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野山 和夫さんのレビュー一覧

投稿者:野山 和夫

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本竹中教授のみんなの経済学

2001/02/20 18:16

日本人が生活の中で直面する身近な経済問題を取り上げ,経済学の立場からわかりやすく解き明かす

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 最近の大学受験生の間では,経済学部は以前ほど人気がないようだが,その一方で書店の本だなには「早わかり」や「わかりやすい」を売り物にした経済,あるいは経済学の入門書が目につく。中にはベストセラーにランキングされた本もあり,著者が電通マンとの共著で書いた「経済ってそういうことだったのか会議」も版を重ねている。
 著者は政府のブレインとして活躍するかたわら,マスコミにも度々登場するなど,現役の経済学者では最も知名度の高い1人といってよかろう。この本のカバーには著者の写真が大きく印刷され,書名にも著者の名前がつけられている。著者の知名度を利用して,二匹目のどじょうをねらった出版社の意図を,はっきりと示しているわけだ。
 前著は電通マンとの対話という形式をとったのに対して,今回は五人家族を想定して,それぞれの立場から提出される具体的な疑問に,著者が答える形をとった。要約やマンガをつけたり,用語解説をつけたりするサービスは,別に目新しい手法ではない。とり上げたテーマも類書と大同小異である。
 となれば,疑問に対して答える著者の包丁さばきが,この本の評価を決めることになる。その点では,さすがに鮮やかな手さばきというべきだろう。巧みな比喩(ひゆ)や豊富な実例をあやつって,経済学に無縁な読者にもわかりやすく,興味深く読める内容である。とり上げたテーマは日本経済を中心に企業ガバナンスから女性労働に至るまで幅広い。IT革命がなぜ「革命」なのかも,説得力のある文章で解説されている。
 ただ間口の広さのせいか,問題の掘り下げの深さの点では,著書が自負するほど成功したとはいいにくい。特に問題解決のための具体策を,もっと聞きたい読者が多いはずだ。日本経済を土台から揺るがしたバブルについての,まとまった解説がないのも物足りない。
(C) ブッククレビュー社 2000

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現代日本経済の課題

2000/12/28 12:17

戦後最大の転換期に直面する日本経済の現状と課題を,11人の研究者がマクロ,ミクロの両面から論じる

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 バブル崩壊後の日本経済は,相次いだ政府日銀の緊急対策にもかかわらず,再生への軌道に十分には乗らないまま,新世紀をむかえた。この危機のキーポイントは何か,危機をどのように打開すべきかをめぐって,さまざまな主張がなされ,マスコミや書店の店頭をにぎわせている。
 この本もそうしたものの一つだが,他の本と違った特徴がいくつかみられる。第一に11人の研究者がそれぞれ与えられたテーマについて論じており,特定の著者あるいは緊密な共同研究の成果と違って,全体としての統一性は乏しい。ただそれぞれのテーマについては手がたくまとめられているので,一冊の本というよりも,11人の論文集として読むべきだろう。
 第二の特徴は現代日本経済の課題のなかでも,少子・高齢者問題,地球環境問題,エネルギー問題など,中長期的なテーマにも一章を設けている。交通問題や国際会計基準の解説を扱う論文も登場する。
 第三に,これだけ間口を広げた為か,緊急性の強いIT革命の位置づけ,行財政構造の改革,企業経営の方向づけなどについては,まとまった論文は見当たらない。もちろん,これらに触れた部分はあるが,「課題」というほどの十分な論究は行われていない。
 以上のような特徴をわきまえたうえで,この本が自分の必要な内容を持っているかどうか,判定すべきだろう。第一の特徴から想像できるだろうが,論述ないしは分析の視角は論文によって異なっている。日本経済の現状と課題を論じた序章が,かならずしもあとに続く各論で有機的なつながりを持って論じられているわけではない。
 この本は経済系学部の大学生や若い社会人が,日本経済の現状認識を深めるために入門書として活用するのには役立つだろう。卒業論文の書き方に悩む学生のサンプル集としても使えそうだ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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戦国から江戸期の人々の言動から日本人の経済観のあり方を考える。特に経済倫理の形成に焦点

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 380ページほどの本に,60の旅行記が詰め込まれている。いずれも戦国時代から江戸時代にかけての人物に因縁のある場所である。著書は北は八戸から南は対馬まで,本州,四国,九州の各地を訪れ,その場所に関係のある先人の言動を紹介する。
 巻末の簡単な著者紹介によると,著者は現役のキャリア大蔵官僚であるらしい。60の場所を訪れるのに3年半かかったと書いているが,忙しい官僚生活の中で,この短期間でこれだけの旅をやってのけるのは,よほどの旅行好きでなければむずかしいだろう。著者の関心は戦国時代から幕末にかけて活躍した歴史上の人物の経済観にある。旅行前に資料(巻末に列記)に眼を通したのだろうが,できるかぎり原著に当たっているようで,これもたいへんな作業であったに違いない。なにしろ,登場する人物は戦国大名,将軍,幕臣,豪商,思想家から義人にまで及んでいる。
 冒頭に出てくるのは,本書で唯一,中世人といえる蓮如である。旅行先は蓮如が北陸布教の拠点とした越前の吉崎御坊の跡地。そこに立った著者は「自らのなりわいを続けつつ,阿弥陀仏への信仰を深めれば救済される」という蓮如の思想を,マックス・ウェーバーの『プロテスタントの倫理と資本主義の精神』と同質のものとみなし,近世の日本人の経済倫理形成の原点と考える。
 最後に登場するのは坂本龍馬である。著者は龍馬が脱藩した後の経路をたどり,ついには山中の積雪で立ち往生する。その中で龍馬の自由で合理主義な思考,人々に愛される人間的魅力,なかんずく「将来を見据え全体のことを考える無私という美質」を,これから日本が世界の中で生きていく上で,最も必要な資質だと断定する。
 龍馬に代表されるような望ましい「無私」が,「幕府の私」を受け継いで「薩長の私」が権力をにぎったことで,十分には受け継がれなかったのではないかと,著者は残念がっている。最終章の見出しは「出でよ,龍馬」である。
 さまざまな人物が簡潔に紹介されている点で,この本は経済に視点を置いた戦国,江戸時代の人物小辞典ともいえよう。巻末には人物索引もあるから,特定の人物の事跡を手っ取り早く知りたい時に便利な本である。
 ただ1章が6〜7ページの短さなので,旅行記としては興趣に欠けているのが多い。人物紹介は原点主義をとり,「あとがき」では声を出して読むようすすめているが,分量が少な過ぎて著者の期待するような「何百年も前の人々の息吹き」を感じ取るには,ものたりない。月刊誌の連載という制約のためだろうが,単行本にする時,書き加えるという手もあったのではないか。
 それにしても,今,世論の批判の嵐に遭っている大蔵官僚として,この大旅行を終えて何を感じたのか,総括的な印象を最後に聞きたいと思うのは,評者だけではあるまい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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マネタリストのバブル不況論。金融政策と規制緩和の重要性を強調し,“日本らしさ”への回帰を提唱する

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 著者は経済企画庁育ちの官庁エコノミストで,早くから日本経済を中心に研究論文や啓もう書を数多く発表してきた。「失敗の本質—復活への戦略」とサブタイトルをつけた本書は,いうまでもなくバブルの発生,崩壊の後処理に苦悶する日本経済の現在をテーマにしたものだが,同様のテーマについて書いた3冊目の著書だという。本書は,マネタリズムに立脚して金融政策と不良銀行処理の誤りを「失われた十年」の元凶と断定した前半部と,同じ視角から内外価格差,土地・住宅・都市問題,企業経営,少子高齢化などの諸問題を論じた後半部から成っている。
 質量ともに読みごたえがあるのは前半部で,金融当局の「誤まった政策思想」によるマネーサプライ軽視の政策が,10年不況をもたらしたと力説する。貨幣政策だけでなく,信用秩序維持政策も“ゾンビ銀行”延命という誤まった政策で,かえって問題を深刻化させた。ここでは銀行の特殊性を徹底的に否定し,北海道経済と拓銀破たんの関係を検討して,銀行過保護を批判する。著者によると,経済政策における財政政策の役割は小さく,したがって10年不況の“犯人”は日銀ということになる。しかし,政策選択と政府首脳,大蔵省の不透明なかかわりにまで立ち入らない限り,“犯人”探しは不十分といえるのではないか。
 後半部は分量の割にテーマが多岐にわたるせいか,論述はかなり荒削りになったが,時には意表を突く切り口から,鮮やかに日本経済の構造問題を料理してみせる。ただ国民の多くが重視する財政や社会保障は,本書では扱われていない。
 本書の魅力は,明快な論旨が工夫をこらしたデータや国際比較にも目を配り,読者に新しい知見を提供する意図で展開されていることだ。著者は,しばしば政府やマスコミが流す“通説”と逆の結論を導き出す。書籍を何冊か読み終えた読者にも,新しい発見があるはずである。
 もっとも,本書が提示する「復活の戦略」は,格別に目新しい処方せんではない。「金融を大胆に緩和し,不良債権を明るみに出し,規制緩和と減税によって政府の経済への関与を縮小する」という徹底的な市場主義の戦略論である。著者はこの立場から,“遅れた分野”の生産性向上と先送り体質からの脱却によって,日本経済の再生は可能だと力説する。
 しかし,現在の時点で「復活への戦略」を論じる時,何よりも重要なのは,「何をなすべきか」だけでなく,どのようにして日本を改革路線に乗せるか,ではなかろうか。これが著者のいう「日本らしくなれ」というかけ声だけで実現できるとは考えにくい。方法論には経済だけでなく政治や社会論にも議論は広がる。しかし,著者は公的立場への配慮なのか,政治への言及をかたくなに避けている。
(C) ブックレビュー社 2000

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