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先月(2017年6月)

神崎  倫一さんのレビュー一覧

投稿者:神崎  倫一

2 件中 1 件~ 2 件を表示

仕事くれ。

2000/10/26 00:22

日経ビジネス2000/4/10

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 米国企業は契約社会だから、いつ一方的に解雇を通告されるかわからない。また、個人がいくらがんばっても会社ぐるみ株式公開買い付け(TOB)、企業の合併・買収(M&A)でいつバラバラにされるかわかったものではない。そのテンションの高さを描いたサスペンス小説。
 主人公ネッド・アレンはコンピューター雑誌の広告営業の中堅幹部。日本流に言えば課長か。コンピューター業界は伸びていても広告予算は有限だから競争は厳しい。ゼロサムである。ただしアレンの雑誌「コンピュワールド」は発行部数ナンバー3だが最近メキメキ売り上げを伸ばし、近くナンバー2となるかもしれない。
 アレンは猛烈に働く。今のポスト、収入に魅力があるからだ。貧しい家庭に育ち地方の三流州立大学を出てニューヨークに出てきたものの、職を転々としていた。ふとしたことから今のボス、発行人のチャック・ザナッシに認められ入社した。幸運であった。営業のセンスもあったが実績を上げ昇進を重ねた。美貌のキャリアウーマン、PR会社のリジーと知り合い押しの一手で結婚する。歩合給に近いから年齢の割には高給だし、いわゆるディンクス(ダブル・インカム・ノー・キッズ)の生活がどんなものか具体的に見せてくれる。ゼイタクである。
 クリスマスも間近い。ボーナスはどうだろうか。皆うきうきとしている折よくないニュースがあった。西部出張中のザナッシが突然シカゴの本社に呼びつけられた。ドイツ屈指の多国籍企業クラング・ザンデルリンク社がそっくり雑誌社を買収したというのである。オレたちは解雇かと動揺するが、ドイツ資本の代表者クレプリンは全員安泰と言って安心させ、コッソリ、アレンにザナッシはクビ、後任はあなたとささやく。年収は一躍4倍だ。ただし発表までは秘密に。
 禍転じて福。妻に豪華なプレゼント、カリブ海旅行はファーストクラス。夢のような冬休暇を終え、さあ新年の初出社、今日からおれがボスと社内に一歩踏み入れると空気がおかしい。ガードマンが社員証で身分をチェックし「人材部」へ。聞こえはいいがリストラ担当部である。1週間でザンデルリンク社がスペンサー・ラドマン社にコンピュワールド社を売却。新オーナーは雑誌廃刊を決定した。
 2週間分の給料、4分の1年(つまり3カ月)は会社の医療保険適用。クールな手続き。面白いのは(当人にとってはそれどころではないが)管理職雇用支援プログラム8カ月のチャンスが与えられる。原題はそのもの“THE  JOB”。
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日経ビジネス1999/9/6

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 お世辞にも文運盛んとは言いにくい。上半期の芥川賞は受賞ナシであった。ああ、そんなものだろうね、である。ここ数年、ムリをして入賞作を決めてきたのだろうが、印象は稀薄である。もう純文学・通俗(イヤな語感)文学という分類がナンセンスなのだ。
 司馬遼太郎と藤沢周平。ともに惜しまれて逝った時代小説の巨匠である。2人とも直木賞作家であるが、たとえ芥川賞であってもおかしくはない。井上靖が芥川賞なら当然かもしれない。選考委員の「面白いものはダメ」「時代小説はどうも」といった偏見が邪魔をしている。
 この2人に池波正太郎を加えて御三家といった。山本周五郎を加える向きもあるが、少し時代がズレる。それぞれのスタイルで昭和末期から平成にかけて山脈のような高峰を築いた。いずれも熱狂的なファン層がある。
 ファン心理とは面白いもので「ウチの先生が一番だ」と主張したい。特に著者の佐高信氏は、シロかクロか、決着をつけなくては気がすまない評論家であるから敢然と「藤沢>司馬」の本を出した。
 言ってみれば中華料理とフランス料理のいずれがウマいかを議論するようなもの。立論そのものの面白さはあるが、それで結論が出るわけでもない。たしかに司馬作品は英雄史観そのものである。歴史をつくるのは飛び抜けた大天才だということにしなくては時代小説は面白くない。桶狭間の急襲には信長の決断が付き物で「実際に今川義元を討ち取った武者」が埋没してしまうのは仕方がない。唯物史観である戦後の歴史教育がサツバツと味気がないのとは好対照だ。「それは間違っている」と攻撃する佐高氏の立場もわかる。わかるけれど(イヤミを言えば)やや日教組的である。藤沢周平が「信長が嫌いだ」と言うのも趣味の問題。肯定もできるが「では、どう中世を破壊できるか」だ。
 ただ司馬信者にも頂門の一針だろう。米国でもアーネスト・カンパニーといって、ヘミングウェイで食べている連中が大勢いるが、日本の司馬エピゴーネンもそれに劣らない。私も司馬ファンの1人だが、同氏の「明治の日本はすばらしいが昭和の日本はくだらない」とする司馬史観にはついていけない。日清、日露戦争、いずれも正義の戦いではない。ヒトラーのレーベンズラウムと五十歩百歩。中国、韓国の迷惑を考えたことがあるだろうか。
 藤沢周平も下級武士物、市井物(『海鳴り』はいいなあ)は追随を許さないが、『密謀』のように惨憺たる失敗大作もある。それは藤沢文学をおとしめるものでは断じてない。
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