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  3. 寺田 欣司さんのレビュー一覧

寺田 欣司さんのレビュー一覧

投稿者:寺田 欣司

17 件中 1 件~ 15 件を表示

シンプルで実践的な「ロジカル・シンキング」を,コミュニケーション技術の向上に焦点を絞って解説

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「論理的」をかぶせたハウツー書は書店にあふれている。しかし「論理的・・」の著者が女性であるのは珍しい。関心をひかれるのは評者ばかりではないだろう。直観力に優れるのが女性,ロジカルに考えるのは男性の特技と暗黙の了解があるからだろうか。だが,本書で著者が主張することは,標題の「ロジカル・シンキング」よりも,むしろ「プラグマティック・シンキング」といった印象が強い。これなら女性の特技が十分生かされるフィールドである。
 「論理的思考とは何か,論理学を実務に役立たせられないか」と大上段に構えて本を探している読者には,少々物足りないだろうが,このテーマ設定が逆に一般の「論理的…」本に比べて,はるかにビジネスの現場に役立つ本にしている。それと言うのも論理的思考がなぜ大切かを,「コミュニケーションの方法」に焦点を絞って解説しているからである。自分の考えを整理し,説得力を持たせるうえでは「論理的思考」は欠かせない。他の類似のタイトルをつけた本は,押しなべて総花的に論理的思考を解説しているため,ビジネスパースンにとって,読んで分かったようでいて実践に活用しにくい。
 本書は,著名なコンサルティング会社,マッキンゼー社のコンサルタントたちが活用する,「相手に伝える,説得する」技術の基本を簡明で,しかも懇切丁寧に解説したものだ。さらに,多くの問題,トレーニング用のケースを提示して,読者の論理的思考能力の向上に役立たせようとしている。グローバルスタンダード化が叫ばれている21世紀初頭である。ビジネスパースンの基本的能力として「論理的思考能力」が,一段と重要視されてきている。「論理的に思考を整理する」と「論理的に構成する」ことについて論理的アプローチを,それぞれ2つにパターン化して,それを「技術」としているところがユニークであり,また実践での応用が利きやすい内容になっている所以でもある。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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交渉にまつわるあいまいさ,優柔不断を払拭し交渉力を高めるための指針を示す

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 「優れた意思決定」および「優れた組織の意思決定」を上梓(じょうし)し,好評を得た著者の第3作である。ビジネス社会においては意思決定の局面において「交渉」はつき物である。最新作はこの「ビジネス交渉」に焦点を絞った。著者は「交渉は術でしかない」という重大な誤解があると指摘する。しかし,アメリカでは認知心理学,実験経済学,ゲーム理論,政治学などを基礎として「科学としての交渉」が目覚しい発達を遂げている。
 著者はアメリカに学び,かつシカゴ大学の教壇にも立ち,アメリカにおける「交渉」の科学に詳しい。その体験を土台に「科学としての交渉術」を展開し,交渉とは「単なる駆け引き」ではなく,その体験をもとに,交渉とは「パイの取り合い」ではなく,「双方の利益を交換」し,「創造的問題解決を図る」道具であるとして明快な解説を展開している。しかも,単なる欧米の研究成果の紹介だけではない。近年アメリカのビジネススクールに学ぶ日本の若者の多くは,「コミュニケーション理論」の講義に感銘を受けるという。その中身のひとつに「交渉」がある。
 グローバリゼーションが叫ばれる今日,日本のビジネスマンに望まれるものに,ネゴシエーション能力の向上がある。交渉を科学すれば双方の利益の最大化,創造的解決が図られるとする本書は,今日のビジネスマンに多大の示唆を与えるものだ。
 「交渉とは何か」を改めて考えさせてくれる本書は,現代のビジネスマンの必読の書のひとつといって過言でではないだろう。なお著者は現在,慶応大学の総合政策学部において教壇に立っているが,日本の大学ではこうした研究テーマに関連する講座があまりにも少ないと嘆いている。評者も全く同感であり,民主主義社会の成熟のためには,本書の内容が示すような「啓蒙」がぜひとも必要だ。著者のさらなる研究の深化を期待するとともに,読者としてその成果を共有したいものだ。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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組織の意思決定の特徴を理論的,実際的に分析し,優れた意思決定への道を示す

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 ずばり好著である。筆者はすでに「優れた意思決定—判断と選択の心理学」と題した書を上梓(じょうし)し,好評を得ている。本書はその続編として組織の意思決定に焦点を絞り,組織行動のダイナミズムに科学的な眼を向けた。なぜ組織ができるか,組織の目的はなにか,そしてさらに,組織の意思決定はどのような過ちを犯しやすいか,組織の肥大化はなぜ起こるか,なぜ組織活動は停滞するか。
 著者はこれらの命題を「意思決定論」の立場から,社会心理学,認知心理学,経済学,ゲーム理論,コミュニケーション理論などの既存研究の成果を踏まえ,さらに適度の事例を入れながら分析し読者に明快な回答を示す。そのどれもがロジカルで明快な理解しやすい解説で,少なからず知的興奮をももたらすものとなっている。同種のテーマを掲げた本は書店にあふれているが,それらは実務に疎い学者の難解な語句を連ねた研究論文であったり,部分的に納得を得られても体系的な解説には程遠い実務家の経験談である。
 ビジネスマンたる読者にとって,これらの書から得られるものは限定的である。しかし本書はそれらの本と明らかに一線を画している。アメリカで学びかつ教壇に立った経験のある著者は,前著「優れた意思決定」の前書で,「過去の科学的知見の蓄積に依存し,そこに基礎を求めている。単なる私の体験談や主張を述べているのではない」と触れているように,組織行動について科学的にかつ体系的な解説をすることで,読者に数多くのメッセージを伝え,読者の頭の整理も促している。内容豊富な本である。
 著者は体験談を述べているのではないとするが,都市銀行に勤め,中央官庁勤務の経験を持ち,さらにアメリカの社会に身をおいた体験から得た知見をさらりと語っており,それもまた示唆に富むものが多い。
 本書はグローバルスタンダード化がうたわれる今日のビジネスマンにとり必読の「教養書」と断じて過言ではない。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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日本の組立型産業における戦略的企業間連携による先進的コスト管理システムの実態を明らかにする

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 本書は,ABC(活動基準原価計算システム)の提唱者で著名なクーパー教授が,カンバン方式,カイゼンに続く,欧米企業が学ぶべき日本型生産システムを紹介するものだ。テーマは組立型産業と部品供給産業間における,企業間連携によるコスト管理システムである。調査対象企業は全てわれわれに馴染みの深い日本のメーカーであり,書かれている内容も実態を正確にとらえており違和感がない。
 日本の産業界では,バイヤー(完成品製造企業)とサプライヤー(部品供給業者)は,製品設計段階から情報を共有し,原価管理目標を同一にし,両者が互恵的関係を保ちながら製品コストの削減を追及することは一般的に見られるものだ。極秘の製品情報も交換し合い,材を交流し,資金的援助も与え,互いに助け合って生産サプライチェーンを構築している。そしてこのシステムが,自社内で自己完結させるコスト管理よりもはるかに有効で,製品開発やコスト削減に大きく貢献している。
 ところが欧米企業は一般的にバイヤーとサプライヤーは利益相反的であり,敵対的関係にあって両者を結びつける絆は唯一「契約」と考え,両者が製造上の機密情報を交換するなど考えられないとする。ではなぜ日本の産業界では両者は「互恵的関係」を保つことができ,コスト戦略でも,製品戦略でも成功しているのか。企業間においてどんなシステムを構築し,どのように運用しているのか。その成功のポイントは何か。これを徹底的に分析し,微に入り細にわたって解説し,欧米企業人の理解を促しているのが本書である。
 日本人ビジネスマンにとって目新しい経営戦略が書かれているわけではないが,自分達が当然と考えている行動様式を,別の目で分析し論理的に解説する本を読むことは,決して時間の無駄ではなく,頭の整理にも良い。日本の先端的リーン企業(無駄を徹底的に省いた効率的生産を行なう企業)の行動原理を学習する上でも貴重な本だ。企業間連携コスト管理システムは,いずれ「カンバン方式」「カイゼン」などと並び,日本企業が開発した先進的生産管理システムを象徴する世界的経営用語になるかもしれない。
(C) ブッククレビュー社 2000

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ビジネスが進展する中で,いま何をなすべきか,そのために必要なことは何か,IT時代の経営戦略を提案する

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 革新的な経営戦略が生まれると事例紹介の形で本が出版される。しばらくすると類似の事例を整理分類し,それらをグループごとに一つのコンセプトにまとめ上げて解説する本が出る。さらにそのコンセプトが体系化,理論化され,経営戦略の方向を示す本が生まれる。出版の世界ではいつもこうした繰り返しが見られる。
 eコマースに関する本は,今どの書店にも山積みされているが,現状の多く書籍の内容はその第1の分類に属するものだ。しかし,本書は第一部において,この2番目の手法で「Eビジネス市場」を解説し,第二部において第3番目の手法で「Eビジネス時代の経営戦略」の具体的手法を説くことで,第2から第3分類にまたぐ,2冊の本を1つにまとめたものだ。
 第一部の「市場」編では,情報通信技術の発達によって,従来一括して(バンドルされて)提供されてきたサービスが,「探索」「送達」「保証」「金融」の4類型の機能にアンバンドル(分割)され,それぞれが新たなビジネスを生み出しているとする。このコンセプチュアライズは,異論もあるだろうが,eビジネス社会における市場戦略の方向感覚を適切に示すと言えそうだ。そしてこのために,安価かつスピーディーに業務の多様化を図ることができ,また参入障壁の低い市場が形成されるなど,革新が図りにくい大企業より,ベンチャー企業の方が有利な環境が形成されるとする。
 そして第二部ではこうした時代の変化に対して,既存企業の自己改革の方向性を,豊富な事例を取り上げて示唆している。いささか欲張りな本であるために,広く薄くの感なきにしもあらずだが,まことに読みやすい文体と内容であり,さっと通読して自分にとって有益な部分はどこかを見つけ出すのに苦労はない。eビジネス隆盛への過渡期にある今日,そのトレンドを巧みにまとめた本として,一読することは決して時間の無駄ではない。
(C) ブッククレビュー社 2000

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会社の合併に関する法務と税務について,制度の変遷,解釈論,実務上の取扱いに関し詳細に解説を試みる

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 日本の企業社会にもM&A,企業合併,営業譲渡などの経営手法が流行し始めた。こうした経営手法を円滑に進めるためには,企業合併に関する法務と税務の専門的知識が不可欠である。M&Aコンサルタントであっても,法務と税務に精通しているとは限らないし,彼らの知恵を活用するためにも,企業側もこれらにある程度通じている人間を養成する必要がある。
 そうした意味で本書は今日の時代の企業実務家に,必須のテーマを取り上げた本と言える。本書は初版以来20年以上を経ているが内容の充実が著しい。版を重ねるごとに,会社合併に関する法務と税務についての法改正や取扱い通達,そして解釈論の変化の歴史を内容に反映させてきた本書は,今や専門実務家にとって貴重な座右の書となっていると言えよう。法解釈,税務上の解釈,そして望ましい実務上の取扱いに関する詳細な記述は,網羅的であるとともに実に詳細でもある。
 ただ,企業内において合併作業を担当する実務家からこの書を見ると,法改正の経緯に関する記述や,多様な解釈の解説は必ずしも必要なものではなくむしろ煩雑で,それがかえって理解を難しくしている。むしろこうすれば大きな誤りとはならないだろう,と断定してくれる方が実務家から見ればありがたいだろう。企業実務家向けのハンドブックとしては,いささか記述方法が古いといわざるを得ない。より現代流あるいは企業実務家向けに,事例の図式化,フローチャートの活用,目次の工夫,Q&Aの多用などの工夫が望まれるところだ。
 しかし,合併の法務,税務に関する鳥観的かつ専門的な本として他に類書を見ない貴重な本であることは間違いないところであり,本書を土台として企業実務家に明快な解釈と実務上の指針を与える本の出版を期待したい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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執行役員制度に関する現状と法的問題に深い分析を加え,それをQ&A形式で分かりやすく解説

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 1999年に本書の第一版が発刊されたとき,評者は書評をしたがその時,おそらくこれは再版されるだろうという印象を得た。そしてその予感は当たった。初版は好評だったという。本書はその第一版に執行役員制度に関する企業アンケート結果,その後新たに制度を導入した企業の動向,第一版に掲載できなかった関連する判例に加え,Q&Aを加筆したものである。
 執行役員制度は,米国の企業で広く採用されている,エグゼクティブ・オフィサー制度の概念を日本流に直訳したものである。しかしその法的性格は日本では確立されてはいない。しかし今や多くの日本の大企業が,コーポレート・ガバナンス確立に向けて,取締役会の機能の明確化を目指して,自己流に解釈しながらこの「執行役員制度」を導入している。つまり多くの企業は手探りをしながら,執行役員制度を採用しているのが現状である。こうした流れに対して商法改正は議論はあるものの法制定作業は遅々として進んでいない。
 こうした中で本書は『執行役員制度』を,既存の法律や判例と照らし合わせ,執行役員制度を導入した企業や導入を検討している企業が抱くであろう法的な疑問に対し,広範な角度から答えている。本書の最大の特徴はQ&Aの充実度である。現職の弁護士であり,かつ米国のロースクールで研さんを積んだ著者の,ロジカルでち密な思考がこのQ&Aを生み出したのだろう。
 執行役員制度に関する詳しい解説書はいまだ少ない。本書は明らかに本テーマに関する第一級の解説書である。執行役員制度に関する現時点におけるバイブル的存在と言ってもよいだろう。企業の関係部署になるビジネスマンが是非手元に置くべき書であるとともに,本書が広く日本における執行役員制度の法的な位置付けに関する議論の整理のきっかけになることを期待したい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本ウェルチの戦略ノート

2000/10/25 18:15

世界で最も評価の高い経営者GEのG・ウェルチの経営哲学を余すところなく伝える

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 20年間にわたり,エクセレント・カンパニーGEのトップに君臨してきたG・ウェルチ。彼は間違いなく世界で最強の企業経営者である。ウェルチは就任時に「必要な事業以外はすべて売却し,必要な人材以外は残らず会社を去ってもらう」を旗頭としGEの経営強化を図った。そして多くの大企業に先駆けてリストラ,リエンジニアリング,選択と集中,M&Aの活用などの経営手法を,積極果敢に取り入れその模範を示した。
 そこから大方の人々が想像するウェルチ像は,冷徹な合理主義者であり徹底した現実主義者かもしれない。だがウェルチが社員や株主に向かって執拗に語りかける経営哲学は,官僚主義の排除であり,学習する組織作りであり,個々の社員の意見を尊重しかつ積極的にそれを活用し,適切な人材登用と納得のいく褒賞を与えることであり,顧客志向に徹する経営戦略である。それを合理的にそして現実的に実現させようとするのがウェルチの経営手法だ。ウェルチは人材こそ最高の経営資産であり,最高の人材を昇進させその功績に報いる仕組み作りこそ自分の最大の使命としている。
 本書は成功者の評伝ではあるが,種々のGEの経営内部資料をそのまま示し,客観的にウェルチの功績をそれに語らせようとする著者の工夫のおかげで,成功談にありがちな鼻持ちならなさがない。また恐らく大方の読者は清々しい読後感を抱くだろう。それは何故か。本書の中に最も頻繁に出てくる言葉が「学習する組織つくり」であるからではないか。この言葉には成功者の独善が感じられない。そしてさらにワークアウトという,社員の知恵を経営に活用するシステムを大切にしていることに表れているように,ウェルチがいかに社員を大切にしているかが伝わってくるからだろう。これらはまさに日本のビジネスマン達が,自分を統率する経営者に期待するもの以外の何者でもない。読んで絶対に損しない本だ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本現代国際金融論

2000/10/13 00:16

国際金融の理論的な基礎,国際金融の歴史,現代の国際金融の構造を幅広くかつ分かりやすく解説

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 国際金融の課題といえば伝統的には為替の安定と,円滑な開発金融の実現だったと言えるだろう。ところが1990年代になって,国際金融社会の様相は一変した。それは国際間を瞬時に移動する巨額のホット・マネーの登場である。このホット・マネーがアジア通貨危機,ロシア経済の破綻,そしてヘッジ・ファンド,LTCMの破綻を引き起こした元凶といえるだろう。今、国際金融社会は新たな課題を突きつけられている。個別の国が実施する市場取引規制,管理だけでは,瞬時に国境をまたいで移動する巨額の資金をコントロールできない。そしていま,短期資金の国際間移動の「国際監視」を求める声が高まっている。だが誰がどこで管理するのか,また現実に管理できるのか。
 国際金融はいま経済問題における最もホットなイシューの一つである。本書は国際金融に関する理論的基礎の解説から始まり,その歴史的変遷,現代の国際通貨体制の抱える課題,さらには欧州通貨統合の成果を睨みつつ国際金融社会の将来展望にまで論及する,まことに欲張りな本である。
 にもかかわらず,全体構成に工夫の数々が見られるので,目次を参考に関心あるテーマを探り,どの章から読み出しても,読者が求めている部分の理解が得られる便利さがある。本書は学生あるいは社会人のための,国際金融のスタンダード・テキストを目指しているという。それはそれぞれのテーマは専門的であっても,初心者を念頭に置いたていねいな解説を主体としていることで,その目的が十分達成されている。しかも高度な理論や錯綜する議論については,要所要所に挿入されたコラムで取り上げて解説している。
 こうしたていねいな構成が,本書を単なるテキストとしてでなく,一般人にも読みやすい専門書に仕立て上げているのだろう。国際金融全体を鳥観的かつ重要な課題に関する専門的な議論を理解できる本として,ビジネスマンの机上に置くべき本として推薦できる。
(C) ブックレビュー社 2000

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〈格付け〉の経済学

2000/10/13 00:15

金融システムの変遷をたどりながら,格付けがもつ役割と機能を分かりやすく解説する

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 金融自由化,規制緩和の進展で,日本の金融市場は競争的市場に変貌するだろう。また直接金融のウエートが高まることは必至だ。直接金融市場の円滑かつ効率的な運用には,信頼のおける格付け機関の存在が不可欠である。
 だが一時日本国内では,北海道拓殖銀行と山一證券は,ムーディーズが格付けを下げたために破綻したとか,世界最大の黒字国,日本の国債の格下げはけしからん,などといった,米国格付け機関への感情的な批判が高まった。
 格付けとは,「現時点において判断できる債券の将来の償還リスクを評価するもの」であり,格付けが行われたからといって社債発行企業が危ない会社と決め付けたわけではない。だが日本では格下げに過剰反応が起き,危ない会社のレッテルを張られて資金調達難さえ起こした。これは格付けの目的や,格付け評価のプロセスについて,マスコミや投資家が正確な知識を持たないところから来たものだ。
 本書は,格付けの持つ役割と機能をていねいに解説し,先述のムーディーズが行った格下げの意味も明らかにする。格付けの歴史,日米の格付けに対する考え方の違いを解説する部分は,両国のミニ近代金融史にもなっている。新聞雑誌情報のみで格付けの意味を知ったつもりになっている,大方のビジネスマンに是非一読をお勧めしたい。新書判という量的な制約のなかで,必要にしてかつ十分な知識を伝授している。忙しいビジネスマンに格好の,読みやすくかつ内容の濃い良書だ。
(C) ブックレビュー社 2000

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パーソナル・マーケティングの理論を懇切ていねいに解説するとともに豊富な事例を紹介する

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 インターネットの登場でECと取引が急拡大し,いまマーケティング手法に革新がもたらされつつある。その中核がパーソナル・マーケティング(PM)である。PMは顧客にダイレクトにアクセスし,インタラクティブなリレーションシップを構築することで,販売機会を増やし,さらに収益機会の増大を目指すマーケティング手法で,顧客リレーションの中から得られたデータを活用して「顧客」を個々に顔の見える「個客」としてとらえる,データベース・マーケティングである。つまり膨大な顧客データの蓄積とデータの解析が必要で,当然のことながらECの普及,IT技術の進展を得て初めて力が発揮されるものだ。
 PMでは可能な限り一人の顧客を長期間つなぎとめておくこと,つまり「LTM=life time value:生涯価値」を増大させることを最重視する。企業の狙いは商品のシェアではなく顧客のシェア増大を目指すリレーションシップ・マーケティングである。
 さらに「RFM=Recency:直近購入日,Frequency:累積購入回数,Monetary value:累積購入金額」データの蓄積に重点をおく。顧客の購買履歴を詳細に捕そくしそれを統計的に解析することにより,顧客の購買行動を予測して適切なアプローチを試みるものだ。
 本書はPM(データベース・マーケティングと言い換えてよいだろう)の本質部分をなすLTMとRFMを懇切ていねいに解説するとともに,さまざまな企業で現に行われているPMの具体例を数多く取り上げて読者の興味をとらえる。
 著者の現職は大学教授であり,本書の下敷きは著者がこれまでにアカデミアの世界で発表した論文という。しかしもともとが実務家出身だからであろう,経営学の本にしばしば見られる,持って回った難しい言い回しが,本書にはそのかけらもなく,まことに読みやすい本である。PMのコンセプトはディジタル時代のビジネスマンの基本常識である。テーマと読みやすさの両者で,現代のビジネスマン向けの本として最高の評価を与えたい。
(C) ブックレビュー社 2000

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時価会計制度の概要を一般ビジネスマン向きにポイントを押さえて簡略に解説

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 今,日本の企業会計制度の下では,貸借対照表には企業の実態とかけ離れた数字が示されがちだ。時価が大きく変動する有価証券を多額保有していたり,年金債務など貸借対照表に現れない多額の債務の存在があるからだ。これらを国際会計基準に合わせて時価で表示することとし,企業の実態をより正確に「ディスクローズ」させるのが時価会計制度だ。一連の会計ビッグバンの中でも,企業に与える影響が最も大きいものであり,ビジネスマンの一般常識の一つとして,時価会計主義の仕組みを知っておく必要がある。
 今「早わかり」「〜でもわかる」本が氾濫している。「時価会計」を冠した書籍も数多い。そうした中で「時価会計制度のわかりやすい解説を試みた」とする本書の意図は合格ラインだろう。専門的過ぎる部分を要領よくはしょり,ポイントを押さえて読みやすい文章で解説している。確かに2時間あれば時価会計の概要についての一応の理解が得られるだろう。
(C) ブックレビュー社 2000

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外国企業に向けて日本の投資環境を英和両用でQ&Aスタイルで概説したもの

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 本書は日本の投資環境,事務所設立手続き,投資奨励政策,税制,雇用,事業所立地,金融の7項目について,Q&A方式で英文と和文を併記して解説したものだ。この本が想定する読者は,日本進出を試みる外国企業だろうが,具体的に進出を計画している企業にとっては,あまりにも概説的過ぎて実践的な役には立たないかもしれない。
 しかし起業を志す日本人を相手とした,ハウツー書にはない視点で捕らえているから,日本の投資環境の鳥観図として,日本人にも役に立つ部分がいくつかある。
 それよりも本書は使い道が色々考えられるところがおもしろい。たとえば外国企業の受け入れを望む日本側の担当者,地方公共団体の職員や,外国企業とのジョイント・ベンチャーを企画する民間企業の担当者にとって便利な本だろう。外国人社員がいる企業の社内研修テキストにもなるかもしれない。ビジネス英語を学ぶ学生のサブテキストとして利用できる。国際化時代の今日,企業内に一冊備えておくとよい。
(C) ブックレビュー社 2000

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日本の金融大再編成は成功するか。欧米金融機関の動向と対比させて日本の金融界・行政への厳しい批判を展開

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 日本の銀行行政と銀行経営は,いまだに「閉鎖的」かつ「不透明」で,経営の実態はひた隠しにされている。今後も隠れた不良債権が表面化し,経営破たん銀行が続出するだろう。そうした中で第一勧業,富士,興銀の3行統合が発表され,市場には歓迎ムードが流れた。だが超大型金融再編成に火をつけたと評されるこの統合も,実態は単独では生きることができない負け組同士の大同団結に過ぎない。規模こそ超メガバンクになったが,肝心の収益力からみれば,国際金融業界からは何の脅威も持たれていない。にもかかわらず3行のトップたちに経営再建への緊迫感が感じられない。
 このように厳しい筆致で本書は日本の金融行政と銀行経営を批判する。欧米の金融機関も日本のバブル崩壊と同じ銀行経営危機を体験したが,スピード経営重視と起業家精神で瞬く間にそれを克服し,金融コングロマリット化を実現して日本の金融機関との間に決定的な差をつけた。とりわけ金融テクノロジー分野では日本の銀行に10年以上の差をつけた。
 本書はこの辺の事情をこれでもかとばかりに克明に叙述している。お上頼りの甘い経営姿勢の日本の銀行経営者たちが,欧米,特に米国の金融機関との差を縮める経営能力はない。金融ITへの投資に耐えうる収益力を,日本の銀行は持ちえていない。長銀系と信託銀行は全滅,東京三菱,住友,三和を核とする再編銀行だけが生き残るだろう。ハイテンポな筆致で筆者はこう断じる。
 では日本の銀行が生き残る条件は何か。本書はこれに正面からは答えていない。しかし欧米銀行の再編の軌跡や,金融コングロマリットの実像を解説することで,日本の金融機関の取るべき道を示唆しているのだろう。厳しい日本の銀行批判書ではあるが,筆者が銀行勤務経験者だからだろう。その批判には皮相な見方,偏見は感じられず,批判書にありがちな読みにくさはない。好著といえるだろう。
(C) ブックレビュー社 2000

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業再編の手段としての未公開株式への投資,M&Aなど今注目が集まり始めたビジネス手法をケースを含め解説

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 経営破綻で一時国有化された日本長期信用銀行が,リップルウッド社に買収された事件は,日本国民に衝撃を与えた。同社は米国の新興プライベート・エクイティ会社で,同社が行ったことは,投資家を集めてファンドを作り「日本長期信用銀行」という未公開株式(プライベート・エクイティ)に投資したものだ。同社は何年か後新生銀行の株式の売却をして,投資家に利益配当をする。長銀が新生銀行に生まれ変わる過程で同社は,巨額の費用を払ってコンサルティング会社に内容を調査させ,事業計画を立案させ,また外部から八城氏をスカウトして社長に据えた。
 この経緯がいみじくもプライベート・エクイティという,米国で1980年代以降本格的に発展した,新たなビジネス・モデルの特徴を示している。つまりこれは企業に対する投資であるが,会社のエキスパート達が経営に深く関与し「金も出すが口も出す,いや人まで出す」,投資先の会社の事業そのもののリスクを負う投資だ。米国では実際に高い投資利回り実績をあげていることで市場は急拡大している。
 このビジネス・モデルは日本でも成功するか。企業の売買に関する法制面,税制面は整備されつつあり,企業買収に抵抗感が薄れてきた,投資機会が少ない状況が続いているなどの追い風はある。ただし,投資先企業に口を出したり,人を出すといったプライベート・エクイティの基幹的機能を果たす人材がいないという根本的な問題があるという。
 本書を一言で評せばエキサイティングな本だ。それは,いかにも米国らしい新たなビジネス・モデルの面白さを,豊富な実例を挙げながら余すところなく伝えていることが一つ。加えてこの投資手法が流行すれば,逼塞状態にある日本産業界の事業ばかりでなく産業再編への鍵の一つとなるかもしれない,あるいは大企業に埋もれている経験豊富な優秀な人材の新しい活躍の場が生まれるかもしれないと感じさせるからだ。時代の流れに敏感でありたいと考えるビジネスマン必読の書だ。
(C) ブックレビュー社 2000

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