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松本 克夫さんのレビュー一覧

投稿者:松本 克夫

2 件中 1 件~ 2 件を表示

戦後の革新自治体を中心に,日本の都市経営の実践に含まれていた思想を引き出し,批判的に検討

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 欧米と同様,日本でも都市への人口集中により,大都市では貧困,住宅難,公害,伝染病,交通渋滞などが深刻化した。一方,大都市に人口を吸引される地方都市では,対抗上,ミニ東京を目指さざるを得なくなる。この両者から都市経営の思想が生まれている。
 本書で取り上げたのは,戦前では,片山潜ら都市社会主義者,英国の田園都市論などに影響されて日本に都市計画を導入した池田宏ら内務官僚,宝塚などの郊外住宅地を築いた小林一三,戦後では,復興から東京オリンピックに至る建設省など政府の動き,美濃部亮吉東京都知事ら革新自治体の知事や市長,八戸や金沢などの地方都市経営である。
 都市社会主義者は都市固有の問題に取り組んだ先駆者であり,内務官僚の思想は戦後の公団住宅に連なる同潤会による住宅供給に結晶する。阪急電鉄の小林一三の郊外開発は今日の郊外生活の先取りだが,大都市内部の環境改善を遅らせたと本書では指摘している。
 戦後,都市計画の法体系は整備されていくが,GHQの意図とは違って,国の権限の強いものになった。これに対し,都市での民主主義の実現や分権を目指したのが,60年代以降登場した革新自治体である。美濃部都政,飛鳥田一雄横浜市政,伊藤三郎川崎市政などが国に先行して公害防止に動いた。市民参加を模索したのもこれらの自治体だった。
 しかし,本書によれば,市民参加は上からのもので,形だけになりがちだったし,福祉のばらまきは都市財政を悪化させた。独特の企業的都市経営で財政の自立を目論んだ神戸市は,手段だった開発利益の追求が目的化し,産業都市化による拡大を目指した仙台市とともに,開発より福祉を優先させたはずの革新自治体としての性格を薄れさせた。
 地方都市も固有の性格の維持は難しい。企業誘致による発展を狙った八戸市は地方都市の典型だが,開発を進めるほど地場産業都市としての性格は薄れる。城下町風の景観都市づくりを進める金沢市は,コミュニティに裏打ちされたアメニティをつくり得ていない。地域文化を維持しているのは湯布院町だが,リーダーが不在になればそれも危ういという。
 本書は後藤新平や関一などの戦前の代表的な都市経営者を取り上げていないし,全部を網羅しているわけではないが,最近の動向を含め,都市経営の流れを大づかみにできる数少ない著作の一つと言っていい。各論的には鋭い指摘もあるが,残念ながら,総論がない。序章がそれに当たるのだろうが,各論を踏まえたうえでの総論になっていない。補論の中には,これから都市が人口減少時代に入るという重要な指摘があるが,これまでの成長・拡大の中で蓄積された都市経営の思想をどう生かせるのか,展望を含めた総論がほしい。
 文中の引用の多さはいかがなものか。事実関係の原典を示すことは必要だが,各都市経営に対する評価は著者自身の言葉で語れば十分だ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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外形標準課税導入をはじめ,次々に国に挑戦する石原都政の1年を検証し,政治家としての石原氏の魅力に迫る

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 ある程度覚悟していたとはいえ,この1年余りの間に国が受けた石原ショックは予想をはるかに上回っていた。大銀行に対する外形標準課税導入,ディーゼル車NO作戦,中小企業の債券市場の創設などはいずれも国に先んじたものであり,国に対する挑戦といっていい。米軍横田基地の軍民共用化や首都機能移転反対も国と対立する。
 派閥政治に明け暮れる永田町,省庁間の調整でらちが明かない霞が関。リーダーシップが感じられず,決断の遅い国政に対して,石原都政はそれとは正反対の政治があり得ることを示した。本書は,国政に幻滅した石原氏が直接公選の知事になって,ようやく本領を発揮する模様をベテランのジャーナリストたちが生き生きと描き出している。
 いくら国への挑戦意欲はあっても,政策の構想力や組織を使いこなす手腕が伴わなければ,から回りしてしまう。本書によれば,国が思いもよらなかった中小企業の債券市場の創設は石原氏と同窓の一橋大学OBでつくる一橋総合研究所の元商社マンの発案である。この独自のブレーンが役人にはない民間の発想を石原氏に吹き込んでいる。
 これに対し,外形標準課税の導入は主税局長など少数の役人と知事の隠密作戦の産物である。初めから大幅な税収増を図るとしたらこれしかないと担当者は判断していた。後は世論に訴えながら,国や銀行の抵抗を抑え,それを実行できるリーダーがいるか否かである。国との衝突を恐れない石原氏というリーダーを得て,この秘策が日の目を見た。
 ディーゼル車NO作戦は,青島知事以来の都の環境行政と石原氏との波長がぴったり合った政策だった。自動車業界などの抵抗を突破できるか否かが課題だったが,ここでも石原氏の豪腕と世論への訴えのうまさが効いた。
 無党派で立候補しながら,足立区長選への応援や職員の給与カットなどを通じて,自民党や公明党などを取り込んでいく石原氏のやり方もしたたかである。本書で見る限り,石原都政の出足はすこぶる好調と言っていい。
 ただ,あまりにも石原氏を持ち上げ,石原応援団的になるのもどうか。本書が石原都政の影の部分や欠けている点に盲目的な印象は否めない。
 外形標準課税の導入にしても,隠密作戦は納税者の理解を得ながら進めるという民主主義の基本的なルールに違反している。政策のいくつかをつまみ食いし,ショック療法的に打ち出すのが石原氏の手法だが,事務事業評価制度の導入により行政全体の変革を目論む北川正恭三重県知事の方が正攻法に見える。都はまだ財政危機を乗り切ったわけでもない。石原都政はこれから先,挫折を経験しないとも限らない。ヒーローに仕立てるにはまだ早すぎる。
(C) ブッククレビュー社 2000

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