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氷月さんのレビュー一覧

投稿者:氷月

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本春陽

2003/08/05 02:30

何とも独特な「言葉」の美しさ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 妖に絡む仕事を生業とする叔母の手伝いをしている二人の兄弟。言葉で現実を歪める呪言という力を持つ兄の比佐、ぶっきらぼうな物言いながらもお人好しな性格の圭一の二人を中心とした物語。
 「春陽」を読むとまず感じるのは澄んだ言葉の美しさ。
日常の何気ない一コマから季節特有の幻想的な情景まで、物語の節々からどことなく澄んだ空気を感じさせる言葉で溢れている。
 比佐は呪言者であるがゆえの苦しみを抱え、圭一はそんな「呪言者としての兄」が心配で堪らないがその事にきちんと向き合えずに葛藤している。それを日常の中に溶け込んでいる妖に係わる事件に所々絡め、彼らの成長していく様を描いている。
 読後感も非常に爽やかで、ぜひとも続編が読みたい。

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