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川村 湊さんのレビュー一覧

投稿者:川村 湊

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紙の本ヒナギクのお茶の場合

2000/10/21 00:17

日本経済新聞2000/5/14朝刊

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 多和田葉子の小説を読んでいると、ディズニーのアニメ映画を思い出してしまう。シュール(超現実)といえば、まさにシュールな登場人物の「変身」がいとも日常的に行われてしまうからだ。「雲を拾う女」では(わたし)はトイレの個室から出てくると、哺乳ビンの乳首に変身してしまう。カフカの『変身』ではグレゴール・ザムザが毒虫に変身した時には、事態は何やら重苦しかったが、この変身はいささかマンガ的であり、過剰な意味は付与されていない(不条理といったような)。
 哺乳ビンの乳首から録音テープへの変身。魔法使いの弟子のミッキーマウスが、箒(ほうき)を一振りするたびに、生物は無生物に、無生物は生物に変身する。パンが雲になり、セールスマンが悪魔になるのも同断である。
 多和田葉子は、そうした「変身」を楽しむ。それは言葉がそれだけ自由自在であることの喜びなのだ。そこでは作家は魔女だ。鼻をぷるぷると震わせると、言葉は思いがけない変貌や変身を遂げる。それは言葉遊びというより、言葉に生命・魂(アニマ)が付与されて、勝手気ままに動き始めるのである。枕木、哺乳ビン、ウイキョウ、ヒナギクといった言葉たち。それはボクトーキタンやクミントショカンと同じように、わけのわからない「日本語」という登場人物たちなのである。
 多和田葉子は、日本語、あるいは日本語の文字を駆使する魔法使いである。彼女はヒゲ文字(ドイツ語)でも詩や戯曲を書く。日本人文学者としては珍しいバイリンガルの文学者だ。しかし、彼女は日独の言語や文字のそんな隙間に落ち込みはしない。言葉が伝達の手段や思考の道具だなんて、そんな「ばかなこと言わないでね」というのが、彼女の「言語」に対する基本的なスタンスだ。
 言葉は変形させ、変身させて楽しむためにある。物語は自らシュールに展開するのが身上だ。作者も読者も、そんな雲を掴むような話を楽しめばいいのだ。ウイキョウやヒナギクのお茶でも飲みながら。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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