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先月(2017年8月)

芦谷 美奈子さんのレビュー一覧

投稿者:芦谷 美奈子

2 件中 1 件~ 2 件を表示

植物の学名についての歴史や命名手順,規約についてわかりやすく紹介し,自然を調べる意味を考える

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ガーデニング・ブームの折,花屋や苗屋の店先に聞き慣れないカタカナの名前をもつ植物が並んでいても,それほど違和感をおぼえないかもしれない。しかし,そういったカタカナ名の多くが,実は「学名」という生物の正式な名前の一部からきていることは,あまり知られていないのではなかろうか。本書は,この植物の学名について,リンネウス(リンネ)らによる命名法の歴史や規約について平易な言葉で解説し,さらに植物分類学の意義やナチュラル・ヒストリーのあり方を示唆している。著名な植物学者による名著の新装版である。
 著者が主な読者として想定しているのは,おそらくは園芸を職業あるいは趣味にする人々であろうことが文章の端々からわかる。あとがきに「園芸家も植物学者であるべき」という著者の言葉が引用されているが,身近で複雑な園芸植物と栽培植物を例に,植物の同定と命名のあるべき姿が語られているのは大変興味深い。本書の実質的な内容は前半部分(第1章から第5章まで)で終わっており,後半は学名に用いられるラテン語の解説や属名リストである。初心者は頭から読んで背景を知り,その後学名に興味を持つと後半部分を有効に活用できるという,何度でも使える構成と内容である。
 原著は1933年に刊行されており,命名規約のその後などは編集部によるあとがきを参照されたい。しかし内容は決して古くなく,70年近く経過した今でも,本文に散りばめられた著者のナチュラル・ヒストリーに対する見解は全く色あせない。それどころか,遺伝資源の保存や多様性が叫ばれる昨今に再考すべき内容を多く含んでいる。特に栽培植物についての植物学研究者のアプローチの少なさを嘆くくだりや,実験生物学に入れ込んで分類学を軽視することへの批判は,現在でもそのまま受けとめられる。著者が生きていたら,実際の植物を知らずに分子系統学に取り組む研究者が増えている現状を,どう思うだろうか。
(C) ブッククレビュー社 2000

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飛ばない昆虫オサムシの生態から,環境に適応した生物の生活史の意味や多様性を考える

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 オサムシ類は歩行性の昆虫の一群で,日本にも約45種類(亜種では約100にもなる)が生息している。かの手塚治虫氏の名前がオサムシから付けられたことはかなり有名な話だが,そこまでが一般の知識であろう。本書は,長年にわたるち密な観察と考察により,オサムシというなじみのない昆虫群の多様な四季の生活史を示すと共に,著者のオサムシ研究の歴史と思考の流れをたどることで,生物研究の基本をも思い出させてくれる好著である。
 オサムシ自体の生き様の面白さはもちろん,著者も含めて日本に数人しかいないオサムシの研究者が,一体オサムシの何にひかれて研究対象としているのかが,ところどころに読みとれて興味深い。魅力のひとつとして,歩行虫であるからこそ移動距離が少なく,地域による変異が大きく,多様な形態と生活史を持つことが指摘されている。本書でも同所に生息している2種類のオサムシが,生活史や食性の違いにより棲み分けをしていることなどが紹介されており,四季に対応した生活史,特に繁殖と休眠の時期と長さ,エサの種類(食性)などがキーとなる。それらの相互関連によるニッチの違いや分布の広がりなどについて,オサムシ以外の昆虫の例も用いながらていねいに段階を踏んで考察している。
 生物研究の大きな流れであるDNA解析による進化系統学についても当然言及し,不確かな面を指摘しながらも,これまでの形態および生態の研究成果と照らし合わせて,オサムシ類の種分化と分布の歴史をたどろうと試みている。しかし,著者があくまでもオサムシの多様性と進化を明らかにする一つのツールとしてDNAを用いているのは,あえて著者のあとがきを読まずとも明らかであろう。なぜなら,生物学の本来の出発点は決して試験管の中にあったわけではなく,自然の中の生命現象をいかにして読み解いていくかという実物(形態や生態)観察の中にこそあったということを,豊かな実例と共に改めて示してくれているのが本書だからである。
(C) ブッククレビュー社 2000

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