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レビューアーランキング
先月(2017年8月)

植松 英明さんのレビュー一覧

投稿者:植松 英明

4 件中 1 件~ 4 件を表示

中台統一を民族の大義とする著者が,その当然と必然とを10年先を見通して説く民族愛の書

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 2000年5月の台湾総統選挙をにらんで2月,中国は「台湾側の統一交渉無期限延期は,中国による武力行使の根拠となる」と,台湾側へ圧力をかけた。結果は,「頑固な独立派」と中国が評して,その名を呼び捨てにしていた陳水扁が勝利して意外な柔軟路線を表明,両岸関係は小康を得ているが,2001年末の立法院選挙で今の少数与党が多数を取り得るか,統一指向が強いと中国側がみる野党側が勝つのかという問題もあって,両岸間の駆け引きがまた活発に行われている。「一つの中国」を巡るこうした政治・経済両面にわたる複雑な動きを克明に追って,滞日14年の著者が自らの分析を加えつつ,その表裏を要領良く日本の読者に解説している。
 「一中国人として(中略)強烈な統一ナショナリズムを持つ故郷の親戚や知人からの影響があることを否定できない」と,山東省出身の著者が敢えて言う通り,その叙述は明快だが時に説得調で硬い。台湾側新政権を評するには,「追い込まれた」「・・・という厳しい現実」などの表現が多く,片や中国側は戦略的に自由に意思決定している叙述であるのが気になる読者もあろう。
 しかし,政治面の事実関係は両岸等しく網羅されていて,その意味合いがきちんと解説されているし,経済面でも,中国と台湾双方のWTO(世界貿易機関)入りは,台湾側の「三通」(通郵,通航,通商)制限を難しくして結局,統一への政治交渉へつながるなど,見過ごされがちな点を突いている。両岸軍事力の今の比較とその先行き,また米国に予想される動きについても中国なりの判断が示されていて,極東のパワーバランスを考える上で参考にもなる。
 読者は,こうした両岸関係の展開をみることで,現象への理解を深めるだけでなく,いわゆる華人の発想,やり方,その裏にある世界観なりを感得しえよう。両岸関係は,日本にとって対岸の火事ではない。日本の影響力に限界があるにしても,一般にもっと関心を持たれるべき事項だろう。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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「物流」を社会・経済トレンドとの関係で検証・解説,ビジネスロジスティクスとしての展望を示す

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 IT革命,規制緩和,グリーン化,グローバル化という,21世紀初頭にも進行中の普遍的なトレンドと「物流」との関係を事例を基に検証・解説。物流関係のほとんど全業種の課題と方向性が明解で、社会・経済的価値のレベル,つまり物流を企業戦略のビジネスロジスティクスとして,その展望を説く。また日本の物流分野が世界の動きに遅れをとっているとする著者の問題意識が,全編に緊張感を与えている。
 物流に関する本というと,特定企業の物語,荷主側からのコスト削減要求と同じ内容のものなど,とかく幅の狭いものが多い。広範多岐に及ぶ「物流」という事象の一部を撫ぜて終わる例もあるが,本書は明らかに違う。物流を社会・経済の基本的重要事とする明確な思想が各頁を覆っていて,物流関係者にとっては応援歌を聴く思いもしよう。
 本書はデザイナーにも恵まれたのか,美しく読み易い。「あっ!という間にわかる」のキャッチコピーも納得できる,読後感の良い本である。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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アメリカの河川博物館

2000/07/17 06:20

河川博物館の普及と機能拡充を目指す「河川博物館協議会」による博物館先進国事例の調査報告。米国編

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 小さな町の河畔の静かなミュージアム,風情ある外輪蒸気船の写真や模型−−そんな情景を想像してページをめくると,初めは驚かされる。読み進めばそうした博物館も出てくるのだが,巻頭グラビアは首都ワシントンの国立米国歴史博物館と国立航空宇宙博物館である。
 「河川博物館協議会」が1998年に派遣した調査団の報告をもとに編さんされたもので,スミソニアンの科学技術系の博物館のほかに,オハイオ河川博物館,ミシシッピ河川博物館,C&O運河国立歴史公園ビジター・センター,五大湖科学センターを詳しく叙述している。姉妹書「新時代の河川博物館−−欧州にみる河川博物館の可能性」と同じく,編さん目的は主として河川行政関係者の参考となることにあろう。
 本書は展示のコンセプトの立て方や具体的技法について,民間のその道に詳しい人たちがよく観察して記しているので,博物館をこれから創ろうとする一般の人達や,博物館での展示を考える人達にもよい参考となろう。
(C) ブックレビュー社 2000

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河川博物館の普及と機能拡充を目指す「河川博物館協議会」による,博物館先進国事例の調査報告。欧州編

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 河川行政が従来の治水,利水にとどまらず,環境という新しい要素を加えて事業に取り組むにあたり,河川博物館というツールを通してどのように情報発信を行いうるか,またこのツールを児童教育にいかにして生かしてゆけるかという,明確な目的意識を持って編さんされた,類の少ない一冊。
 この方面で一日の長がある欧州諸国の博物館や 資料館への訪問を通して,それらの機関の設置目的と運営の実態,社会的・文化的ニーズの変化とそれへの対応などを叙述する第二章約100ページが本書の中核。治水事業の広報センターが今ではテーマパークになりつつある例(オランダ),都市再開発における情報開示方式(ドイツ),地域再開発を目的として建設された博物館などの教育施設群(フランス)など大規模なものから,“ライン河と船舶の文化”をテーマとする小さな博物館まで,多彩な例が紹介されている。姉妹書に「アメリカの河川博物館」がある。

(C) ブックレビュー社 2000

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