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河野 誠之さんのレビュー一覧

投稿者:河野 誠之

3 件中 1 件~ 3 件を表示

ユーロ誕生までのEU経済・通貨・財政政策の動きと,ドイツ流の政治的信念との利害調整のドラマを再現

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 単一通貨ユーロの誕生がEU(欧州連合)でどのような弱点を克服したのか。この点について著者は,経済面ではEU各国間のマクロ経済・パフォーマンスの分裂が克服され,その背後にある経済政策不一致が克服されたと結論付けている。政治面では欧州各国で通貨統合の是非について社会全体を巻き込んだ論議と行動を積極的に積み重ねることで,国民国家主義や各国通貨喪失への国民の不安を克服できたとする。
 著者の視点は,ユーロが誕生した1999年にある。本書では,95年からの実現過程の最終局面で,“強い子”となるはずのユーロの誕生までのドラマを,EUの資料や新聞報道を引用して再現しようと試みている。この期間は,著者が在ドイツ日本国大使館に駐在した時期。それならではの個人的視点で,どういった過程を経てEU主要国の立場が収斂(しゅうれん)していったのかを,しっかりと追っている。
 そこでは,95年に開かれたマドリード欧州理事会でのユーロの名称,導入時期の決定から始まり,ドイツ主導によるEU安定成長協定の成立までの交渉,ドイツの深刻化した財政赤字削減の苦闘,欧州中央銀行制度の創設と総裁人事,98年末のユーロへの切り替え実現までを追跡,特にドイツから見た欧州各国の動きを交えて要所をまとめている。例えば,通貨統合へのイタリア参加について,マーストリヒト収れん基準達成をめぐるドイツとイタリアの確執などは,その当時の雰囲気をよく伝えた格好の読みものにもなっている(注:91年にオランダ・マーストリヒトで締結の欧州連合条約でユーロ導入の条件や日程を定める)。
 誕生後のEU経済は好況だったが,ユーロ安が示現した。拡大とともに域内の景況の差が広がっていく可能性もある。EU経済通貨統合の過程は,既に完結したものではなく,諸政策の多様性を含んで,21世紀初頭の今も進行中だ。経済的な重み,政治的な一体性を増すEUに残された課題は何か,今後どんな道をたどるのか。著者の次なる展開を期待したい。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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ユーロ誕生を機に従来の政治主導から経済グローバル化に後押しされた,国を超え,多様化するEU統合へ

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 ユーロランド(ユーロ通貨圏)発足からの2年間にEU全体で起こった政治・経済の事象を網羅しつつ,簡潔に説明している。本書は,「従来から先行していた政治」の思惑と「新しく進展している経済・通貨」の力学の相克という濃縮された視点で書かれ,2000年末のニース欧州サミットの結論なども盛り込んだ,手頃な小冊子ながら目配りの利いた「ヨーロッパ論」になっている。
 誕生以来のユーロ(欧州単一通貨)安進行の背景を分析し,北欧や著者のかつて活躍したイギリスなどのユーロランド圏外の立場と,オランダ,フランス,ドイツといった圏内の各国事情をジャーナリスティックなトピックも交えて対比している。
 EU域内の民主主義の危機,税制改正,ニューエコノミーへ向かう経済構造改革という課題をとり上げ,平和時の通貨統合という偉業達成までは政治的意志が主導してきたが,ユーロ誕生以降は一元化・均一化のないまま,経済条件の収斂が先行していることが今後の方向付けに微妙な影響を与えることを示唆している。共産体制崩壊で突然登場した貧しき隣人(中東欧諸国)をEUに取り込む政治的必然と,もともとのユーロ構想時には想定していなかった東方拡大,こうした進展が与える経済的負担を描き,また拡大問題と不可分なEUの制度・機構改革の必要性にも触れている。
 いまでは,グローバリゼションの進行が経済面の統合の進展を後押し,それが政治面での国民国家を前提としたこれまでのEU統合の「深化」を,国の枠組みに制約されず,内に多様化する統合の「進化」へと誘っている点も興味深い。
 こうして,ユーロランドの将来像については,これまでの統合欧州の設計図を捨て,グローバル時代の経済の力学と市民本位の地球社会の展開に沿うビジョンも示唆している。
(C) ブッククレビュー社 2000

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95年を境に政策はユーロのマルク並みの安定性維持とドイツにとってのEU通貨統合推進に進んだ

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 ドイツの中央銀行であるブンデスバンクが1990年代にとった通貨価値安定政策とその欧州通貨統合政策の変遷に焦点を絞り,学者らしい運び方でブンデスバンクのユーロ戦略を活写している。ドイツの通貨・金融政策やユーロ導入に関心をもつ読者やユーロ入門を卒業した学生にとって興味ある一冊である。
 99年1月のユーロ誕生や欧州中央銀行ECBの単一金融政策開始までは,欧州通貨制度EMSでドイツ・マルクが基軸通貨の役割を果たし,ブンデスバンクが欧州の金融政策を事実上リードしてきた。本書では,ブンデスバンクの物価安定を最終目標とする通貨価値安定政策が90年代のEMS下においていかに変化したかを,ドイツにとっての通貨統合の必要性とともに論証した。それにより,ユーロ導入後のECBに対する政策要求の選択肢を示している。
 物価面では,ブンデスバンクは95年までマルク高を優先させることでインフレ抑制に成功した。資本市場面ではこの90年代前半のマルク高が非居住者からの投資資金の流入を呼び,長期金利の低下をもたらした。90年代後半には各国のインフレ収束と,通貨統合期待によるドイツ周辺の高金利国におけるリスクプレミアムの低下とを反映した形で,長期金利の低下として現れた。
 貿易面では,ドイツの貿易構造やマルク相場のEU域内貿易との関係の分析が示すように,ドイツの輸出に対する,マルク高の直接的抑制効果とマルク安による周辺国の景気後退の間接的抑制効果が相まって,域内相互依存度が高いEUでは貿易拡大のために通貨価値の安定維持が求められた。
 以上,物価,貿易,資本市場の3つの観点からブンデスバンクや有力論者の見解も紹介する形で論証を行い,ブンデスバンクがユーロに関しECBに対して求める安定政策の内容は物価安定と通貨の対外価値の安定であると結論づけている。
(C) ブックレビュー社 2000

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