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先月(2017年8月)

叶 芳和さんのレビュー一覧

投稿者:叶 芳和

3 件中 1 件~ 3 件を表示

中国の生い立ち,成り立ちを理解するための格好のテキスト

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 日中関係は一番微妙である。2001年5月の現在も,教科書問題や李登輝・前台湾総統の訪日問題でさざ波が立っている。中国に進出した日系企業も付き合いに悩むことが多い。厄介な国と思っている人もいるようだ。しかし,中国は日本にとって一番重要な隣国であり,中国との付き合いから逃げることはできない。
 日中友好の発展には相互理解を深めることが大切だ。本書は中国の生い立ち,成り立ちを理解するのに格好の書である。筆者は1976年から79年まで日本経済新聞の北京特派員であり,毛沢東時代から改革開放時代への移行過程が特に詳しいが,中国の近代化過程の全容を分析しており,日中摩擦の中国側の事情を理解するのに役立つ。
 本書は7編から成る。パート1・社会編,パート2・政治編,パート3・経済編,パート4・外交国防編,パート5・日中関係編,パート6・華僑編,パート7・資料編である。とくに政治・外交に紙幅を割き,特派員としての取材経験を生かし,臨場感あふれる読み物となっている。新聞記者の面目躍如たるものがある。2010年の展望としては,情報化時代の混沌とした「大衆社会状況」の出現で,少数軍人による「開明軍事独裁」のシナリオも想定されるとしている。パート5では,日中両国は共生の道を追求するほかに選択肢はないとして,草の根交流による相互理解を提案しているが,日本側に「対中友好疲れ」があることを中国側は直視してほしい,としている。
 読後感として,やはり中国理解は難しいものだと思う。本書は政治分析は臨場感もあり面白い。しかし,経済編は筆力に落差がある。いまの中国を動かしているのは経済である。産業化と経済発展が古い中国を突き崩しており,中国共産党を動かしている。このスピードがわかれば,中国に対し,もう少し積極的な評価に変わるのではなかろうか。中国の将来像については,政治学者は悲観的,エコノミストは楽観論というのが一般的構図であるが,本書も例外ではない。もちろん,本書は中庸を得ており極端な悲観論ではないが,それでも経済建設のスピードあふれる世界とは距離があるように思われる。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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世界の経済・財政改革

2001/05/01 22:20

財政再建に成功した各国の経験を紹介し,日本の財政改革の参考に

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 日本の財政は破局寸前である。国の予算は80兆円を超えるのに税収は50兆円しかない。国債依存度は40%,つまり国の予算は4割を借金でまかなっている。先進国の中で一番深刻な状況にある。景気回復のため財政赤字を拡大してきたのであるが,ここまでくると,財政が硬直化し政策選択の幅を狭め,あるいは金利上昇を招き,逆に景気回復の阻害要因になりかねない。
 じつは欧米諸国も,かつては財政の破綻(はたん)に苦しんだ。しかし,80〜90年代にかけて経済・財政改革を行い,いまでは収支がほぼ均衡するまでになった。各国はどのようにして財政改革に成功したか,日本も各国の経験に学ぶものが多いと思われる。
 本書は米国,英国,ニュージーランド,オランダ,イタリア,スウェーデンの経験を整理したものである。改革を牽引した主体のリーダーシップ,さらに改革に伴う副作用や負の遺産についても,洗い出しており,参考になる。荒療治のアングロサクソン型と政・労・使協調じっくり型のオランダ・モデルの対比もでき,有益である。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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説得力ある90年代不況の原因分析と,低迷脱出へ向けた処方箋

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 ゼロ金利政策にも,その解除にも,金融政策への批判は多い。景気はこれだけの長期低迷である。一般国民だけではなく,経済学者や外国からも,日本銀行への風当たりは強い。「失われた10年」に金融政策はどれだけ責任があるのか。著者は現役の日銀調査統計局長である。金融政策は魔法の杖ではないという著者は構造改革を提言している。政策当局の単なる弁明に終わらず,素人にとって説得力ある議論になっている。
 日銀が資金供給を抑制しているから,マネーサプライが伸びず,景気が回復しないという説がある。これに対し,著者は資金需要がないからだと反論する。買いオペ札割れの事実などを挙げて資金供給不足説を否定している。
 著者によると,いまの長期低迷の背景は,バブル崩壊によるバランスシート毀損(きそん)だけではなく,設備投資や個人消費が伸びず,しかもそれは構造的な貯蓄と投資のバランス失調に原因がある。資本効率の低下と企業のROE(株主資本利益率)重視の経営戦略への転換から,設備投資は低迷している。一方,消費者は将来の収入減や増税,年金不安から現在の消費を抑えている。とくに高齢者は将来の不確実性に備えるために貯蓄を行っている。これらの問題は金融政策では解決できない構造的なものである。
 設備投資を増やすルートはIT関連投資の伸びに期待している。貯蓄率を引き下げるルートは,歳出カットを軸とした財政再建の展望を早く出すことだという。また,資産を提供して死ぬまでローンを受けとれるようにリバースモーゲージの仕組みを改革すれば消費が増し貯蓄率が低下すると説く。
 しかし,本書の真の醍醐味は,経済学の教科書と現実の経済との違いの分析である。例えば教科書では金利が下がれば貯蓄率は低下するとされるが,日本では60歳以上の高齢者は将来の年金不安があるため,利息収入を得るため貯蓄をふやしている。理論と現実は逆である。こうした実態分析が随所にある。また,景気は回復に向かっているのにマネーサプライが増えない理由など,専門家ならではの分析が平易に説明されている。政策当局という現場の強みが生きていて,興味をそそる。
(C) ブッククレビュー社 2000

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