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  3. 関東蒲公英さんのレビュー一覧

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先月(2017年8月)

関東蒲公英さんのレビュー一覧

投稿者:関東蒲公英

45 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本夕凪の街 桜の国

2005/06/06 10:21

純粋な問いかけ

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

広島・長崎をテーマにした作品や物語りを読む際に、一般人にとって一抹の抵抗がある事の一つに、その作品を作り出す人の「イデオロギー」から来る説教臭さ、押しつけがましさをどうとらえるかという事がある。
この種のテーマの作品に往々にして見られる戦後左翼的な反戦平和思想、彼等の唱える日本の「侵略戦争」や「日本軍の残虐性」等への反省を訴える過剰な演出や回りくどい表現、そうした物が垣間見られる作品には、仮に一端の真理が内包されていたとしても、その「過剰すぎる演出」に戸惑いを感じる読者も多いのである。
専門書ではない一般向けの書物において、イデオロギーや思想に執着のない一般読者が求めている物は、本来そうした押しつけがましい思想の産物ではなく、純粋な目で見た「戦争とは何か」、「争いとは何か」、「その時代を生きるという事がどういう事だったのか」という、考える為の「判断材料」なのではないかと思う。
最初この本がクローズアップされた時、私は恥ずかしながら所謂反戦平和思想の押し付け著しい紋切り型の反戦漫画を想像した。
しかし数々の書評で絶賛されている事実、そうした思想性が薄い珍しい漫画という話を耳にした事で興味を持ち、実際手にとって読んでみる事にした。
正直な所、前述の考えが恥ずかしくなる程、この作品には心を打たれた。心打たれる何かがあった。
この作品の中に出てくる人物達からは、多くの同種のテーマの作品が放つ「思想性」を全くといって良い程感じない。むしろ、戦争・原子爆弾、こうした出来事が、日々の平穏を求める一人一人の人間達にどんな影響を与えたのか、彼等から何を奪っていったのかを読者は伺う事しかできないのである。
この作品は、だから戦争を無くせとも、だから日本が悪かったとも、だからアメリカは悪いのだとも結論づけてなどいない。戦争への憎しみや、誰かへの恨みなど、説教臭い台詞回しはどこにも感じられない。この作品の中には、日々を生きようとする人々の自然な姿と、それを奪われた時の純粋な「悲しみ」のみが満ちあふれている。
「夕凪の街」では、戦争終結直後の広島の少女の話が、後半の「桜の国」では、その少女の弟が子供を持つまでに成長した「現代」をテーマに話が展開する。その内容はここでは個別に触れないが、読後に心を締め付けられるような感動を覚える。
感動という表現が適切かどうかはわからない。しかし、この作品は今までの思想性やイデオロギーから来る反戦漫画とは一線を画した何かが我々の心をとらえて離さない。
戦争の時代があって、原子爆弾が落とされて、戦後の時代があって、こういう世界に生きた人がいて今という時代がある。そうした事を忘れないでほしいという素直なテーマ性がここにはあるように思えてならない。
繰り返しになるが明確な思想や答えをこの作品は求めていない。それは読者に委ねられているといっても過言ではない。そうした意味でも子供達に安心して読ませる事のできる貴重な作品ではないかと思う。今までなかなか無かったこうした時代をテーマにした作品をどうか一度素直な気持ちで読んでみて欲しい。

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心暖まる綺麗な物語

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

斎藤けん先生の初コミックとなりますが、一気に読み上げました。初コミックにしてこの実力、この描写は正に「感動」の一言。
内容は、事故で両親を亡くし心を閉ざしてしまった蝶子という少女を、遠い親戚の若い小説家である京が預かり、やがて二人は互いに心惹かれていくという話なのですが、二人の心理描写や、作中に使われる庭の「花」や京が書く「小説」といった小道具の使い方が上手で、読んでいると非常に暖かい気持ちになれます。
ストーリーも長すぎず短すぎず、脇役も無駄に話を延ばしたりする為に使うのではなく、必要な箇所に話の魅力を引き出す形で配置されていて、全体を通して1冊の本に見事に纏まって居ます。
何より、最後の持って行き方、二人の今後の関係を読者が想像するクライマックスの仕上げ方の秀逸さは実際に手にとって自分の目で確かめて頂きたい所だと思います。
この作品は、個人的には文句無しで人に勧める事の出来る1冊ですので、心暖まる世界を求めている方は是非読んでみて欲しいと思います。

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もう一つの教科書問題

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

歴史の教科書を中心に近年様々な教科書を見直そうという運動が盛んな中、そうした議論の最中でさえあまり顧みられる事の無かった音楽の教科書についてを扱った貴重な一冊だと思う。
「もしもしカメよカメさんよ」「桃太郎さん桃太郎さん」「昔、昔浦島は助けたカメに・・・」こうした歌詞を目にした時、これを読まれている読者の方は、その大半が件の旋律を頭に描く事ができるかと思う。子供の頃から幾度となく自然に聞かされて覚えた歌、みんなが当たり前の様に知っている歌が今静かに絶滅の危機にさらされているとしたらどうだろう。
明治以降、西洋の音階に慣れ親しむ事を目的に生み出され、多くの人に愛され歌われてきた沢山の唱歌や童謡、年配者から子供達まで楽しめる、誰もが知っている楽曲の、その数々が今まさに失われつつあるらしい。
実際、祖母が知っている楽曲の多くを私の世代は既に知らないし、曖昧に覚えている物も多数。それでも旋律くらいは耳にした事があるというのはまだマシな話で、近頃では、前述の有名な歌ですら「知らない」という子供達が増えてきていると言う。
これは音楽における世代間の断絶を意味する。家族みんなで楽しめる歌、祖父母と歌って遊んだ名曲、そうしたかけがえのない文化が失われてしまうのは大変残念な事ではないだろうか。
桃太郎の歌は鬼ヶ島に鬼を退治しに行く軍国思想の産物である。
赤とんぼの「十五でねえやは嫁に」の「ねえや」は女性差別である。
この様な理屈で次々に教科書から消えていく名曲達。
春の小川はさらさら流る、では文語調で今の子供に受け入れられないと変に気を遣い、「さらさら行くよ」に。匂い目出度く色美しくも「姿やさしく色美しく」と。この様な曲の情緒を台無しにする勝手な改訂が行われてしまった名曲たち。
年末や卒業式等に歌われる「蛍の光」に実は3番4番があった事を知っている人が今どれだけ居るだろうか。
その一方で氾濫する外国曲や、教科書に採用される頃には時代遅れになっている「現代の曲」。そのアニメを見ていない者には世界観の分からないアニメの曲の数々。近年音楽の教科書が抱えている問題点というのは、実に根が深く、本来もっとクローズアップされても良いのでは無いかと思う。
この本では、そうした教科書から消えていったり姿を変えられてしまった楽曲について、その再評価を含めた解説と本来の歌詞や楽譜等が掲載されている。
ゆとり教育、週休二日等で何かと犠牲にされやすい音楽という授業の中で、我々は何を子供に伝え、どういう文化を残し、逆に何を切り捨てて行かなければならないのか。そうした難しいテーマについて考える手がかりに、この本を読んでみては如何だろうか。

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どこかで見た、あの広告。

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「外貨預金、今ならキャンペーンにて片道手数料無料!」、「定期預金、元本保証で金利は1%」、「個人向け国債は当行で・・・」、「○○証券、○万円までの株式売買手数料無料」。
投資に興味のある人でも、お金は堅実に貯金あるのみと言う人も、最近こういう広告を沢山目にする機会が増えている事だろう。
大抵の場合、※印が記載され、広告の隅に小さな文字でリスクの説明がなされている。
この小さな文字に気がつかない人は論外だが、小さな文字を熟読し、リスクを十分理解したつもりであっても、気がつかない所に広告には載っていないような「リスク」という物は存在する。
「金融商品に興味はない。定期預金なら高金利で確実。」と思っている人も、少し立ち止まって本書を読んでもらいたい。
最近、他行よりも高金利である代わりに中途解約不能、或いは中途解約時に元本を下回るリスク性のある定期預金も増えている。銀行なら安心という時代でもなくなってきているのだ。
評者は金融商品について人並み以上には勉強をしてあるつもりでいたのだが、定期預金や、外貨預金についての意外なリスク、個人向け国債の利点等の項目には思わず目から鱗が落ちるような内容も多かった。使うつもりの無いお金なら、インフレが起こらないならば、定期預金に拘束されたとしても損はないだろうというのは、実は危険な事なんですね。
さらに、「もっと有利な商品があるのにも拘わらず、リスクの高い不利な商品を、我々は知らないうちに銀行や証券会社に押しつけられているのではないか。」そんな事も考えるきっかけになった一冊でした。
新書にしては一際分厚い本書ですが、前半にカラーで実際にありそうな金融広告の例が記載されています。また、所々でそうした広告の例が図示され、どちらの広告の商品が有利であるか等のクイズもあり、飽きずに最後まで読むことが出来ます。
投資を煽る物ではなく、金融広告の中にあるリスクをあぶり出し、適切な商品を選ぶ手がかりにしようという趣旨の本なので、投資嫌いな人にもお勧めできます。
問題は、この手の本をしっかり読む人は、金融商品に騙されにくいという事でしょうか。筆者が一番読んで欲しいと思っている層には、本書は読まれないのではないかなと思うと残念な気がします。
金融の世界では、リスクの勉強をそれなりにしている人からも金銭を騙し取る悪徳業者が少なからず居ます。しかし、それは全体から見れば少数の悪徳業者。実は、誠実な企業であっても「勉強しない無知な者から金銭を騙し取る事には躊躇しない」というのが金融の世界と言っても過言では無い様です。
金融機関にとって「都合の良いお客」にならないように、我々も最低限の知識は身に付けたい物だと、改めて思った一冊でした。

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この本が問いかけてくるテーマは限りなく重い。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「国まさに滅びんとす〜英国史に見る日本の未来」このような厳めしいタイトルの本書を最初に目にした時、評者はこの本の主題を、大英帝国の衰退を反面教師とし、現代の我が国政治に何かを訴える類の本であると想像した。評者は、過去に繁栄した国家の盛衰は何故起こったのか、現在超大国として君臨するアメリカや、経済大国としてそれなりの地位を保ってきた我が国の繁栄に終焉が訪れるとしたら、それはどの様な時なのかという事に興味を持ち、少なくとも一早く産業革命を達成し20世紀初頭まで世界に数々の植民地を有しつつ、大英帝国の名の下世界を牽引してきたイギリスが、いつしかその役割をアメリカに明け渡し英国連邦をはじめ絶大な力を有しつつも、その繁栄に衰退の陰りがある事を否定する事は出来ないまでに到ったプロセスが本書から学べれば良いと期待した。
しかし、本書を読み終えた段階で語れば、英国を反面教師にするという部分において、本書は評者の想像とは良い意味で違っていた様である。
本書の前半部から約八割は、近代イギリスの政治史或いは外交史とイギリス人乃至アングロサクソンという民族の気質についての詳細な分析であり、その外交上の成功や失敗から安易に我が国の事例を引き合いに出す様な拙速な結論に導こうという物ではない。終章の冒頭で本書の筆者が言う様に「歴史の客観性を保つ為に、あえて日本に引き寄せる事をせず、むしろ突き放した態度で」書かれている。その上で筆者は、読者個人がそれぞれの考えで、その日本的な意味を考えて欲しいと論じている。その断りの後、終章で筆者自身の日本的な意味が語られるという構成になっている。
こうした構成からか、前半のイギリスの政治史に興味の無い読者には少々つまらない物と感じるかも知れず、少なくとも世界史におけるイギリスの歴史を一通り知らぬ読者には荷の重い書となっている。また、前述の通り拙速に結論を引き寄せる事もなく、文章自体も一文が長く読み解く事が難しい為、安易な気持ちで気軽に読み始めると大変な事になる。しかし、一方で本書のイギリスの外交史におけるサッチャーや或いはチャーチル、ブレアといった首相の行動や、その行動を支えるメンタルな面、アングロサクソンの民族性を考慮しつつ、イギリスの盛衰と政治における意味を論じる本書からは、得られる事、新しい発見も特出して多い。
書評の字数制限から全てを語る事が出来ないが、筆者は国家の繁栄には自ずから衰退のプロセスが組み込まれていて、イギリスにみられる衰退は、反面教師としてよりも寧ろその衰退を如何にして引き延ばす事が出来たのかにこそ論じるべき点があると言う。それを可能にしたアングロサクソンの気質や「知恵(本書的な意味では良識に近い)」とは何なのかを本書は詳細に論じる。
これ以外にも、イギリス外交史における日英同盟を論じた部分などでは、我が国の論壇でもあまり語られてこなかった側面が多数みえて来て興味は尽きない。
本書は文庫本一冊でありながら、読むには十冊或いはそれ以上の労力を有するかもしれない。それを覚悟の上で読むならば、日本の現在の政治的状況や、あるいは必要としている物などに新たな考え方や視点を見出す一助たる一冊になると評者は確信している。

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紙の本年表で読む明解!日本近現代史

2005/06/21 23:41

中高生には是非お勧めしたい一冊

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

歴史の勉強をする際に、教科書を読むというのは大切な事ではあるが、教科書は教科書であるが故の様々な制約があり、記述されている内容も、簡略化された物になりがちだ。
歴史的なイベントが起こるまでのプロセスや、そこに至るまでの人々の努力、歴史的な人物の行動の功罪や評価、或いは考え方の対立や騙し合い、といった歴史が好きな人間が最も興味をそそられる部分に関しては教科書を見るだけでは遠く理解が及ばない事も多い。
歴史は一面的にとらえるよりも、多くのサイドストーリー的に扱われてしまうエピソードや当時の時代背景を知る事によって、各々の時代を想像し、論じるだけの土台が出来る。そうした土台を作るのに最適な一冊が本書である。
本書は、近代日本の歩みについて、著者が重要だと考える項目について、様々なエピソードや時代背景を分かりやすい言葉で説明してくれる。
例えば、「世界恐慌」とか「満州国建国」、「東南アジア侵攻」はたまた「敗戦」や「日本国憲法制定」といった様に、小項目ごとに見開き1ページで語られ、1項目づつ読んでいけるので飽きがこない。中高生程度の読解力でも容易に読みこなす事ができ、当時の時代背景を探るのに最適だと言える。
個人的に勧めたい中高生はもとより、我が国の近現代の歩みやその時代背景を手軽に知る為の一冊として、大学生やそれ以上の方にもお勧めしたい一冊である。

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紙の本権威主義の正体

2005/06/04 02:05

付和雷同の社会を正すには・・・

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

近年、真夏に黒いスーツを着込みながら肌寒い位に冷房を効かせた部屋で仕事をする習慣を疑問視する声が大きい。しかし、よくよく調べてみると、こうした議論は何も今に始まった事ではなく、もう何十年も昔から、日本の気候風土において真夏にスーツを着る事の非効率を指摘する声があった事が分かる。
では何故、「誰もがおかしいと感じている事」や「誰しもが改善すべきであると考えている事」を変えていく事が出来ないのだろうか?
「社会人としてのマナー」、「今までもそうして来た」、「前例が無い」、「ケジメがつかない」、「昔はその程度で文句を言う根性の無い奴は居なかった」、「先方に失礼にあたる」、「上層部が許さない」等々、実に多くの理屈が聞こえてきそうな話だが、実にこうした事こそ、我々人間社会が陥る『権威主義』という思想の一端なのである。
「我が社のイメージに相応しくない」とリコールを隠す事を習慣化させてしまった自動車メーカー、「遅れを出す事は許されない」と安全を無視して大事故を起こした鉄道会社、近年社会を賑わす企業の不祥事の事例をみても、多くの場合、警鐘を鳴らす声は黙殺され、組織内部の考えのみが教条化し、事態を深刻化させてしまった物が際立つ。
本書は、我々人間の心理に宿る「権威主義」という悪しき慣習を、ナチスのホロコーストに拘わった本来善良なはずだった「ドイツ人」達の事例と、それにまつわる心理学的研究に基づき鮮明に描き出しつつ、後半部では昨今の日本社会における様々な企業不祥事の事例の中に見られる権威主義の影響、果ては身近に居る権威主義的人物の見分け方にまで言及している。
無論、筆者も主張する通り権威主義は我々の誰にでも程度の差はあれ有しうる物で、後半部における権威主義の事例の全てに該当しない人物は居ないかと思われる。
しかし、そうした権威主義への警告、権威主義の恐ろしさを知るだけでも、付和雷同を繰り返す我々の社会においては有意義な物になるのでは無いだろうか?
組織の内部で漠然と不満を抱えている人間にとって、この著書が良い研究材料、或いは参考になるのではないかと私は思う。

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「思いこむ」プロセス

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「誰かの夢を見たらその人がその日亡くなった」、「飼っていた犬が騒いでいると思ったら地震が起こった」、我々は日常的にこんな話をよく耳にする。そして多くの場合、我々はこうした事柄から人知の及ばない未知なる力や超常現象と言った物が存在していると漠然と信じている場合がある。仮に上記の行為を馬鹿馬鹿しいと一笑する人でも、「おみくじで大吉が出たら嬉しい、大凶が出たら気分が悪い」とか「結婚式は仏滅には行わない」とか「子供が出来た時に姓名判断の本を読んでみる」等という事に関してなら多少の心当たりがあるのではないだろうか。
また、これに限らず、我々の世界では実に多くの人が「私はこの目で○○を見た」とか「私はこんな体験をした」という事例に基づいて、ある種の超常現象を立証しようと試みたり、信じたりしている事に気がつくのではあるまいか。
本書では、こうした「超常現象」の存在その物の是非を論じる事はしていない。超常現象があるか無いかの判断は敢えて行っていないが、一般的に我々が信じている事や、偶然にしてはできすぎていると考える事例について、確率論的な分析や、心理学的な分析、人間の生物としての特徴を踏まえて、様々な角度から「思いこむ」という結果に至るプロセスを紹介している。
例えば、人間の目が如何に多くの錯覚を起こす物であるかや、同じ物を見ているはずの人間が、潜在的な意識の違いによって全く別の物だと証言したりする事例、まったく因果関係の無い2つの出来事に関連性を見いだしてしまう人間の本能や心理について、実に様々な検証がなされている。
作品中では、こうした「思いこみ」を利用したいくつもの意地悪な「例題」が図表を交えて示され、解答した後に「騙された」、「しまった」と気がつくプロセスが面白い。また、どうして間違った考えをしてしまったのかを心理学的に説明してくれて、読者の好奇心を刺激して止まない。
この本を読めば、実に多くの迷信やジンクスの類が確率論的には「ごく自然」な事だと理解できるし、超常現象と信じられている物の多くが「誤解」や「錯覚」など「思いこみ」による産物である事が理解できる。
しかし、その上でなお、作者は超常現象を否定したりはしていない。超常現象は本当にあるかもしれないが、そう信じられている物の中には、心理学的に、確率論的に立証できる物が多々あるというスタンスで話がなされている。
読後に、自分の「目で見ている世界」、自分の体験した「記憶」についてふと懐疑的になったり、視野が広がった様な感覚になる。
超常現象を信じる人が、その立証をより正確な物にする為にも、超常現象を否定する人がその立証を確固たる物にする為にも、はたまた人間の「思いこみ」や「錯覚」という世界が如何に多くの場所で日常的に起こっているのかに興味がある人も、読んでみる価値がある一冊だと思う。

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紙の本あひるのアレックス

2005/06/19 12:04

森喜朗元総理の作った絵本

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

幼児向け、子供向けの絵本は数あれど、内閣総理大臣経験者が作成に携わった絵本となると前代未聞ではなかろうか。
最初ニュースで聞いた時は、またまたどうしてそんな事になってしまったのかと仰天したものである。
森喜朗元総理と言えば、故・小渕恵三氏の後継として総理に就任以来、マスコミから種々の問題で集中砲火を浴びて退陣を迫られ続けたイメージが一般に定着してしまっているが、氏は従来文教族に位置するの議員であり、教育問題や青少年の育成については確固たる考えを持った方である。
教育の方向性や、氏の個人的な言動やイメージから批判を繰り返す方もいらっしゃるようだが、少なくとも教育問題に対する氏の熱意と、どのような考えであれその方向性に歪みのない氏の教育に対する姿勢はもう少し正統に評価されるべきではないか。
本書は幼児向け絵本であるため、内容は至って簡単な物である。
しかし、カルガモに育てられたアヒルのアレックスが成長過程で他の兄弟と自分の違いに苦悩する姿、やがてカルガモが南の空に旅立ってしまう際のアレックスとカルガモのお母さんの心境など、子供にその心情を語り、聞かせ、考えさせる事ができるように作品はよく練られていると思う。
総理が出筆に係わった本という事で話題になってはいるが、むしろそうした話題性がなくとも、幼稚園や小学校の図書室、或いは親が子供に語って聞かせるなど様々な場所で十分に活躍できる作品ではないだろうか。

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紙の本先輩とぼく 2

2005/06/13 01:21

前世と現世を結ぶちょっといいお話。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

前の巻で宇宙人に脳味噌を入れ替えられた「先輩」と「ぼく」。ですが、相変わらず入れ替わったまんまの生活をしています。
「男女入れ替え物」って言う、ある種定型化したジャンル(それでも人を惹きつけて止まないジャンル)の中で、この作品の魅力は、その設定のみに執着しない所とも言えるかもしれません。男女が入れ替わった事など何のその、その設定の上にさらに別の設定を上乗せしてどんどん攻めてくる。そんな感じの作品なので読んでいて飽きが来ないのが嬉しいですね。男と女が入れ替わったというネタだけを引っ張っていかない訳です。
今回は、新キャラクター「嵐ちゃん」が登場。この嵐ちゃんと主人公を取り巻く前世と現世のちょっと良いお話が感動的です。
終始極端な「お約束」をベタベタに展開して読者に笑いを誘いながら、最終的にちょっと感動的なストーリーに導いていくというこの著者の作風は個人的にかなり気に入っています。
シリーズとしては2作目になるので、1作目が気に入った方はこちらも是非。感動の度合いとしては今回の方がラストは感動するのではないかと思います。

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紙の本サル学の現在 上

2005/06/25 01:08

猿の姿から人間を見つめる

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人はともすると、人間とはどの様な生き物で、本来どのように生活する事が最も自然な生き方なのかを考えたりする物だ。
「自然人類学」などと言うと堅苦しい話に聞こえるかもしれないが、自然界において「人間」という存在が本来どのように生活していたのか、人間は本能的にはどのような生態の生き物なのかという話に全く関心を持たない人は案外少ないのではないか。
例えば、人間の日常生活の中では「浮気」をする輩が少なからず居る。その行為の道徳的是非はとりあえず措く事として、人間に近い動物である猿達の中にも実はこの「浮気」をする種類が結構な割合で居るのである。そうした猿の姿を見た時、人間は本来浮気性な生き物なのだろうか、それとも文化や思想といった後付の理由からそうした行為が生まれてくるのだろうかと途端にサルの生き方に興味が湧いてくる。また、猿には同性愛行動を取る者が実際に居る。その事実を知った時、振り返って人間の行動を考えてみたりする。
この様に、最も人間に近い動物である「猿」の生体を研究する事で、客観的にヒトという存在を見つめ直すという作業は、実に好奇心を駆り立てられる学問ではあるまいか。
猿の家族構成一つを見ても、男社会の種族も、女社会の種族も、一夫多妻制方社会も、一妻多夫方社会も、実に様々な種族がいる。こうした猿たちのデーターや研究を元に、人間は元々どの猿の生態に一番近いのだろうかとか、人間はどういう姿が最も自然なのかを考える過程がとても面白い。
実は、日本は世界的にもこの「猿」の研究において非常に高い成果を上げている国の一つであり、本書はそうした研究内容について立花隆氏がレポート風に仕上げた上・下二冊から成る文庫である。
様々な猿について、多種多様な角度から研究された成果がレポートされており、読み進む上で若干難しい所や面倒な所もあるかもしれないものの、人間の本来の姿を知ろうという普遍的な興味を刺激する本として一読する価値は十分にあると思う。
写真や図も多用されていて分かりやすい部分では非常に丁寧に解説もされているので、興味をもった部分だけを「つまみ食い」してみても良いし、一気に上下巻を読破するのも勿論面白いと思う。この本が出版されたのは随分昔でありサル学の「現在」からは大分遠くなってしまった印象もあるが、日々進歩する学問の中で、こうした研究成果を素人にも手軽に読める文庫にした価値は十分な物だと言えるのではなかろうか。

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手軽に読めて内容も充実

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

様々な花が咲き出す季節、家々の庭や道端に咲いている花の名前を知りたくてこの本を手に取ってみました。
ガーデニングに利用されている様々な花が種類別に写真付きで解説されており、育て方やよく使われる別名称まで幅広いデータが記載されています。
写真を見るだけでも楽しいですし、写真をみて興味をもった花を実際に庭に植えてみるなどしても楽しいです。
例えば、「ひまわり」だけでも5〜6種類が写真で解説されていまして、珍しい色の「ひまわり」がある事を知り実際私も庭先に植えてみたりしました。
花の名前を知る事で、あの庭には○○が植わっている、あの道沿いには○○の花が綺麗に咲いている、など、普段と変わらない景色が少しちがってみえたりします。
ガーデニング初心者には十分な量の花が写真付きで満遍なく網羅された手頃な一冊だと思います。
ガーデニングに限らず、ちょっと花に興味を持った方は一冊本棚に入れておいて損はない、そんな一冊だと思います。

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紙の本先輩とぼく 3

2005/06/13 02:00

2作目と合わせて読みたい3作目

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2作目で現世と前世が見事に繋がって、感動的に一つの話が終結した「先輩とぼく」ですが、この3作目はその続編とも言える展開です。
前世があるなら、それは当然現世につながっている。
そんな訳で、前世の嵐ちゃんが隠したと言う「宝」を探しに行ったりする話になっております。といっても、単なる宝探しやらに終始しないのがこの作品のスゴイ所。常に笑いを呼び起こしながら、肝心な所では練られたストーリーがしっかりと着実に進んでいく。押さえるところをしっかりと押さえている訳です。
今回もまた「新キャラ」が登場します。無表情でクールな感じの少女「桜さん」。この桜さんと主人公の関係は?前世と現世はどのように繋がっているのか?この辺りを見どころに、今回は読んでいってほしいと思います。
副題として、今回のテーマは「ツンデレ」らしいです。私は当初この単語の意味を知らなかったのですが、作品冒頭に突然出てきたこの言葉の意味を知ったとき、この3作目のテーマはコレだったのかと納得致しました。
個人的な感想ですが、1作目からこの作品が発売されるたびに読んでいる私としては、この3作目は出来れば2作目の記憶が新しいうちに読まれる事をお勧めします。2作目の設定を多くの部分で利用しているので、詳細を忘れてしまうと思い出すのに大変だからです。そのため、既に3作目が出ている今となっては2作目とセットで読む事を強く勧めます。
この先もまだまだ続いて行くこのシリーズですが、1作目から比べてもパワーが全然落ちていません。設定に設定が積み重なっていく感じもまた良いです。
一読者として自信を持って勧められるシリーズなので、どうぞ、3作目も手に取って読んでみてください。

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使いやすい。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書を含め、東京書籍より出版されている「わかるワーク」という問題集の解説は、既に中学1年生の数学のテキストの書評に書かせて頂いた。よって、このシリーズ全体を通しての感想はそちらの頁を確認して頂けると幸いである。
今回は、「公民」に特化して話しを進めたい。
大量の問題集が出版されている中で、中学生の問題集で良質な物、実際の試験レベルに即した勉強が出来る物は比較的少ないのが現実だが、このシリーズは兎角要点がしっかり押さえられており定期テスト対策に都合がよい。
「公民」の場合、解説ページの右側が先ず「箇条書きの空欄補充」になっている。そこで要点となる用語を確実にマスターし、次のページから実際の試験で狙われそうな実践問題を解く。その繰り返しである。
本書の利用法としては、最初の空欄補充を朱書きし、答えを先に写してしまい、完全に暗記してしまうのが近道だ。
それだけでも、定期試験で相応の得点は狙えるだろう。さらに上を追求したい場合は、次のページからある実践的問題を解き、章末の問題を解き、最終ページにあるテスト対策問題を解き、それでも不安な場合は、別売となるが「できるテスト」と併用するのがセオリーである。
この方法で大抵の中学生ならば定期試験で8割以上は取れるのではなかろうか。
短時間で最大の効果を生みたいならば、「できるテスト」までは手を広げず、この本の内容を徹底的に反復しておくのも良い。闇雲に大量の問題集をこなすより、先ずはこの1冊の暗記から。
東京書籍の教科書に完全準拠しているので、学校の指定教科書が東京書籍なら、本書は自信を持ってお薦めできる。

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漢中王劉備

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

魏国にとって、漢中は地理的にも防衛困難で得るものも少ない、正に食べるところの出来ない「鶏肋」の地であった。
一方、蜀漢にとっての漢中は軍事上も、その政策上も極めて重要な地と言えた。
劉備がこの漢中の王を名乗った時、その衝撃は各地に伝播し、そしてついに関羽が動き出す。
いままで、漢中王劉備の存在をここまで深く掘り下げて描いた漫画があっただろうか。この劉備対曹操のハイライトの一角をここまで見事に描きあげた作品が他にあるだろうか。
そう考えた時、蒼天航路の描写の凄まじさを痛感せずには居られない。残りわずかのストーリーをどの様に描いてくれるのか、期待がふくらんでやまない。

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