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先月(2017年6月)

広瀬恒子さんのレビュー一覧

投稿者:広瀬恒子

3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本クレージー・バニラ

2001/08/24 17:04

鳥の写真で結ばれた恋

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 14才の「ぼく」の一人称で恋と自立への内面の葛藤が切なく、しかしあと味はさわやかに語られる青春物語です。
 この物語は、主人公たち、少年、少女のそれぞれの家庭が、いろいろ“わけあり”の設定になっているところが、特徴的です。
 少年タイラーの父親は金持ちで、息子をハーバード大へいかせるつもり、母親はアルコール依存症で、両親は不仲、タイラーにとって愛する兄さんは、同性愛者で、愛人の男性と同居しているといった具合。
 一方15才の少女ミッツイの母親は「ティッシュペーパー」を使うみたいに、どんどん男の人をとりかえ、経済的にも不安定です。
 家庭に自分の居場所を見つけられず孤独なタイラーにとって唯一のたのしみは野鳥の写真を撮ることで、ハクチョウを写しに行った池で同じようにシャッターを切っていたミッツィと出会い、ふたりは、心を通い合わせるようになっていきます。
 生活を支えるため、アルバイトをしながら、将来東アフリカに行き野生動物を撮る夢をもって着実に生きているミッツィが、生活にうしろ向きで“逃げ”の姿勢だったタイラーを意欲的に変えていく描写にはなかなかリアリティがあります。
「クレイジーバニラ」という表現は、タイラーがズームレンズ付きカメラを買うお金が欲しくて、アイスクリーム・コンテストに応募した時つけた名前ですが、ミッツィの目からタイラーの写真について語ることばは印象的です。ミッツィのは「写真にあまりセンチメンタルな感情をもちこんじゃだめ」といいます。鳥は、きれいなものじゃなくておそろしくて凶暴でもあるのが本当の鳥の姿なのだと。
 あっけなく、ミッツィは母親の都合で、ニューメキシコに去っていき、ふたりの恋は成就することなく終わります。ひとりになってもきっとタイラーは自分の夢を実現するため、しっかり歩み出す力づよさが信じられる結末になっています。

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紙の本きつねのスケート

2001/04/06 17:46

やんちゃなきつねとやさしいのねずみの友情ものがたり

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 とくに、ドラマチックなストーリィ展開があるわけではないのですが、心にあたたかい余韻をのこしてくれる幼年よみものです。
文とさし絵の調和もぴったりで、手もとにおいて、くり返しページをめくってみたくなる本づくりがいいです。
 
 お話は、ある秋の日、小さな森にやってきたきつねを、森のどうぶつたちは、しんせつに世話します。ところが、きつねは、りすやねずみをおいかけ、こわがらせたり、にんげんに化けたり、落とし穴を掘ってたぬきを落としたり、いたずらばかり。そのうちそれにもあきて、たいくつしたきつねは、湖の向こうの大きな森に行ってみたくなりました。すると、のねずみが「あと2回お月さまがまんまるになったらいける」ことを教えてくれます。満月の日、固い氷でおおわれた湖を渡ってきつねは大きな森へ行ってしまいます。
 きつねのことを忘れずにいたのねずみの前に、湖の氷がとけはじめる季節、大きな木を背負ったきつねが返ってきて、のねずみを感激させます。背負ってきた木はのねずみのほしかった青い実をつける木で、きつねはのねずみのねがいをおぼえていたのです。
 やんちゃで、どこか、さめた感じのするきつねと、心やさしいのねずみのキャラクターの組み合わせがこの作品の何ともいえない魅力になっています。大きな森へ行ったきつねは、いったい、何を見て帰ってきたのでしょう。想像してみるたのしさもあります。
 
 『夏の庭−The Friends−』『春のオルガン』『ポプラの秋』など、ティーンズ世代へすぐれた作品を書いてきた湯本香樹実が、幼年童話の分野にも、じいーんとする味わい深さを出してくれました。

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紙の本オーディンとのろわれた語り部

2000/08/16 17:27

魔法とは言葉だ!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 まず表紙カバーの絵が凄いのです。
 灰色の髪を長くのばし、目はするどく肩には大ガラス、右手につるぎ、左手は今にもつかみかかろうと迫ってくる男——邪悪な魔法使いクヴェルドルフ——の表情が、このお話への興味をそそります。

 北のはての国テュ—レの女王が結婚の相手をさがしていると聞いた魔法使いクヴェルドルフ(「夜のオオカミ」の意)は王になりたい野心から、女王に気に入られるよう自分をほめたたえる物語をアイスランド一の語り手ネコのトードに語らせようとします。

 しかし、トードは「悪いことのために、物語る力は使えない」と、ことわります。

 怒ったクヴェルドルフは、ばけものを使ってトードの農場をおそい、トード一家を散々に苦しめます。さいごにもうこれまでかという危機の瀬戸際で、物乞いの老婆の知恵を借りたトードはこの恐ろしい魔法使いに打ち勝ち、仕合わせを手に入れたのでした。

 さりげなく登場していた老婆の正体が実は・・・と明かされ、読者としては納得のいくエンディングになっています。
 
 作者のスーザン・プライスには北欧をテーマにした『ゴースト・ドラム』(ベネッセ刊)というカーネギー賞を受賞した超ユニークな作品がありますが、この話も古くからアイスランドに伝わる神話を下敷きにしていて、死霊、魂がただよう独特の雰囲気の作品世界にひたることができます。

 自分を裏切らない不屈の精神の持ち主トードだったからこそ「たとえバケツから水が一滴一滴したたるようすを語ってもみな夢中になってひと晩じゅう耳をかたむける」お話を語れたのだと思います。

 真の語り手とは、人間の良心と真実にかかわる深い志にささえられているのだと、あらためて感じ入る異色の作品です。

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