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旭恭右さんのレビュー一覧

投稿者:旭恭右

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現在でも十分に学ぶに値する経営手腕を、20代から発揮した男、ロックフェラー

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 石油王にして史上最大の富豪、ジョン・D・ロックフェラーは大のゴルフ狂で、広大な敷地の中にゴルフ場を持ち、雪が降れば雪かきをさせてまで、毎日欠かさずプレーを楽しんだ。しかし、ウオーターハザードに来ると、必ずボールを使い古しに代えて打ち、ニューボールで打ち続ける同伴のプレーヤーの“贅沢”を咎めたという。
 ロックフェラーの名前はあまねく知れわたっているが、その人となりや、30歳そこそこで世界最大の石油トラスト、スタンダードオイルを創り、想像を絶する巨富を築いた過程などは、意外に知られていない。上、下巻合わせて1200ページを越す膨大なボリュームの本書は、ゴルフのエピソードに至るまで、「タイタン」の実像を余す所なく明らかにしていく。

 敬謙なバプティスト派の信者で、生涯、酒、たばこは口にせず、ばくちはもちろん、カードすらも手にしなかった。が、最愛の夫人を失ってからは、ゴルフに通う車の中で若い美女を両側に侍らせ、H行為を楽しんだとか、大変なスピード狂で、馬車時代も、自動車になってからも、他の車に抜かせることを決して許さなかったなど、人間臭く、稚気愛すべきエピソードも豊富だ。
 しかし、最も迫力あるのは、ライバルを次々と呑み込み、屈服しない相手は、あらゆる手段でなぎ倒し、世界に君臨する石油帝国を築き上げる過程であり、極悪非道の資本家のレッテルを貼られ、ローズベルト大統領と対決、スタンダードオイル解体に追い込まれるまでの攻防だろう。膨大な資料をもとに展開されるほぼ1世紀前の米国石油産業の興亡、トラストをめぐる政府とロックフェラーの攻めぎ合いは、凄まじいまでの迫力で、手に汗を握る。
 筆者チャーナウは、当時、ロックフェラーに浴びせられた悪口、憎悪の多くは、不当だとしながらも、トラスト形成のために彼が打ってきた手段の多くも、いかに疾風怒濤の時代とはいえ、誉められたものではないと断じている。ただ、石油産業、スタンダードオイル発展の鍵が、ロジスティックにあるとみて、早い時点から、鉄道輸送網や、パイプラインを押さえた先見性、買収した企業の経営者や従業員を解雇せず、能力ある人材はわけへだてなく処遇した人使いのうまさ、今で言えばストックオプション制を積極的に推進したことなど、現在でも十分に学ぶに値する経営手腕を、20代から発揮した事が、石油帝国形成に繋がったと、評価している。

 トラスト解体に追い込まれた政府との対決は、ローズベルトの腹を見誤っていたずらに強硬姿勢を取り続けたことが災いしたと指摘。しかし、分割された会社がそれぞれ、石油メジャーとして発展、株価も上昇したため、ロックフェラーの財産はさらに飛躍的に増大したというのも、皮肉な話。
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