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先月(2017年4月)

波多野 龍さんのレビュー一覧

投稿者:波多野 龍

1 件中 1 件~ 1 件を表示

プロペラ機の最高傑作・アメリカの底力

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 P51は実にアメリカ的な飛行機であった。
 第二次大戦後半の米国が産んだ最強戦闘機、神秘な翼を持った『小さな友達』の物語。素晴らしい素質で生まれながらその成長は必ずしも平坦ではなかった。本書はその過程を手抜きせず丹念に述べる。

 暗雲垂れ込める1938年、来るべき対独開戦に怯える英国が米国の新興メーカーNorth American社に戦闘機開発を求めたことが発端になる。困難な基本設計を極めて短時日で仕上げたのは若きドイツ系移民であった。過去の技術的蓄積が希薄なことは若い会社の強みでもある、ムスタングには大胆で斬新な機構が取り入れられ、優れた基本設計を現実の機体に仕上げた。予定された有名メーカーのエンジンが不調で期待された性能が得られず、英国のロールス・ロイスがそれを救う。これも名機の誉れ高いマーリン・エンジンがムスタングの心臓となった。独系移民が設計した米国の機体に英国のエンジンが搭載され、プロペラ機の最高傑作が完成した。

 ムスタングにはAからHまで多くのバリエーションが作られた。戦争の進展に応じて様々な軍の要求が出され、其等を丹念に実現したNA社の技術力、そしてそれを可能にした戦時米国の工業力がムスタングの成長を支えた強力な背景である。本書に目を通して、ムスタングを産んだ米国の底力をあらためて感じる。

 原著はムスタングの生い立ちと成長を詳細に述べ、一方で戦歴は淡々と記述している。翻訳は必ずしも滑らかとは言えない。しかし読み続ける内に丹念な記述内容に良くマッチしている様に感じる。原著の濃密な内容を和文で述べる為にこの様なスタイルが選ばれたのであろうか。

 美しいイラストは定評あるところ。複雑な機器・装置を簡略化して表現し、理解しやすい画面に仕上げている。中でも、各型代表30機の側面塗装図とレーサー仕様機体が楽しい。P51の層流翼と他機の翼型の比較図もまた『ムスタングの神秘翼』に迫り、興味深い。コクピット図は低い視点からのイラストで、座席に深く沈んだ状態で見渡した機器・装置がよく判る。これと共に、操縦捍の機構・方向舵ベダル機構・燃料切替レバー・エンジン制御装置操作部、の各イラストを左右に並べて置くと、操縦者の興奮すら体験出来る。
 目を閉じるとあのマーリンの重い爆音が甦る様だ。
 好みの問題ではあろうが、最も美しいD型の大きなイラストが欲しかった。

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