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先月(2017年1月)

岡部直明さんのレビュー一覧

投稿者:岡部直明

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本日本国債の研究

2001/08/24 22:16

日本経済新聞2001/08/19朝刊

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 国際金融界で「JGBプロブレム」(日本国債問題)がささやかれるようになってかなり時間がたつ。大量発行される日本国債は信認が低下し、金利上昇で経済再生はますます難しくなる。債務が債務を呼ぶ「債務のわな」からも抜け出せないという問題だ。この日本国債問題に象徴される日本経済の苦悩を分析し警告したのが本書である。小泉内閣が財政改革に踏み出したばかりだけに、タイムリーである。
 十七世紀のジェノバ以来という超低金利のもとで見えにくいが、日本国債に信用リスクが問われるようになったとまず指摘する。円ベースでイタリア国債の金利を上回る。日本国債にリスクプレミアムが発生したのは冷戦後、欧米諸国が財政改革に取り組んだ半面で日本は構造改革より景気対策という誤った政策を繰り返し、そのツケで国債残高を累増させたからだとみる。
 この分析は一般に通りがいい。しかし、九七年不況は橋本政権の財政構造改革のせいではないとし、路線を転換させたあとの減税に問題があると言い切るのは疑問だ。「何でもあり」で無駄な公共投資を膨らませたのは大問題だったが、減税への政策転換を「経済政策の暴走」と考えるのには異論があろう。減税と規制緩和を軸にしたレーガン改革が米国の繁栄の原点にあった。経済活性化に避けられない財政赤字があった点は認めるべきだろう。
 国債の大量発行を受けて「JGBマーケット」の整備を提案しているのは専門家らしく現実的だ。国債の流動性を高める国債市場改革は国債費の負担を抑え円の国際化にも結び付く。災い転じての発想もあっていい。
 もちろん、それで根本問題が解決されるわけではない。問題解決にはインフレか債務不履行か財政再建かという三つの選択肢しかないとする主張には迫力がある。プライマリーバランスを黒字化しなければ、日本国債の信用リスクはさらに高まると警告する。
 「大蔵官僚より大蔵省的」といわれた厳格な財政主義者の警告が日本国債問題として現実味を帯びてきたところに、日本経済の危機が潜んでいる。
 とみた・としき 47年京都生まれ。関西学院大学経済学部卒。野村総合研究所入社。90年に京都大学経済学博士。現在は野村総研研究理事。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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日本経済新聞2000/11/12朝刊

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 「くたばれヤンキース」ならぬ「くたばれ市場主義」である。強者の論理としての市場万能主義に対するリベラリストの立場からの激烈な批判の書だ。ケインズの「自由放任の終焉」をもじってつけたとみられるタイトルからして挑戦的である。
 著者の年来の主張を経済思想として体系立てたのが本書である。まず保守とリベラルの対立軸を示したうえで、いまなぜ改革が必要かを説く。工業化社会に「最適」な日本型システムがポスト工業化社会では「最不適」になったためだという指摘は説得力がある。そのうえで、市場主義にも反市場主義にもくみせず、両者を止揚する「第三の道」への選択を提唱している。
 さらにグローバルな市場経済化は地球環境の破壊を防ぐ力学を内蔵していないとし、グローバル資本主義は地球環境汚染の元凶になりかねないと警告する。グローバルな市場の暴走を制御する国際的枠組みが必要だという主張は傾聴に値する。
 その一方で、著者の主張には疑問点もある。日本型システムの「良さ」を維持しつつ最小限の改編にとどめ無理にアメリカ化(市場主義化)する必要はないと強調している点だ。日本経済が閉そく感から抜け出せないのは、結果平等の日本型社会主義に寄り掛かってきたためではないか。いま日本に必要なのは、本物の市場経済に踏み出すための小手先ではない本格的改革ではないか。
 「第三の道」の概念規定もはっきりしない。欧州の中道左派政権の登場が論拠だが、欧州連合(EU)の市場統合、通貨統合への経済システム融合で基本にあったのは規制緩和と財政改革を軸にした市場経済化だ。だからこそ、たそがれの欧州は再生できた。
 もちろん、著者も市場の役割そのものを軽視しているわけではない。市場主義改革は「必要」だが、「十分」ではないという立場だ。健全で成熟した市場なしに日本経済の将来はないしグローバルな役割も担えないはずだ。本書が日本人の間にある変革拒否症の論拠になるとすれば、著者の本意ではないだろう。
(C) ブッククレビュー社 2000

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