史に学ぶ21世紀の経営」にて紹介された,筆者自身のさまざまな立場で経験した知見の中にみてとれる。
 本書は,筆者の幅広い経験と知識に裏打ちされた,日本電子デバイス産業にむけた将来ビジョンと応援メッセージ集である。
(C) ブックレビュー社 2000

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日本の各地域はここ15年の間に特定産業への集積あるいは分散というそれぞれ固有の構造転換を遂げた

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 本書は,科学技術庁の科学技術政策研究所が10年来研究してきたテーマである「地域経済と科学技術との関係」に関する成果の一部である。科学技術庁が地域経済の問題を論じることに奇異な感じをもつ方もいるかもしれないが,本年度までの5年間の科学技術振興施策を規定した「科学技術基本計画」は,地域レベルでの科学技術振興策推進の重要性を明確にうたっているのである。
 科学技術庁が言うところの「地域」とは,もっぱら都道府県や市町村などの行政単位を指しており,本書でも「地域」は「都道府県」と同義として扱っている。ここで,中央と地方という枠組みに基づく「上から」の分析を予想してある種の拒否反応を抱く向きもあるかもしれない。しかしながら,それではせっかく本書で提示された,産業の分散と集積に関する新たな分析手法の重要性を見落してしまうことになる。
 本書では,1980年から1994年の15年間に,(1)どのような産業が特定地域で集積したか,あるいは全国に分散したか,(2)ある地域が,特定産業に特化することで成長もしくは衰退したのか,あるいはさまざまな産業に分散することで成長もしくは衰退したのか,を5つの指標で分析している。もちろん(1)と(2)は同じ現象を違う角度から見ている。そのうち2つの指標(「変動係数」と「労働生産性」)は従来から使われてきたものであるが,残りの3指標(「産業立地特性指数」,「地域産業構造転換指数」,「地域産業集積係数」)は,今回科学技術政策研究所で開発されたものである。そのうち,上の(2)で使われている「地域産業構造転換指数」は特に興味深い。
 この指標は,一言でいうと「ある県において,事業所数,従業員数,あるいは製品出荷額などの産業間への分布状況が,全国平均の分布状況とかい離している程度」を表す。指標がゼロであれば,産業構造が全国平均と一致していることを示し,1に近づくほど特定の産業に特化していることを示す。この数値を15年間の時系列でとれば,その県の産業構造が特化してきたのか分散してきたのかが分かるという仕組みだ。これにより,たとえば,佐賀県は,地場産業である窯業・土石産業が事業所数,出荷額などで減少し,アパレル産業,電機機器産業でこれらを増加させるかたちで,「平準化型成長」したのに対し,愛知県は,主要産業である輸送機器産業にさらに特化するかたちで「集積特化型成長」した。こうした情報によって,地域の産業発展戦略は明確に「採点」されることになる。しかも,この採点表は,通産省の「工業統計表(産業編)」によって比較的容易に作ることができるのであるから,非常に利用価値が高い。
 上記(1)の分析では,電機機械器具製造業は「分散立地型」であり,繊維製品製造業は「集積立地型」であるなど,国の産業政策立案者にとって有益な情報も得られている。本来,こうした現象と技術の関連を分析することが,本研究の狙いであったはずだが,その部分は今後の研究に委ねられたようである。この方向でさらに踏み込んだ研究がなされることを期待する。
(C) ブックレビュー社 2000

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人材管理の分野においてはベスト・プラクティスというものは存在せずベンチマーキングも意味がないのか

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 本書はきわめて簡潔にいえば,経営資源としての「ヒト」にフォーカスし,その人事慣行や組織のあり方を欧米の先進企業の事例や研究の成果をもとに,さまざまな角度から示唆を与えようとするものと考えるが,実際読後にまず感じたのは欧米におけるこの分野の研究はかなり真摯にかつ体系的に進められていることである。「終身雇用制」「年功序列型」といった日本的人事慣行,またその経営の変化をどこかもどかしく感じている現状にあっては,本書を読むことだけでもこの分野での先進的研究を肌で感じ取ることができるだろう。
 本書は第1部「人材のマネジメント」と第2部「組織のマネジメント」の2部構成となっており,前半では人的資源管理の諸問題を,また後半では組織行動にかかわる諸問題を取り上げている。豊富な事例を紹介しつつ,読者自らが考え,意思決定を行うためのヒントを提供している。また,わが国ではなじみの薄い「組織行動」という分野や,「バーチャル・オフィス」「パーソナリティ測定」「文化的多様性」といった新しいトピックスもカバーしている点は興味深い。
 企業内実務にかかわっている人間にとっては,人材戦略に触れた前半部分に興味が湧くであろう。特に第2章では,各企業独自の人材管理の実践がコア・コンピタンスを生み出し,競争力の源泉となっていることを,4つの業界における事例から検証し,人材管理の分野においてはベスト・プラクティスというものは存在せず,ベンチマーキングも意味がないと結論づけている。ボストン・コンサルティング・グループとマッキンゼー・アンド・カンパニー,コカ・コーラとペプシなどの事例を通じ(本書では,マッキンゼー,コカ・コーラとも基本的に新卒者を採用し,コカ・コーラではほとんど終身雇用といえると書かれている),日本企業における今後の可能性を期待する向きには戸惑いが大きいのではないだろうか。
 問題意識を断片的に散りばめながら,最終的に本書はこれら諸問題への「答」を用意はしていない。そもそもMBA全集の1冊としてその研究の一端を披露することを旨とする本書に,企業内実務レベルでの「答」が用意されていないことはある意味当然であり,これらの研究からそのエッセンスを吸収しつつ欧米モデルの追従にとどまらない日本企業のとるべき「次なる一手を導き出す材料」と位置づけるべきであろう。
 余談になるが,訳者は訳者まえがきの中で,「これから社会に出て新しい人事慣行に直面していくであろう学生諸氏にも,ぜひ一読をお薦めしたい」と書いている。いろいろな意味で,社会に出たこれら学生諸氏に本書を踏まえた感想を聞いてみたいものである。
(C) ブックレビュー社 2000

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各国国内法の独自性を尊重しつつ移動する労働者への重複適用・無適用を回避する「整合化」政策

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 90年代以後,資本,財,サービス,そして労働者の国際間移動がますます活発化している。しかし,“グローバルスタンダード”というコンセプトのもと急速な国際統合が進む経済分野とは対照的に,ローカルな歴史的背景をもった社会保障制度の国際化は難しく,ますます増大する労働者の国際間移動とのそごが世界中で発生している。
 本書は,上記のような問題意識から社会保障の国際比較をライフワークとする著者が,EUという経済ブロックに着目し,社会保障制度の国際統合にどのような問題があるのか,どのような解決策を試みているのか,さまざまな観点から精査した研究結果である。
 本書は,大きく3部から構成されている。第1部では,EU加盟国すべての社会保障制度,社会保障行政,財政等に関する比較を行っている。これらの国々の多くは世界で最も進んだ福祉国家群であると一般に認識されているが,国ごとの社会保障メニューの相違のみならず,ある国では健康保険の枠内でカバーされているが,違う国ではされていないといった制度体系の相違,制度の法的根拠の相違等,ケースバイケースで整合化を図るしかない事例が多数存在することに驚かされる。
 第2部では,EU社会保障政策の歴史をひもとくことにより,その構造と機能を解明している。EUの社会保障制度では,既存の各国国内法の修正を行わず,移動する労働者が社会保障の重複適用あるいは無適用を被ることのないよう交通整理をする「整合化」を基本的な骨格としているため,制度が複雑なものとなっているが,筆者は,医療給付,失業給付,家族給付,年金,労働災害給付等に関して,その制度の詳細を紹介している。
 第3部では,前節までの議論を踏まえて,EUの経験を国際的な意義として筆者の評価を加えている。例えば,ILOや欧州評議会とEUの社会保障法を比較し,拘束力の強弱,司法機関の有無,「整合」か「統合」か,等といった観点から,EU制度の特徴を浮き出させている。
 地域内社会保障制度の統合は,労働力の自由な移動を促し,域内の経済性を向上させる。また,企業負担の多寡は,労務費を通じて経済力に大きく影響を及ぼす。このような意味において,グローバルスタンダードが台頭した後の各経済ブロックの競争優位は,教育や社会保障制度の整備といった人間的な側面によるところが大きくなることは想像に難くない。
 では,今後,世界各地に現れるであろう経済ブロックの社会保障制度の将来像を,どのように構築すればよいのだろうか?  本書で紹介されるEUの事例もさることながら,その課題の本質に迫ろうとする筆者の視点こそ,その解答を導き出すチャートとなるのではないだろうか?
(C) ブックレビュー社 2000

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