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倉嶋果林さんのレビュー一覧

投稿者:倉嶋果林

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豊かな想像力が豊かな表現力につながる

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「伝える…」
 普段の生活の中では、話せば、伝わる。それは特に意識する必要のないことかもしれない。しかし、相手が聴覚障害者であったらどうであろうか。耳の不自由な人と関わったことのある人なら、「伝える」ことのむずかしさを実感することがあるかもしれない。

 この本は、NHK教育テレビの「手話ニュース845」の中のコラム「手話放談」を活字にしたものである。放送を活字にしたものはよくあるが、これはちょっと違う。この番組では、永六輔さんが2分間勝手気ままにしゃべったことを、手話通訳士の丸山浩路さんが同時通訳するのである。つまり、この本に書かれていることは、丸山さんが手話通訳した言葉なのだ。そのことを知ってしまったら、もう普通の読み物のようには読めない。読みながら常に「これは手話でどう表現するんだろう?」と想像力を働かせることになるのだ。
 例えば、こんな文章がある。罰金の国、シンガポールの話だ。

「で、たとえば立ち小便、これは五百ドルです。丸山さんカメラに向かって何をやってるんですか(笑)。すいませんけど、こっち向かないで、後ろを向いてそれ、やっていただけませんか。もう、一回、立ち小便…」

 二人のやりとりが目に見えるようで思わず笑ってしまう。
 ではこれはどうだろう。

「ズキズキ痛む、ヒリヒリ痛む、ズキンズキンとくる。」
 
 同じ痛みでもいろいろな言い方があるが、これをどんな風に手話で表現しているのか、とても気になる。
 手話というものをご存じない方は、手話が100パーセント通訳され100パーセント伝わっていると思うかもしれない。でも実際は、それはとてもむずかしいことなのだ。
 密度の濃い話題だとカバーする部分が多くなり、手話の数も多くなる。この本にもあるように、永さんの口から「ベートーヴェン」と出てくる間に、丸山さんは「クラシック音楽で有名な〜」と、その背景までもカバーしている。手の回転はもちろん、頭の回転も速くなければとてもつとまらない。
 手話というのはスピーディなイマジネーションが大切であると私は思う。豊かな想像力が豊かな表現力につながるからだ。
 この本では、モーツァルトは手話が出来たという話から、暦上の祝日の由来、性教育から虫の鳴き声の種類、俳句にいたるまで、バラエティに富んだ奥のある話が展開される。そんな中で、手話というものがどういうものか、どんな風によいのか、どんな風に限界があるのかが自然と感じとれ、さらに永さんと丸山さんの二人のパフォーマンスが目に浮かび、思わずニヤニヤとしてしまう。手話のイラストや写真などはないが、逆にそれが想像力を刺激し、とてもビジュアル的な本になっているのが素晴らしいと思う。これを読めば、あなたもきっと手話の魅力に興味が湧くはずである。

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