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ちぐささんのレビュー一覧

投稿者:ちぐさ

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生きがいは気持ちの持ちようで

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 日本に「死の準備教育」を普及させた筆者の、2003年3月の上智大での最終講義をもとに、筆者の「死生学」研究のエッセンスを一般向けに易しくまとめたもの。筆者の温かい、明るい人柄がにじみ出ており、親しく講義を聞いているよう気持ちになりながら、読み物風に通読することができる。
 日本人は死を語ることをタブー視しがちであるけれど、死は人にとって重大なことであるし、死への準備をすることはすなわち毎日を大切に生きることである、というごく当たり前の、ところが日ごろは見過ごしがちなことが、当たり前の口調で語られている。
 筆者はカトリックの神父だけれども、宗教アレルギーの私にも全く違和感なく、自然に受け取ることが出来る内容だった。戦時下のドイツでの子供時代の体験などは、涙を誘う。
 特に印象的だったのは、中世ヨーロッパでノートルダム寺院を建設していた頃のエピソード。そこで働いている3人の労働者に「あなたは何をしているのですか?」と質問した。その答えは三者三様。Aは、「重い石を運んでいます。大変な仕事です」とぼやく。Bは、「私は一生懸命働いています。家族のためです」と答える。Cは、「私はノートルダム大聖堂を建てているのです」と胸を張る。3人とも自分の存命中に大聖堂は完成しないと知っているのだが、その人生の色彩は随分と違ったものだったろう。これは私たちが生きていく上での気持ちの持ちよう、生きがいというものの正体について、とても明快な示唆を与えてくれるように思う。日ごろの自分の発想がAさんと同じものになりがちなのでは?と、はっとさせられた。また、Bさんのせりふは多くの夫がよく口にするものだ。人間に生きがいをもたらすのはCさんの発想だろう。
 また、自分にとって大事だと思われることを10項目列挙してみて、この1週間の間にそれぞれの項目にどのくらいの時間を割いたかを数えてみなさい、という指摘は、とても具体的な示唆に富んでいると思う。たとえば多くの人は自分にとっての大事なものとして「家族との団欒」を挙げるだろうが、果たして実際にそれに使った時間は何時間だろう? 自分の時間の何パーセントだろう? 自分が頭で思っている「大事なもの」と、実際に生活の中で比重がかかってるものの乖離、これが案外現代人の抱えている倦怠、憂鬱の正体なのかも知れない。そのことに気づくだけでも、自分の生活を見直す一歩になるだろうと思う。

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