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原田勝広さんのレビュー一覧

投稿者:原田勝広

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日本経済新聞2000/6/18朝刊

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 不思議なことだが、国連安全保障理事会の改革問題は、六年以上の論議を経た今もなんら進展らしきものがない。当然の結果として日本の悲願である常任理事国入りも宙に浮いたままだ。国連を必要以上に理想視するばかりで、具体的な情報に乏しい日本国内では、ニューヨークの国連本部でいったい何が起こっているのか理解しにくい。
 なぜ、米国に次ぐ多額の分担金を支払っている日本に「晴れがましい席」が用意されないのか。常任理になったら、国連平和維持活動(PKO)に自衛隊を送る義務があるのか。米政府は日本の立場を支持してくれるのか。こうした不満や疑問に対し、著者は、内外の膨大な資料と証言を駆使しながら、改革の交渉の生々しい舞台裏を見せることで的確かつ詳細な答えを用意してくれる。
 例えば、日本は国連に財政的に貢献しているという常任理入りに有利な事実でさえ、「安保理の議席は売りに出されているのか」というイタリアの無体な批判にさらされるという意外な事実が紹介される。経済力と威信確保だけを常任理入りのテコにして、安保理改革に対する理念や政策を欠いた日本の姿勢そのものが問われているといった著者の問題提起や指摘が間断なく続き、読者は自然にこの歴史ドキュメントともいえる安保理改革物語の世界に引き込まれていく。
 改革論議は、大国協調システムの再構築か、加盟国の声を反映させた民主的な安保理にするかの間で微妙に揺れる。このボタンの掛け違いが、既得権者と国益を損なう恐れのある国々が、ともに改革の足を引っ張る事態につながっている。その加盟国同士のせめぎ合いが読ませどころでもあるが、一読しての思いは、チャンスを目の前にしながらの、日本外交における政治的リーダーシップの欠如へのいらだちであり、国連の威信がその輝きを確実に失いつつあることへの驚きだ。さて、日本はこのまま行くのか、別の道か。九月の国連ミレニアム・サミットを前に考える糧となる一冊である。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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