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猪口 邦子さんのレビュー一覧

投稿者:猪口 邦子

2 件中 1 件~ 2 件を表示

日経ビジネス2000/7/24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 2年前、ポルトガルの首都リスボンで海をテーマに華やかに万国博覧会が開催され、またその年は国際海洋年として盛大に祝賀行事などが行われた。500年前、ポルトガルの船乗りバスコ・ダ・ガマが、ついに当時のヨーロッパ世界の念願であったアジアへの完全海上交通路を発見。これを契機に、欧州中心型の近代世界システムが誕生したわけであるから、欧州ではお祭りなのであった。
 500年前、欧州の対アジア貿易収支は赤字だったが、やがて交易より征服という選択を知った欧州はアジアを植民地化し、ヨーロッパ中心性を完成させる。
 著者は南米の帝国主義的搾取と現代にも及ぶ貧困の構造を告発する学問運動であった従属論学派の代表的研究者であるが、この大著はアジアに軸足をおいて世界システムを再検討しようとする画期的な視点を内包している。I・ウォーラーステインらがリードしてきた従来の世界システム論は、アジアをヨーロッパ求心性の客体としてとらえる程度にとどまるという弱点を、著者は本書によって鋭く突き、オリエント(東洋)を再度(re−)重視しようという表題にその主張を込めている。さらに、re−orientは方向付けをやり直すという掛詞にもなっている。
 500年より長い時間軸を取ることにより、アフロ・ユーラシアの経済力学の自律性と活力を明らかにできるのではないかという願いがそこにはある。また、例えば日本の鎖国政策が、その名称とは裏腹に実は当時の世界経済の力学と関係性を積極的に認識した内発的世界戦略の選択として再解釈できよう。南米の銀山搾取で銀が供給過多になり、金に対する銀の価格が下落した。銀の減産を余儀なくされた主要輸出国スペインは以降、欧州連合(EU)に加盟して再生するまでの長期にわたり自律性と活力を喪失する。当時、日本は銀の巨大な輸出国であったが、この危機に対して銀の輸出をほぼ完全に禁止したことで、近代世界システムの中でスペインなどよりはるかに早い中心性の回復を見た。
 著者の新たな史観への願いは大いに感じられる。長年、南米経済の悲劇を世界に問い、71歳の高齢で大手術から生還した知識人は、今回、アジアに光を見いだそうとした。あまりにも膨大な作業であるために、願いは願いにとどまっている感もあろう。しかしそれを問う前に、日本の学界やビジネス界に、このような世界からの眼差しに対して、人間社会に夢を与えるような内発的発展への活力があるかを自問しなければならないであろう。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本貧困と飢饉

2000/11/13 21:15

日経ビジネス2000/9/18

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 飢饉は戦争と並んで、古代から現代に至るまで広く見られ、どのような経済学者も発生構造の解明と防止にうまく取り組めないできた。
 紀元前436年には数千人もの飢えるローマ人がテベレ川に身投げし、カシミールのヴィタスタ川が屍で覆われて水面が見えなくなるほどの飢饉が記録されている。19世紀半ばのアイルランドのジャガイモ飢饉で全人口の5分の1が餓死し、それに匹敵する数の人々が北米に移民して米国の人的資源の基礎を成したことは有名である。最近でも内戦下のエチオピアやサヘル地域などで、世界経済の発展とは無縁にローマ時代の100倍、1000倍の規模の餓死者が出ている。
 飢饉の原因として、凶作による食糧供給量の減少(FAD=Food Avail−ability Decline)や流通の問題を思いつくが、貧困な社会に等しく飢饉が発生し、旱魃に見舞われたどの国でも発生するわけではない。
 ノーベル賞経済学者であり、インド出身のセン教授は、飢饉の発生について歴史統計や各地のケースを詳細に研究していくうちに、祖国の事例をヒントに決定的な発見をしている。人口の多いインドでは飢饉が歴史を通じて頻繁に発生していたが、1947年に独立してアジア最初の民主主義国となった時点から、飢饉は発生していない。インドはその後も貧しいままではあったが、飢饉の現象は発生しなかった。
 なるほど、経済学者には発見しにくかった根本原因が様々な表面的な原因の奥深くにあった。民主主義である。民主的国家においては、貧困はあっても飢饉は発生しない。独裁者がどのように英明であろうと、民主制下における民衆困窮への政治の敏感性と報道の自由がもたらす早期警戒機能に勝ることはできない。
 大英帝国支配下にあった頃、インド民衆の「死活問題が英国政府に無視され」続けた。43年のベンガル飢饉では150万人が餓死したが、この時ベンガルでは歴史上最大量のコメが収穫され、確かにマクロレベルでは問題は見えにくかったかもしれない。投機筋の価格操作や富裕層のパニック的な購入など一般的な経済要因があったとしても、それらが放置された理由も含め、より本質的な原因は非民主主義においてのみ可能な個々の人間の運命と生命の軽視である。
 センはこの記念碑的な書物で、人はみな生きるために必要な食糧を入手する本質的権利と資格を等しく有しているというエンタイトルメント(権原)の概念を飢饉の分析に導入し、経済における最も重要な問題は経済学では解けないことを思想的に明らかにした。
(C) ブッククレビュー社 2000

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