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岡田 臣弘さんのレビュー一覧

投稿者:岡田 臣弘

3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本アジア新たなる連携

2000/12/01 21:16

アジアに奇跡の成長が再来するのか。東京に集まった最高指導者,専門家が,IT革命を背景に指針を提示した

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 マルクス,エンゲルスの共産党宣言風に言うなら「アジアに幽霊がでる。ITという幽霊である」。97年タイを震源地とした通貨危機から立ち直り切らないアジア各国を揺さぶるITとは,そも何なのか。ITがアジア再生の飛躍台になるのか。21世紀明暗を分け兼ねない課題だけに,しっかり考察し,行動するヒントが欲しい。本書は,月並みな表現だが「豪華メンバーによる熱い議論」で示唆に富む指針を示した。
 東京で開催した国際交流会議「アジアの未来」に結集した顔ぶれは,マハティール・マレーシア首相,リー・クワンユー・シンガポール上級相はじめ,米国,中国,台湾,韓国,インドネシア,ベトナム,フィリピン,ラオスなど,各国の現職政治家,有識者に,日本のNTTドコモ,新日鉄,伊藤忠のトップ,大学・研究機関のオピニオン・リーダーも加わった。論語は「知る者は言わず,言うものは知らず」と喝破したが,「知る者がタイムリーに言ってくれた」ようである。
 さて焦点のIT革命が「ビジネス環境を激変させ,アジアと各国経済発展を左右するカギ」との認識では異論がないだろう。問題は,情報インフラが整備された国と遅れた国との格差拡大である。インターネット普及率が,人口比22.4%の香港と,0.1%のインドネシアを放置したままでは「アジア連帯」も空疎に聞こえる。情報インフラの構築協力=新たな連携から,奇跡の成長を再来させる切っ掛けがつかめるかもしれない。
 本書が教えるもう一つの大事なポイントは,IT革命に浮き足立ってモノづくりをないがしろにする誤りと,各国が蓄えてきた伝統的資源の再生だ。
 ところで,アジアの将来を語る時,中国の経済改革と南北朝鮮の行方が不可欠のファクターになる。中国にとり21世紀初頭のWTO加盟は,内外の市場・技術・資本を活用できるチャンスである半面,外資の厳しい風に国内市場をさらす冒険でもある。
 交流会議で中国政府シンクタンク「中国科学院国情情報センター」胡鞍鋼主任は,「中国が直面する最大の挑戦は『人間の安全保障の欠如』」と指摘した。開放経済がもたらすグローバル化と並行し,雇用,所得,退職者,健康,文化,社会,生態環境など7つの国内不安解消が欠かせないというのだ。78年改革開放を指揮した小平の「モノ中心から人間中心のグローバル化」を提起し,革命政党・共産党の政策政党への転換を説いたのは新鮮だ。
 南北朝鮮の雪解けに関し,外相も務めた知日派の孔魯明・東国大学教授が,経済協力の前提に北朝鮮の武力統一政策放棄と国際社会の中での責任分担に言及した。南北和解フィーバーを戒め,経済・安保面での日米韓の役割分担を不可欠と説いたのは注目して良い。
 ところでアジア通貨危機の際,マハティール首相はIMF主導の再建計画に抵抗して自国流の再生に成功した。これにかかわったとされるマレーシア戦略国際問題研究所ノルディン・ソビー会長は「アジア再生と共通の家をつくるカギは十戒にあり」として,過去の過ちを忘れない,生産性に献身せよ,政治家はビジネスに口を出すな,対外直接投資に貪欲であれなど,ユーモラスに語ったのが印象的だった。
(C) ブッククレビュー社 2000

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中国・民族の政治地理

2000/10/20 21:15

中国の改革開放で,自立化に動く少数民族は国家統一と安定に新たな難題。歴史的・実証的に核心を追求する

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 改革開放が沿海部から内陸に及ぶにつれ,辺境に住む少数民族問題が中国の将来に立ちはだかる難問として浮上した。人口の95%を超える“支配者側”の漢民族に対して,55少数民族の大多数は,1000年をも超える独自の信仰,風俗,生活習慣を守ってきた。加えて開放政策は,彼等の自立化を促した。
 少数民族は,辺境の広大な地域に国境を越えてつながり,辺境には莫大な石油,天然ガス,希少金属などが埋蔵されているだけに,国境および資源開発の紛争地域になる必然性がある。
 本書は,中国の国境概念が,古来からあいまいだった点に問題の所在があると説く。「中国の伝統的国家観は,王化思想と中華思想を基盤とした文化国家であり,中央と周辺および漢民族と非漢民族は,『漢化』の受容によって中華民族として結び付けうる関係に基づいていた」。個々の民族性の認知を基礎に,国境を明確に確定してきた西欧的国家観とは,基本的に異なっているわけだ。
 取り分け近現代史で日本,欧米などの侵攻に遭遇した中国は,外に向けて,にわかづくりの国境線を引き,内に向けて行政区画を定めてきた。1949年成立した共産党政権は,冷戦下に米国が発動した共産圏封じ込め政策に対して,国家主権を維持し,国民党支持勢力や土着族を排撃するため,清朝時代の領域を基本的に継承した。民族識別作業が,国境確定作業より後回しにされてしまったのだ。
 本書は,1921年共産党結成以来の民族政策が,自決権,分離権,連邦制,自治制,民族平等などを巡り,たびたび動揺した現実を追求した。内蒙古自治区のように,同一民族のモンゴル国という独立国家と接した地域では,自治を大幅に容認してモンゴル民族の合併阻止を狙った。
 その一方で,共産中国の成立後の1950年人民解放軍によって力ずくで版図に入れたチベットには,一貫して中央統制の厳しい対応をした。結局,活仏ダライラマは59年チベット動乱でインドに亡命政府を樹立し,チベット分裂をもたらした。ダライラマによるチベット族の自由・民主確立,チベット平和地帯化という主張と活動には,89年ノーベル平和賞が授与され,共産党の国際的立場を苦しくしてしまった。共産党は,チベットの自治拡大,自由化が他の少数民族の自立機運を促すばかりか,江沢民政権の看板である台湾との合作に悪影響を与え兼ねないと,甘い態度は取れないのだろう。
 本書は,インターネットによる中国民族運動の展開に1章を割き,少数民族への人権抑圧,自立化運動などが,即座に世界を駆け巡る実情を具体的に紹介した。共産党が「従来のように情報規制を徹底するのは不可能であり,現状においてもすでに事実上破綻している」と断定した。共産党は,少数民族の生活改善で彼等の歓心を買おうとしている。同時に,少数民族地域に漢民族を移住させて漢民族を多数派にし,少数民族の自立化と信仰・伝統・風俗を抑圧してきた。こうしたアメとムチ手法は,すでに限界にきている。
(C) ブッククレビュー社 2000

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中国経済は30年余りで世界最大規模に。米国はこの巨大な“儒教社会的市場”を他国に奪われてはならない

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 中国ビジネスに関係する米国経済評論家とコンサルタントの2人が,中国の将来像を“慎重な楽観派”として描いた。
 筆者は,政治面では1998年から2002年までを過渡期とする。李鵬・全国人民代表大会常務委員長が筆頭の新保守派,朱鎔基首相傘下の官僚群,そして改革急進派,党長老,軍首脳,新国家主義者など入り乱れる不安定な状況となる。ただ,大変動はないと見る。
 本格的な改革は,中国が米国と並ぶ世界最大規模の経済大国になる2030年前後の第4〜第6世代(江沢民党総書記は第3世代)指導者になってから。共産党の名称は,国家主義と経済発展を志向した名前に変わる。民主集中制を放棄して,党内民主主義ができ上がり,新党は60〜70年代日本・自民党のように効率のよい執政党になると見通した点が面白い。地方政府は連邦制となり,台湾も平和裏の統一が具体化するとの楽観論だ。
 一方,経済面では中国の土壌を踏まえつつ,近代国家の価値観とも調和したネットワーク型“儒教社会的市場”が出現する。政治の連邦制を反映して,中国各地は9ブロックに固まり,経済の発展レベルでは,大北京,長江デルタ,中部沿海,黄金海岸(広東・深セン・香港など),台湾を加えた先進地域が先導し,これに長江中流,四川平野,東北地方,そしていささか遅れた東南国境地帯,西域などが続く。
 本書は,中国の将来を手放しでは楽観しない。ポスト江沢民を巡る保守党と改革派の権力闘争や反体制運動家に対する弾圧,台湾への威嚇,組織的な兵器密輸などは,危険要素である。経済面でも,政府高官の汚職,貧富格差拡大,国有企業システムの破綻と失業者の増大,公害まん延などの危険性にも言及する。
 これらの問題点を考慮した上で,本書はなお「中国株の買い派」と言い切る。根拠は,第一に78年からの改革開放の輝かしい実績であり,第二は,こうした実績を下敷きにした12億中国の発展性だ。中国は巨大化につれ,国内での政治,経済民主化が進み,国際社会のルールに沿って自己改革し,融和的になると見る。本書が指摘する,政治連邦制,経済ブロック化,ベンチャー企業家の経済主導,ネット社会・経済化などはうなずける。
 本書は,中国悲観論者への“説得”も忘れない。アジア周辺諸国には「中国脅威論」があるが,近代化につれ中国の肥大化は不可避だ。悠久な歴史を誇る中国に,外圧でその独自性を修正させるより,違いという認識に立ち巨大市場獲得のため折り合うべきと主張する。言外に「米国はライバル日本に出し抜かれるな」と訴えている。
 本書は,専門家の視点からは異論があろう。肝心な「儒教社会的市場」とは何か。ネーミングは魅力的だが中身があいまいだ。統計数字が錯綜し説得力も今一つ。全体の論旨も悲観論,楽観論の間を往来し,繰り返し部分も気になる。共著の欠点だろう。核抑止力をもつ米国は,中国の軍事肥大化を多少容認できても,日本,アジア周辺国の不安は否めない。さらに,90年代バブルが生んだ巨額の不良債権の完済を拒絶する中国各地の信託投資公司の身勝手を看過すると,将来に禍根を残さないかなど疑問が沸く。
 だが本書は,21世紀の巨竜中国をうかがう刺激的な情報と大胆な予測をふんだんに提供しており,一般読者には魅力的だ。
(C) ブックレビュー社 2000

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