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読ん太さんのレビュー一覧

投稿者:読ん太

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キラキラ光る「くせ者」との出会い

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『口からうんちが出るように手術してくだい』というタイトルを読んで正直言ってギョッとした。昔、星新一の短編小説で、異星人が地球にやってきて世界の要人達が異星人の肩を抱きキスをして大歓迎するのだが、異星人の顔についているかわいらしいおちょぼ口は実は彼らの肛門であった…という内容を思い出してしまったせいかもしれない。
タイトルに驚きながらも読み進める内に、この意味がしみじみと理解できるようになった。
著者はADL(身辺自立度)的に最重度に分類される重度障害者である。24時間介護を必要としている。もちろんトイレも人の手を借りなければいけない。
本書では、著者の現在の状況(自立して賃貸マンションに一人暮し)説明と、時間をさかのぼって出生から、わずか3歳で親と離れての療育園生活、小学2年生で普通学校への転校、中・高校を経て日本福祉大学入学、カリフォルニア州バークレーの福祉視察ツアー参加によって訪れる転機、就職、自立に到るまでが綴られている。
全編を通してしばしば出てくる話題は、おしっこの事、うんちの事、一人の時間への渇望の事。当たり前のことに改めて気付かされた思いだった。
高い所の物に手が届かないので、背の高い人に「取ってください」と頼むのに抵抗はないだろう。それが、「パンツをおろしておしっこさせてください」と頼むとなるとどれだけ勇気がいることか!
また、いくら賑やかなところが好きだという人でも時には一人になりたいと願うことはあると思う。そんな時、どうするか?一番手っ取り早いのは部屋に閉じこもって受話器でもポンとはずしておけばOKだ。ふらっと、自分のことを知らない人ばかりが存在する土地にでも一人旅をするのもいいだろう。それが、著者の場合、24時間傍に人が付いていることを余儀なくされている。一昔前の嫁・姑の嫁は「厠で声を殺して泣いた」と言われるけれど、著者にはこれすら赦されていないことになるのか!?
当たり前の事を当たり前に書いてくれる貴重な一冊だった。著者が難問をクリアしていく姿は、読者に考える力と元気を与えてくれる。

最後に著者の生活の一部を紹介させてもらおう。
電話をかける時はどうするか?子機を持ち上げて、それから舌の先でホッペタを押す。ちょうど子供が飴玉をなめている時のようにホッペがポコッと飛び出すが、この飛び出しを使ってピッポッパだ。あっぱれ!
永六輔の「無償の仕事」という本の中で、『障害を個性と受け止めて…(中略)「障害者」という言葉を「くせ者」に変えたらどうか?』という一節があったことを思い出した。
ん、小島直子はキラキラ光る「くせ者」である。

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