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河島 英昭さんのレビュー一覧

投稿者:河島 英昭

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紙の本ダンテの地獄を読む

2000/10/21 00:17

日本経済新聞2000/4/2朝刊

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 読みやすい『神曲』の訳者として知られ、比較文学や文化論で幅広い活躍をしてきた著者が、久びさに世に問うダンテ論である。全体は五部に分かれ、さらに「ロマン主義者としてのダンテ」「ウェルギリウスとダンテ」「『神曲』におけるお世辞」「マリア様のいる国、いない国」……といった興味ぶかいタイトルの十四章に分かれる。
 二〇〇〇年を迎えて、近ごろ、キリスト教でいう聖年が話題にのぼるようになった。めぐりあわせた機会の大赦を求めて、全世界のカトリック信者たちが、教皇のもとローマに巡礼したいと願うからである。この巧みな宗教政策を考えだしたのが教皇ボニファティウス八世であり、一三〇〇年のことであった。
 折しも三十五歳(人生の半ば)を迎えたダンテは「暗い森」に迷いこみ、政敵ボニファティウスの策謀もあって、故国フィレンツェを追放された。そして苦しい流浪の生活のなかで、地獄から煉獄(れんごく)への旅を三行韻詩につづったのである。
 しかし平川氏は、旧来の類書のごとく、ダンテの彼岸の世界を祖述するのではない。あくまでも日本文学や文化の土壌に立って、たとえば、ダンテの地獄と源信の地獄とを丹念に比較検討する。
 その結果、浮かびあがった、両者を分かつ特色の一つに「笑い」の有無がある。源信の『往生要集』にはおよそ認められない「笑い」を、ダンテの作品のうちに指摘して、著者はダンテが「源信とは違って、地獄の存在にどこかで疑問を抱いていた近代人だったのではないか」と述べている。
 このように斬新(ざんしん)な意見は随所にあるが、全十四章のうち八編までが、著者の第二の大学教師の場となった福岡女学院大学での講義から生みだされたものなので、一般読者にむしろ近づきやすい書物になっている。なお、イタリア文学の立場からいうならば、ボッカッチョとの関連や「自己正義化が強い」ダンテ文学思想への批判に、とくに心をひかれた。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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