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先月(2017年8月)

北風と太陽さんのレビュー一覧

投稿者:北風と太陽

1 件中 1 件~ 1 件を表示

今日的な図書館を考える上で非常に気になる一冊

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 著者が変革期にある図書館を,「フローからストックへ」と主張して,前著とも言える『情報基盤としての図書館』を上梓したのが2002年4月である。それから2年も経たずに続編とも言うべき本書が刊行されたことに驚きを禁じえない。先ずは,著者の精力的な執筆活動に敬意を表したい。しかも,5章から成る内容がそれぞれタイムリーな話題性に富んでいる。ラジカルな図書館情報学者の面目躍如といったところであろう。内容的に前著の主張を踏まえている部分もあることから,前著と併せて読んだ方が解りやすいだろう。
 第1章では,ベストセラー提供に関わる問題を分析している。「出版11社の会」の調査についての,豊富な表とグラフを用いた説明はわかりやすく説得力がある。2003年に実施された「公立図書館貸出実態調査」についても補足的に説明しているが,こちらの調査の方がデータとしてしっかりしているので,もっと深く言及して欲しかったところである。
第2章は「選書論」に関する考察である。要求論に基づく歪を指摘し,図書館が持つコミュニケーション機能の必要性を説き,「公共図書館は今後,市民の調査研究機関に変貌していかなければならない」と説く。
 第3章では,「地域資料・情報」の重要性を述べる。資料提供に関し,従来型とビジネス支援を捉えて,「これは,recreationからcreationへというパラダイム転換がはかられようとしているということもできるだろう」と表現したのは,言いえて妙である。
 第4章では,日野市立図書館市政図書室での調査から「地方行政レファレンス・サービスの可能性」を探る。詳細な調査に基づき多くの表を用いた説明はわかりやすい。日野市の事例は,貸出とレファレンスがうまく機能している図書館サービスという意味で,今後の図書館サービスにおける一つのモデルになるものと考えられるとしている。
 第5章では,公立図書館における電子図書館的サービスを取り上げている。この世紀の変わり目は,戦後50年続いてきた図書館体制が岐路に立たされている境目でもある。サービスの合理化・効率化をはかるために民間手法を取り入れた経営方法が取り沙汰され,IT(情報技術)がその省力化のツールとして登場している。しかし,図書館専門職の確立がなされていない現在,図書館民営化論を検討するには時期尚早であるとの考えが図書館界にはあるが,結局は他の公共施設と同様の民営化論を導入する動きに反対する決定的な論理を持ちえていない。そこで著者が主張するのは,ITの導入が図書館員の専門性を再認識させる鍵になるとの考えである。2001年度に全国公立図書館協議会が実施した「電子図書館調査」等に基づき,著者の視点の基に提言している。電子化・情報化は図書館サービスそのものの構造改革を行うきっかけになるが,その実現のための最大の課題が職員の再教育と長期的な図書館員養成教育の必要であるとしている。ところが現実はそれが実施できる環境は整っていない。この環境を整備することは,日本図書館情報学会や専門の大学関係者に対する課題であると結んでいる。
 全体を通じて流れる著者の主張は,現在の図書館サービスのあり方を問い直しているものである。第2章の末尾にあるように,「税金で運営される公共機関は,つねに自らが何のために存在するかの論理をつくり直し,それを市民に明確に示せない限り,消えていかざるをえない」のである。

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