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先月(2017年1月)

市来 治海さんのレビュー一覧

投稿者:市来 治海

2 件中 1 件~ 2 件を表示

社会保障

2000/07/10 09:15

戦後日本の社会保障制度の変遷を綿密に追い,また社会保険よりも社会福祉制度に焦点を当てている

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 わが国の戦後の社会保障は「遅れてきた産業国家」として戦前からすでに整備の進んでいた医療面からまず再建が進められ,それがある程度完成(国民皆保険の実現)された次の段階として高齢者の扶養のための年金の充実がはかられ(国民皆年金),そしてそのうちの弱者である要介護者の介護を中心とした福祉の面が近年ようやく本格的に整備された(公的介護保険の実施)という順序で進んで来た。この間にあって医療・年金が国民全員を強制加入とした社会保険制度によって主として担われて来たため,わが国社会保障制度の特色として「社会保険中心」,「医療・年金中心」という姿となっており,福祉は主に租税を財源とする措置制度によって担われ,あくまでも「脇役」として止まっていた。ちなみに現在の社会保障給付の割合は年金5,医療4,福祉1となっており,これは諸外国と比較すると福祉のウエートが著しく低い(例えばスウェーデンではこの割合はそれぞれ38%,19%,43%となっており,福祉が最大のウエートを占めている)。
 本書の問題意識もこの点に重点が置かれており,わが国の社会保障の展開の中で各種の社会福祉施策が著しく立ち遅れていること,およびその見直しが行政の大きな課題であるとしている。そして戦後の経済の再建から高度成長,そして安定成長へという流れの中で社会保障政策がどのような推移をたどってきたかについて,綿密な調査に基づく周到な記述がなされており,史料的価値が高い。特に,読者は従来おびただしく取り上げられて来た年金,医療の分野の影にかくれてとかく閑却化されがちであった福祉の分野での戦後史がわかりやすく理解できる。
 わが国が本格的な少子・高齢化社会に突入したいま,高齢者介護,少子化対策としての形で福祉の分野が今後拡大化していくことは明らかである。そのことはすでに94年3月の高齢化社会福祉ビジョン懇談会の「21世紀福祉ビジョン」においても認識されており,同ビジョンでは給付における年金・医療・福祉のバランスを現在の5:4:1から将来5:3:2とすることが具体的に示されており,本書の問題意識は行政によっても裏付けられている。
 本書は公務員研究双書シリーズ中の1冊として企画されたものであり,その意味では過去の行政的事実の緻密な時系列的羅列は被研修者の基礎的な理解度を高める上できわめて有用と考えられ,各種研修の教科書として最適なものといえる。しかし,一読者としては社会保障についてのマクロ・ミクロの経済理論をふまえた現状分析と,そこから導かれる大胆なあるべき将来像の提示がないという意味での不満が残る。特にわが国の場合,無謀ともいえる国債大量発行による利益誘導型の財政措置が「景気対策」の名のもとに無軌道に続けられたため,財政は未曾有の危機に直面している。理想的な社会保障像とそれを支える財政の現実とをいかに整合させるかが問われている。
(C) ブックレビュー社 2000

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現代日本の損害保険産業

2000/07/10 09:15

損害保険産業の現状と将来を最新情報を駆使して詳述,また規制理論に基づき損害保険をミクロ経済学的に分析

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 これまで戦後長く続いた厳重な護送船団行政のもとで手厚い付加保険料と含み資産に支えられて高収益,優良企業の典型とされてきたわが国の損害保険業界が一転して嵐に巻き込まれはじめている。本年5月には戦後初めての損保会社破綻が報じられた。その直接のきっかけとなったのが98年7月からの損害保険料率自由化にあることは周知のとおりである。こうした激変の時代にあってこれまで比較的地味な存在として,マスコミに登場するのもせいぜい大学生の就職人気の高さ(それも損保会社の安定・高収益のイメージによるものである)程度であったはずのこの業界にも,世の関心が集まり始めている。本書は,こうしたタイミングのもとで数名の研究者と実務に携わる経験を持つ業界人が分担執筆したものを産業組織論,公的規制論専攻の編者がとりまとめたものである。
 本書の特徴は第1に,これまでほとんど実務的レベルでしか書かれることのなかった損害保険産業について,経済学の理論・分析手法を用いてその本格的な分析に取り組んだ点にある。特に,ミクロ経済学の手法を用いた損保市場の均衡分析と保険料率の分析は興味深いものがある。
 第2に,損保業界と近年内外の耳目を集めているいわゆる「金融ビッグバン」との関係を取り上げている。そのうちでは特に欧米における損保市場での新しい展開(カタストロフィ保険,ファイナイト・リスク再保険等)について多くの紙面を割いていることは,業界の実務家にとってのみでなく金融理論の専門家,また最近ブーム的様相を帯びつつある「金融工学」に関心のある人々にとってもきわめて刺激的な部分であろう。また第3のポイントとして,従来典型的規制産業とされて来た損保業界を規制緩和論との関連から取り上げて論じている点は今日混迷気味のわが国の規制緩和論争に対する1つの問題提起となり得る。
 本書は,わが国における損保産業の本格的な経済分析として他に類を見ないユニークな業績として高く評価できる。
(C) ブックレビュー社 2000

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