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中川志郎さんのレビュー一覧

投稿者:中川志郎

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紙の本ともだちをたすけたゾウたち

2002/05/16 12:44

解説

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

【ゾウにみる助け合いの心】

 この本で紹介されているゾウたちの話は、東京都多摩動物公園で実際におこったことを題材にしています。当時、動物公園には3頭のゾウが飼育されていましたが、病気になったアヌーラという若いオスゾウを一緒にいた2頭のメスゾウがおよそ2カ月にわたって看病し続けたという信じがたいような話です。しかも、この3頭は親子。兄弟・姉妹のような血縁関係は全く無く、単に同じ動物舎で一緒に暮らしていただけの関係だったのです。
 私はたまたま飼育係からこの話をきいてとても感動しました。実は、昭和54年(1974)年の8月、上野動物園の飼育課長をしていた私は同じ都立の多摩動物公園に転勤になり、そこでの業務報告のなかでこの報告を受けたのです。
 飼育係は業務報告のなかの一つとして淡々とレポートしただけでしたが、私はゾウたちの行動のなかに自分の利益のためだけではなく、他の仲間のために尽くす、所謂「利他行動」の象徴的な行いのような気がしたのです。野生のゾウでは「お産」の時に出産の介添えをするお産婆役のメスゾウの存在が知られていますが、飼育しているゾウが病気のゾウを看護するという例はそれまで私は聞いたことがありませんでした。
 幸いなことに、この出来事が起きたのは私が赴任した年の5月から7月にかけてのことでしたので、ゾウ飼育係・3人の記憶は新鮮で、かなり些細なことまで覚えており、当時の日記などを参考にしながらかなりビビッドに再構築することができました。
 それから、レポートを頭にいれながら3頭のゾウたちに接し、その行動を観察しながら飼育係たちの見たものはまさしく「利他行動」であり、私たち人間のボランティア行動にも合い通じるものであることを確信したのです。
 特に、病気のアヌーラが倒れないようにするため1頭だけでなく2頭が協力して左右から支えるという行動は強く私の心をゆさぶりました。2頭が協力するということは、アヌーラの病気に対して2頭とも同じ危機感をもっていたということですし、支えるという行動を同時に決断したに他ならないからです。これは、ゾウという動物の知能の高さもさることながら、心情豊かな群れ生活の交流のなかで誕生し、成長する過程で培われた「他を思いやる心」、特に傷つき、病んでいる仲間を当然のこととして助ける「相互扶助の心」の醸成の結果なのだろう、と思い至りました。
 私は、この話は決して飼育係のレポートのなかにだけ埋もれさせてはならない、もっと多くの人に知ってほしいと心から思いました。モノからココロへの時代といわれる現代だからこそ動物たちの素朴な行動が魂をゆさぶるのです。
 その意味で、これが絵本という形で世に出されることはとても嬉しいことです。お子さんとページを開きながら「ココロ」について語り合えたらどんなによいでしょう!

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