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平尾 光司さんのレビュー一覧

投稿者:平尾 光司

4 件中 1 件~ 4 件を表示

世界経済に動揺をもたらすグローバルマネーの奔流とその制御の可能性を探り,日本の対応を広い視野から提言

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「妖怪が世界を徘徊している。グローバルマネーという妖怪が」。マルクスが現代に生きたならばこのように言うであろう。60年代に“チューリッヒの小鬼”と呼ばれた国際投機マネーが90年代に入って世界経済をゆるがすビヒモス(巨大怪獣)に変身して,92年のポンド危機からアジア経済危機まで一連の国際金融危機と為替相場の乱高下をひきおこしている(わが国の金融危機もその流れの中に組み込まれた現象とも言える)。
 著書はこのグローバルマネーの本質を迫るために相次ぐ国際金融危機の犯人としてグローバルマネーを特定する。その上でグローバルマネーがどのように誕生し世界経済のシステミック・リスクをひきおこすほど巨大化したのか。それをブレトンウッズ体制の崩壊から始まり,マネー制御システム不在にいたった国際通貨制度の現状を,あざやかに解明していく。次いでグローバルマネーを制御していく国際金融システムの再構築の動きを紹介する。特にIMFの機能低下とその機構改革論議の流れに焦点をあてている。著書はIMFをブレトンウッズ体制創設時のケインズ案にまでさかのぼり,グローバルマネー制御の最終的な解決策として世界中央銀行構想を「見果てぬ夢」から「野心的ビジョン」への進化に期待しているかのようである。
 しかしその実現に立ちはだかるアングロサクソン対独仏連合の対立と,その背景にある“市場至上主義”と“管理主義”の神学論争と,国際通貨発行収益を持った米国の特殊な権益とワシントン-ウォール街複合体の存在を紹介していく。最後に日本がどのようにグローバルマネーとその背後にあるグローバリズムに対応すべきかという観点から後向きなナショナリズムに逃げこむのではなく,グローバル化した国際経済に主体的に取り組む“ポジティブグローバリズム”とアジアに足場をおきつつ国際金融システムの再構築に積極関与していく必要を力説している。
 グローバルマネーの定義に評者としては異議があり,また,アングロサクソンの立場を市場原理主義と決めつけることに疑問もあるが,21世紀にさらに大きなドラマが予想される国際金融問題を広い視野から理解するための好著である。また,巻末の参考文献,参照ホームページは読者にとり親切なガイドになっている。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本日本の金融制度

2001/05/30 18:18

日本の金融制度の大転換をもたらす環境変化と金融機関・金融市場の変化の連関関係を鳥瞰的に分析,活写

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 本書は,1966年に日本銀行金融研究所から出版されて以来,版を重ねてきた『わが国の金融制度』を著者が全面的に書き改めたもの。『わが国の金融制度』は永年,日本の金融についての最も基本的文献として実務家,研究者に利用されてきたが,95年の全面改訂版以後改定がなく,その後の金融技術革新,ビックバンや金融システム改革の急速な進展とのギャップが目立っていた。95年版主要執筆者の著者が個人で書き下ろしたこの労作で,そのギャップを一挙に埋めた。
 本書の第1部が「金融環境の変化と金融制度」で自由化,情報化,グローバル化といった金融環境の変化が制度改革に与えたインパクトや日本版ビックバンを競争制限的規制の実態との関連で紹介。銀行監督規制の日本的あり方が不良債権処理の先送りと,金融システムの不安醸成の根因として分析,メーンバンク関係が基本の日本型金融システムの特徴と機能についても著者独自の視点が提示される。
 第2章「金融市場」では,伝統的な短期金融市場からデリバティブ市場まで各市場の仕組み,機能を解説。第3章「金融組織」は,金融制度を構成する各種金融機関の紹介。さきの日銀版では分析,叙述が中央銀行としての自己抑制が働きすぎ,正確だが踏み込んだ分析と主張が薄い解説書の域を出ないきらいがあったのに比べ,本書は著者のエコノミスト賞受賞の「日本の金融と銀行制度」などの研究業績を十二分に取り入れて分析,主張と制度の正確な解説のバランスがとれた内容である。
 特に第一部第4章「銀行監督・規制と再編」と,第一部第5章「資産価格バブルと不良債権問題」は白眉。あえて難点をあげれば決済システムと金融商品の比重が日銀版と比較して小さいこと。特に決済システムは前書のように独立の構成にするのが望ましい。なお,執筆に際して著者が情報収集に利用したというウェブサイトの紹介が,章ごとの参考文献と共にあればソースブックとしても本書の利用価値をさらに高めるのではないか。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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勤労者の視点から金融ビックバン,IT革命を分析。郵貯・簡保のナショナルミニマムとしての役割りを展望

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 郵便貯金・簡易保険の改革は行財政改革の戦略的高地になってきた。郵便公社化が2003年に予定されている。かたや金融システムの危機の第2ラウンドが進展し,ペイオフ解禁を目の前にして,国民の金融資産が郵貯・簡保へとシフトがさらに加速化している。国営金融の“異常な肥大”はどこまで進むのか,その経済的,社会的合理性の根拠は何か。また郵貯・簡保は金融ビックバン,IT革命の進展にどう対応するのか。本書はこのような課題に勤労者の立場からアプローチするとしている。
 第1部で勤労者の生活環境を家計,雇用,社会保障から,第2部で金融革命の勤労者家計におよぼす影響をナショナルミニマムと個人の金融排除という視点から分析して,諸外国の例からIT革命が低所得者階層の収奪型金融システムに陥るリスクを指摘する。それにもとづいて国民の金融サービスのシビルミニマムとライフラインバンキング機能の提供に郵貯・簡保の今後の積極的な存在理由と主張している。この役割をはたすために「郵便」「郵便貯金」「簡保」の3事業で公社移行を契機に一本化して,郵便局の窓口,郵便局員のレベルでも業務を統一化を主張している。
 つまり,ワンウインドー,ワンマン統合サービスの提供である。民間になぞらえばみずほグループにヤマト運輸を業務隔壁なしで統合することになろう。
 本書の第4章のIT革命の郵貯事業へのインパクトや第5章の諸外国における金融自由化にともなう金融排除の実態など貴重な分析を提供していることは評価できる。しかし,郵便,貯金,保険業の3業務の統合によりシビルミニマムを提供するという主張は説得力を欠いている。それは何よりもコストパフォーマンスの分析とその前提となるディスクロージャーを欠いており,そのような巨大な組織のガバナンスを担保する仕組みにまったく触れていないからである。今後これらの点について深掘りを期待したい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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日本経済に迫り来るハードクラッシュの危機。金融エコノミストが「旬の材料」を駆使してその具体像を描く

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 本書を読んで2つのことを考えさせられた。第1はタイトル通りに「日本経済に起きている本当のこと」の恐ろしさである。第2はインターネットと出版・活字メディアとの関係である。第1の点については,不良債権問題,財政赤字処理のおくれの“恐ろしさ”が,2000年に臨界点に達して新世紀には日本経済のクラッシュシナリオが現実味を帯びてくると色々なトピックを取り上げて鋭い切り口で語りかけている。根本問題を「世紀を越えて」先送りをした愚かさと罪深さを叫弾してやまない。これは著書のかねてからインターネット上で主張してきたことである。毎週の“旬の材料”をとりあげ,6万人のネット読者に訴求してきたことのインパクトは大きかったであろう。
  著者は日本経済をこの危機水域から救出するのはIT革命であるとしている。しかも,IT革命に期待されている産業革命の側面より,IT政治革命に希望をつないでいるように受け取れる。というのも,正しい情報がより早く,より広く共有された結果,有権者が賢くなり,無能な政治家にイエローカードをつきつける可能性が強くなっているからである。
  著者が本書のベースとなったテレビ東京の「ニュース・モーニング・サテライト」のネットコラムを引き受けたのはそのような想いがあったからであろう。このネットコラムの読者は“金融プロ”が中心であったために,単行本にして一般読者にも読みやすくしようと“後日談”というかたちでの解説と経済専門用語の注をつけ加えている。この追加作業はインターネットと出版活字メディアとの関係について考えさせられる問題を提出している。
 つまり村上龍やスティーヴン・キングのような作家がネット上で小説を進行させていくのとは違い,本書のようなリアルタイム性が売り物の経済時事解説を単行本として活字メディアに変換する意義とその場合の工夫はどうあるべきかという問題である。“天声人語”を単行本として出版するのとはちがった意味合いを持つべきであろう。日本の経済危機に関する考察をインターネット上で展開した後,活字化した本書はこのようなことを考えさせてくれる。
(C) ブッククレビュー社 2000

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