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先月(2017年8月)

風の街からさんのレビュー一覧

投稿者:風の街から

1 件中 1 件~ 1 件を表示

見るということの不思議さを問いかける

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「あの世はあった」という過去形の言葉の意味は、既に「あの世」は「ない」し、昔から今にいたるまで「なかった」筈だという科学的思考に裏づけられた、現代社会に対する不屈な挑戦状でもあった。その根拠として、本書では、日本で名高い知的な文学者たちのさまざまな霊的体験のエピソードを紹介していく。幽霊との遭遇、ポルターガイスト、幽体離脱、霊媒師、臨死体験…。近代科学が普及し始めた明治以降の文学者たちは、実際には幽霊やあの世などは信じる筈もないような知的かつ科学的な時代と社会の中を生きつつあり、自らが不可思議な体験をした後でさえも、それを合理的な思考によって理解しようとしていた。だからこそ、逆にそうした文学者達が体験してしまったことを書き残さずにはいられなかった事実、人に話さずにはいられなかった事実が、文字に残されていることの面白さを、本書は浮かび上がらせている。漱石が修善寺の体験をしたことを臨死体験と見て、その後に、そうした神秘的な世界を追求し切れずに、人間のエゴイズムを次々と作品化していったことについて、漱石に対する無念さを見る視点は、晩年の漱石作品の読愛者としては疑問が残るが、遠藤周作・佐藤愛子・土井晩翠・小山内薫・長谷川時雨・長田幹彦・新渡戸稲造といった一風か異質な文学者たちの霊的な体験の数々が紹介されているのは、目新しくもあり、興味をそそられる。霊感が強い文学者のエピソードが、単なる怖いもの見たさの怪談話に終わることなく、いま、人間が生きていることが、死んだら全ておしまいという刹那的な考え方や生き方に閉じられることなく、「あの世」というものを想定することで、寧ろ「いま生きている」ことの「安らぎ」を、読者に齎そうとするのが、本書の最大の特徴ではないかと思う。そうした独特な本書の視点や考え方を、どう受け止めるのかは、本書を読むそれぞれの読者の生き方の問題に委ねられていると思うが。

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