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先月(2017年5月)

芹沢 俊介さんのレビュー一覧

投稿者:芹沢 俊介

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本人はなぜ悪をなすのか

2000/10/21 00:17

日本経済新聞2000/4/30朝刊

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 悪をなすわけではないが、かといって善をなすわけでもない、こういったバランス感覚だけを異様に発達させてきたのが私たちである。では少数の人たちがこのような無難な場所を引き離され、悪をなすのはどうしてか、あるいは逆に聖人と呼んでいいような善をなしうるのはどうしてか。その人たちにどんな契機が訪れたのか。イギリスの犯罪研究の第一人者である著者が追求したのはこのような問題である。
 著者は、誰もが善悪の契機を内部に併せ持っているのであり、重要なことはその内部にある悪の契機と不断に闘うことだと述べている。この課題を貫徹できた人を著者は聖人と呼んでいる。
 この本で強くひかれたのは悪の分析である。著者は善への衝動が自由な意志の自然な表出であると主張する。悪はその自由な意志がゆがんだ結果であると。意志を歪める理由の一つが、子ども時代に親(主に母親)から十分な愛を受けなかったことである。アメリカで大量殺人事件を起こしたジェフリー・ダーマーについて、著者は四歳のおりに受けた二重ヘルニアの手術がこの意志を奪ってしまったと分析している。説得力があると思った。
 自由な意志の生み出した創造的なものが善であるという指摘には、はっとさせられた。そこには無私(愛他精神)、思いやり、成熟、健全性、行動の思慮深さが現れているものだとも著者は述べている。例としてロック歌手のボブ・ゲルドフ、アフリカの飢餓問題に全力で取り組んだ女優のオードリー・ヘップバーンなどをあげている。
 反対にマザー・テレサに対しては、称賛や名誉を独り占めした、ローマ教皇庁の誠実な代弁者にすぎず、善の条件である自由意志や思考を欠いていると手厳しい見方をしている。従順さは善の条件ではなく、むしろ自由な意志を怖れる人たちに利用され、悪へと加担してしまう要因になるというのだ。このような珠玉のような知見の連なりを読むことができるのである。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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