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レビューアーランキング
先月(2017年8月)

海法紀光さんのレビュー一覧

投稿者:海法紀光

4 件中 1 件~ 4 件を表示

97年の夏の忘れ物

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 あの、暑い97年の夏の忘れ物だ。
 当時、雨後の筍のように市場を席巻した、エヴァの「謎本」ブームだが、終わってみれば、読むに値するものは数少なく、独りよがりの解釈を孫引きの資料で糊塗したものばかりであった。その頃、欲しかったのが、こんな本だった。
 本書は神秘学について博識な作者が(なにせ、使徒の名の元ネタ、マルコム・ゴドウィンの『天使の世界』の訳者だ)、三年の月日を費やした労作である。本のスタイル自体は、TV版26話、劇場版2話を、1話ずつ検証し、様々な象徴を通してプロットを解釈していくというオーソドックスなもの。ただ、天下りに用語や概念を押しつけるのでなく、セフィーロートや天使の名にせよ、元々の語源や歴史的、文化的な位置づけ、変遷を追いながら作品世界の中に位置づけているため、注釈本としても蘊蓄本としても珠玉の出来である。
 あの頃、何度もビデオを巻き戻して、加持リョウジの死因や、三人目という言葉の意味に激論を戦わせた人あなたや、あるいは今からエヴァを見てみようというあなたには、お勧めである。
(海法紀光/翻訳家・ライター http://www.amecomi.com/)

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エンダーズ・シャドウ 上

2000/11/05 04:47

<エンダー>シリーズ愛読者・必読の一冊

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 昆虫型異星人バガーの襲撃によって、大きな痛手を被った地球。次なる襲撃に備え、世界中から集められた天才児達が軌道上のバトルスクールへ召喚され、地球を救う司令官となるべく過酷な訓練を受けていた。過酷な競争の中で天分を表し、人類最強の司令官となったエンダー。
 歴史は語らないが、彼の活躍の影には、もう一人の超天才、もう一人の司令官候補が隠れていた……。
 本作は『エンダーのゲーム』とリンクした作品であり、前作でエンダーの副官の一人であった、ビーンの視点から描かれる。
 ストリート・チルドレンとして生死の境を生き抜いてきたビーンにとっては、人間であろうとシステムであろうと、パワーゲームの手駒に過ぎない。やりすごすか、支配下におくか、破壊するかだ。その危うさは、大きな魅力である。
 心に愛を持つエンダーが友人達に囲まれながらも孤高の道を歩んだのとは対照的に、ビーンは友を持たないまま複雑な人間関係やシステムの中を渡り歩く。その中から、前作の事件の裏にあった様々な人間関係や葛藤が明らかにされ、事件の意味は二転、三転してゆく。
 前作のサイドストーリーということで、だいたいの結末は予想できるわけだが、本作の展開はあらゆる意味でスリリングである。
『エンダーのゲーム』を楽しんだ人なら、必読の一冊である。

(海法 紀光/ライター・小説家・翻訳家 http://www.amecomi.com/)

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<エンダー>シリーズ

『エンダーのゲーム』 ヒューゴー賞/ネビュラ賞受賞

『死者の代弁者 上』
『死者の代弁者 下』 ヒューゴー賞/ネビュラ賞受賞

『ゼノサイド 上』
『ゼノサイド 下』

『無伴奏ソナタ』 短篇版「エンダーのゲーム」収録

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アメリカン・コミック・ヒーローの最良の部分

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 それは、あるクリスマスの夜のこと、華やかな祝典の影で飢えて衰弱した浮浪者と出会ったスーパーマンは、飢餓問題について、自分の力を尽くすことを決意する……
 軍隊をも越える力を持つ個人が、国境を、政治を越え、世界を変えようと志した時に果たして何が起きるか?
 無論、たとえスーパーマンの力を持ってしても、世界の飢餓が一朝一夕に解決できるわけではない。本書の眼目は、ただ、苦しむ人から目をそむけることを、潔しとしない男の生き様にあるのだ。
 そうしたスーパーマンの、多くの苦悩を噛みしめてきた男の表情を、ロスの筆は力強いタッチで見事に描き出す。
 この横顔を見て、この男のことがもう少し知りたいと思ったのなら、ぜひそのきっかけを大切にしてほしい。60年に渡って受け継がれてきた、アメリカン・コミック・ヒーローの最良の部分がここにある。
参考:アレックス・ロス公式サイト
 http://www.alexrossart.com/)

(海法紀光/翻訳家・ライター http://www.amecomi.com/)

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アメコミの原点をとらえた本

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 スーパーマン/ピースオンアースと同じく、ゴッサム・シティの犯罪に果てしない戦いを挑む男の物語である。
 少年時代、強盗によって両親を失ったブルース・ウェインは、その後の人生のすべてをなげうって、犯罪と戦うことを誓う。
 実際のところ、ウェインにとって、バットマンとしての活動は、犯罪との戦いの一手段でしかない。大富豪ブルース・ウェインとしての社交パーティや商談でさえ、彼にとっては昼の間の戦場なのだ。
 そんな中、ウェインは、両親を強盗に殺された後、生きるためにギャングに身を投じる少年に出会う……。
 バットマンは復讐から生まれたヒーローであり、その行動には影がつきまとう。だがディニの描き出すバットマンは、己の復讐よりも、子供の未来を思う男である。
 スーパーマン/ピースオンアースと同じく、アメコミの原点をとらえた本書は、アメコミを初めて読む人にもお薦めできる一冊である。
参考:アレックス・ロス公式サイト
 http://www.alexrossart.com/)

(海法紀光/翻訳家・ライター http://www.amecomi.com/)

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