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先月(2017年8月)

斎藤  正勝さんのレビュー一覧

投稿者:斎藤  正勝

1 件中 1 件~ 1 件を表示

日経コミュニケーション1999/9/20

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 証券取引サービスやオークションなど,インターネット経由で参加できる電子商取引の環境が整い始めている。それに伴い,ニュースや相場情報などをWebブラウザ上でリアルタイムに利用する個人ユーザー層が急速に広がろうとしている。
 本書は,ロイター,ブルームバーグ,ブリッジといった欧米の金融情報ベンダーの攻防をテーマに,現代の金融ビジネスにおけるリアルタイム情報の影響力を論じる。多くの事例を引きながら,顧客との接点となる金融情報端末のネットワーク・インフラや機能の差が,1秒単位で投資家の判断の差を生み出す様子を見事に描いている。
 金融情報端末とは,情報ベンダーが機関投資家向けに提供している専用端末。この端末を通じて,投資家は一般ニュースや投資情報を24時間リアルタイムに取得できる。端末は専用線を使った安全で高速なネットワークで結ばれている。
 著者は,金融情報ベンダーが最終的に狙うのは,金融情報端末を一般家庭まで浸透させることだと主張する。各社の専用端末は,単にニュースを流す“箱”から,株式売買機能を備え,さらには金融サービス以外の様々な電子商取引にも使えるように進化している。家庭向けの情報端末機能を統合する方向に向かっても不思議ではない。
 一方,インターネット上で個人顧客を相手にスタートしたオンライン証券ブローカ(取引仲介業者)も,この分野での存在感を強めている。各社は,Webページ上で提供する投資情報や相場報道機能の強化を図り,機関投資家もターゲットにし始めている。数十万円の月額利用料で専用端末を提供している金融情報ベンダーと,インターネット経由で安価に情報を提供するオンライン証券ブローカの間で,いよいよ次世代情報インフラの覇権争いが始まろうとしている。
 国内で論じられる金融ビッグバンは,残念ながら既存の金融機関同士や新規参入組,外資との提携・合併といった企業の枠組みの話に終始しているように思える。しかし,ビッグバンの本質は利用者が決めるものである。金融サービスというコンテンツは,遅かれ早かれ利用者が支持する情報インフラに統合されていくものと思う。
 本書を通して,その端緒となる国内版金融情報競争の始まりを感じることができる。
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