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ハナ・ウサミンスキーさんのレビュー一覧

投稿者:ハナ・ウサミンスキー

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ポップ遍路のゆくえ

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数年前に友人がお遍路をした。そのときは、へぇ〜そんなしんどそうなことを、とごくごく傍観者的な感情しか抱かなかったのだが、最近なぜだかすごくお遍路がしたい。それがちょっと前から私の胸の内もやもやと育っている感情。

で、最近前々からちゃんと読みたかった小林キユウの『Route88』を読んだ。それによると、お遍路さんに旅の動機を聞くことは昔からタブーとされてきた、とある。それを知らずに、著者でありカメラマンである小林氏は若者の遍路にインタビューしてまわる。
旅のスタイルもお遍路経験の有無も人それぞれで、何度もお遍路をやってますという人から、休みを利用して毎回数泊ずつして少しずつ進んでますという人までさまざま。眠るところも、寝袋使って野宿という人から、テント張ります、民宿に泊まりますという人まで雑多。

インタビュー文を読む限りは若者の遍路に悲壮感や切迫感はあまり感じられなかった。あ、そんなにカジュアルなもんなんだー、というのが自分の正直な気持。自分はもっと大仰に構えていた。「いや、旅を終えたときになんとなくでもなにか変わっていればいいかな」って。「そんなね、大げさなもんじゃないんですよ」という雰囲気のことを皆口にする。

でもでも、実際にそんなに軽い動機なんだろうか? 著者が会った中年の遍路さんたちはことごとく取材を拒否する(もともと取材対象は若者遍路なのだが、道中若者が全く見あたらない時期があり、取材対象の幅を広げようか、と著者が中年遍路の何人かに取材を試みる)。そのようなハッキリとした「ノー」の意思表示。そこには著者もいうような遍路の動機の重さがあるのかもしれない。だがそれだけではないような気がする。「ノー」と態度で表現できる。そのことは強さであり信念であり自信のようにも自分には思えるのだ。

そこへ来ると、若者遍路の9割ぐらいは取材を承諾している。それは動機のカジュアルさだけから来るものなんだろうか? それもあるとは思うがそれだけではないだろう。例えば、彼らの世代は「カッコワルイ」ことを忌避する世代でもある。シリアスなところは見せたくない。実際そうであっても。実際真剣にやってる遍路だって、なんというかこの旅でなにかを変えたい、ということはなんとなく思っていても、それを口にはできないところがあると思うのだ。本音と建て前というか…。それでも20歳ぐらいの遍路もいたから、そこまで行くとまた違う思考でもって動いているのかもしれない。
よくよくかんがえてみりゃ、やはり遍路するヤツなんてやっぱり変わってる。それは表面的な話だけでは見えてこないところの彼ら若者遍路の個性だとも思う。そこをやっぱりもうちっと見たかった…。

著者の企画はすごく目の付け所がいいと思うし、写真があるのもいい。遍路道の写真、道に立つ草花、そして遍路さん。写真があることで遍路という旅に読者が入りこみ易くもなっている。自分はないものねだりだなぁと思うが、やはりもう少し立ち入ったところの話が聞きたかったというのも事実だ。実際著者もそれを欲してはいたが、遍路という特殊でデリケートな取材対象であるがゆえにしばしば自ら線を引いてしまう。まあ致し方ないといえば致し方ないのだが……。

今回の取材対象となった遍路と自分が同世代であっただけに、自分のこれからについても深く考えさせられ、自分の内面を見つめ直すいいきっかけになった一冊だった。

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