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先月(2017年8月)

中村 雅美さんのレビュー一覧

投稿者:中村 雅美

3 件中 1 件~ 3 件を表示

宇宙と脳という2つの未知の領域に取り組んでいる研究者たちの仕事場を訪ねたルポ

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 科学や技術によって生み出されたものが社会の隅々にまで入り込んでいるというのに,人々の科学・技術への関心は今ひとつである。それは「難しくてよくわからない」という声に代表されるように,科学・技術は一般の人の理解を超えたものというとらえ方をされていることが大きい。理由はたくさんあるだろうが,一つは学校教育の理科の授業では小難しい理屈ばかりを教わるということがある。楽しくない授業から逃れるように「理科嫌い」も増えてくる。
 もう一つは,科学研究,技術開発の現場で今何が行われているのかということをやさしく書いたものが少ないことがある。科学・技術の現状を知らないことが,「親しみ」から遠ざけているとは言い過ぎだろうか。加えて,取り組んでいる人たちの姿が見えないこともある。科学・技術の現場は浮世離れしたところではなく人臭いところであり,ひらめきやちょっとしたアイデアが大きな成果を生み出す,ということなどが伝わってこないことも,科学・技術を遠い世界のことにしているのではないか。
 そこで,著者・立花隆氏の登場である。科学・技術の最先端の現場を訪ね,そこで活動している研究者の仕事ぶりを生き生きと伝えている。著者が研究室を訪ねてまず発する言葉は「えっ,ほんとうですか?」だ。それは今まで知らなかったことを見聞きしたことへの驚きである。同時に,研究者も変わった事象を見つけたときに同じ言葉を発する。「ほんとうだろうか?」と。これが新発見につながることがある。無知(?)の訪問者と一線の研究者が驚きを共有する−−こんな楽しいことはない,と著者は書いている。
 現代の科学が解明しようとしている2つの大きな領域がある。一つは宇宙であり,もう一つは脳である。前者は地球の外に広がる大きな空間,後者は人の頭の中にある小さな空間といえる。しかし,ナゾを抱えている点では両者は同じである。宇宙はどのようにしてできたのかといういわゆるビッグバンは皆が知りたいと思っている。同様にわれわれの脳がどのようにして意識をもち学習を行っているのかという「心」のありかは,まだだれも明確にしていない。
 5つの研究室を訪ねて,それぞれ宇宙のビッグバンと人の脳の機能についての最新の知見を紹介している。とりわけ,脳の機能を画像でみる装置「ファンクショナルMRI」を駆使した新潟大脳研究所の中田研究室の仕事が面白い。本書は科学誌で連載したものをまとめたシリーズの3冊目である。文章も平易だが,科学誌を読む人を意識したためか,ずぶの素人にはやや重いところもある。宇宙と脳という科学の2大テーマを掲載せずに,それぞれを別の本にしても良かったのではないかと思うが,連載を順にまとめたものであるから仕方がないことかもしれない。シリーズの前2冊を読むと,この領域の全体像がつかめそうだ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本脳死は本当に人の死か

2000/10/06 15:21

脳死を人の死とすることに懐疑的な哲学者,梅原猛氏の論文2編などのほか,柳田邦男氏とのロング対論を掲載

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 厚生省の研究班が,本人の意思が不明な場合は家族の同意があれば脳死者からの臓器提供が可能である,ことなどを骨子とする「臓器移植法」の改正試案をまとめた。「臓器移植法」では,施行後3年をめどに,その内容を見直すことがうたわれているが,試案は改正論議に一石を投じることになりそうだ。
 脳死を人の死と認めるか——をめぐって賛否両論が激しく飛び交う中,両者の一種の「妥協の産物」として,1997年に臓器移植法が生まれた。以来,3年になろうとしているが,これまで行われた脳死者からの移植は7例にすぎない。移植そのものは大過なく行われているものの,脳死判定に関しては,毎回,さまざまなトラブルや不手際が報じられている。脳死は人の死であるかどうかを考える前に,医師たちに脳死を判定する技量が本当にあるのか,という疑問も生まれてくる。
 また,ドナー(臓器提供)・カードは普及しているが,家族(遺族)が難色を示したために臓器提供にいたらなかった例も多いと聞く。これは,臓器移植法制定時にあった,脳死=人の死に対する否定派(慎重派も含めて)の声が,広く社会に浸透している証拠かもしれない。あるいは,死体にむやみに手を触れない,といった日本人独特のメンタリティーがあるのかもしれない。
 著者の梅原猛氏は,否定派の代表である。本書は法が制定される前に展開した氏の「人の死」に対する論と,政府の脳死臨調でともに否定派(慎重派)であった4人の対談,それに脳死問題を追い続けている柳田邦男氏との「脳死と日本人の死生観」をめぐる対談を載せている。
 臓器移植を推進する立場の医師などからは,よく「医学的に見て脳死は疑いなく人の死である」「欧米のように移植が定着しないのは,日本人にある,死に対する独特の感情が妨げになっている」との指摘がある。しかし,本書を読めば分かるが,否定派(慎重派)の論拠は,まさしく西欧的な割り切り方をするのではなく,この「日本人の,死に対する考え」を無視せずに脳死を論じるべきだとすることにある。そして,科学(医学)のために人の死を左右することを,否定的に見ているのである。
 脳死論議はさまざまな問題に波及した。その一つに日本の医師あるいは医療の現状に対する批判がある。技術のみを先行させるあまり「人の心」を忘れているのではないかというのである。その例が,著者と柳田氏との対談で語られている。
 それは,梅原氏が「菩薩協会」といったものを作り,すべての医師がそこに加盟することこそ,脳死移植に対する人々の意識改革を進める近道であると,ある医師に提案したことである。しばらくしてその医師は「(医師は)さっぱり入会してくれません」と落胆して言ったという。名誉や金もうけではない,捨身や菩薩の心が必要なのに……。
 臓器移植法の見直しはこの2000年10月にも行われる。その前に読んでおきたい一冊だ。
(C) ブックレビュー社 2000

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自然界に漏出した化学物質,環境ホルモンの実態とその影響を解説。日本を含めた各国の対策も載せている

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 科学・技術が万能と言われ,何ごとも科学・技術で解決できると考えられた時代があった。新しい技術を背景にしたものが次々に世の中に出て,社会や生活を(見かけの上では)豊かなものにした。さまざまな化学物質もそうであった。プラスチック製品,農薬,添加物といったものは,広く,深く生活に浸透して,我々の生活には欠かせないものになった。
 しかし,それらの科学・技術の成果は,人が思いもつかなかったしっぺ返しをしてきた。化学物質が我々の想像を超えた障害をもたらしたのである。それが「環境ホルモン=内分泌かく乱化学物質」である。自然界に広がった農薬,添加物などが,生態系を乱し,人間を含めた生物の生殖機能などを損なうのである。
 本書はこの環境ホルモンに関するガイドブックといえ,欠かせない基本的な情報を盛り込んでいる。素人向けの入門書というよりも,環境ホルモンに関心を寄せる人たち,あるいはこれからこの問題に専門的に取り組もうという人にとって重宝なものである。
 環境ホルモンが大きな社会問題として認識され始めたころに行われたシンポジウムを元に,本書はまとめられた。環境ホルモン問題の経緯をはじめ,環境ホルモンに関する基礎知識,国内外の研究の現状,取り組まれている対策,あるいは消費者からの提言などを盛り込んでいる。
 最も気になるのは,環境ホルモンが我々の健康にどのような影響を及ぼすかということだが,その辺の記述は案外さらりとしている。まだそれほどのデータがないせいかもしれない。環境ホルモンは起源は古いが,問題として浮上したのは最近であり,対策も始まったばかりである。問題点はどこにあるのかこの本で知ることができる。
(C) ブックレビュー社 2000

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