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スズリューさんのレビュー一覧

投稿者:スズリュー

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本誰か

2003/11/24 18:34

「現代ミステリー」って「2時間ドラマ」のことでしょ?

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 「野村芳太郎監督の撮った松本清張原作の映画のワンシーンに紛れ込んでしまったような気がした」。姉妹からの出版の依頼を聞き、事件を調査中の城東警察署に足を踏み入れたとき、ふと杉原は考える。
 本書は、テレビや映画のサスペンスドラマを意識したような表現が随所に散りばめられているが、裏を返せば宮部さんは「2時間ドラマ」を作ったと解釈してもいいだろう。それもシリーズになりそうなものを…。
 火曜サスペンス、土曜ワイドの「2時間ドラマ」で名作シリーズになっているものの推理自体は、はっきり言ってつまらない。または10時半ぐらいで何となく犯人が分かってしまう。もしくはキャストで犯人を当てられる。 それは本書の推理にも言えることで、姉妹の登場シーンで、2人の性格が対比されたところから「こうなんだろうなぁー…」と言う雰囲気を漂わせていた。受け手に結末を「予感」させない推理小説はたくさん存在するが、映像化するのは難しい。更に言えばシリーズ化はもっと難しい。受け手にとって見せてほしい「2時間ドラマ」とは、2時間丸々面白いドラマであり、結末だけが面白いドラマではない。そうでなければ2時間の間にチャンネルがえが何回起こるか分からない。
 つまり、「2時間ドラマ」は推理自体を見るものでない。事件と、日常の往復の中で、右往左往している主人公の行動を見るもの、と言うことだ。本書の場合、主人公の日常の幸福さと、事件にまとわりついてくるものの醜さが対比されて事件の結末のひどさは強調されているけれども、日常に還ったときの主人公の将来の夢や3人家族の楽しいひと時(絶対エンディングの歌に使われるんだろうなぁ…)も強調し、最終的には不幸を覆い隠しているのである。ここにも視聴者に対して安心感を与える「2時間ドラマ」ならではの手法が存在する。
 そんなわけで早くテレビ版が見てみたい、とも思う作品であるが、残念だと思うことは少しばかり「違和感」を感じたところである。あの2人の携帯電話の着信音が、「恋に落ちて」なのは例のドラマを見ていない僕にはピンと来ないし、梨子と同い年のはずの僕はかなりビビった。90年代(バブル期)の話だと納得することもできたが、着信音が選択できるという設定は97年6月にアステル東京が「着信メロディ呼び出しサービス」を創めてからのことだから、例のドラマをリアルタイムで見ていた世代とは、梨子はギリギリかぶらないはず。相手が好んであの曲選ぶわけないし…。再放送で見れるけど禁断の恋だったら他にもあるしなぁ代表的なの。
 少し「違和感」が残るがそれ以外は面白い作品であるわけだし、見ることを絶対にオススメする。

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外交官に

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誠実、正確、平静、謙虚、忠誠、よい機嫌、忍耐…ハロルド・ニコルソンの『外交』には、理想的な外交官の資質が7つ挙げられている。1つ1つの資質を見るたびにこれぞ外交官、と納得してしまうのだが、本書『さらば外務省!』は、読者に現代の、それも日本においては必要な資質が他にもある、ということを物語っている。
 著者は、本書を丁寧に読めば分かることであるが、出世コースからは確実に外れてしまってはいるが、自分の仕事に対して誇りを持って地道な努力をしている人である。だが、組織人としてはいささか不適格な存在なのかもしれない。組織の秘密を暴露するという行為は社会的に許されるべき行為、とは言い難い(裏切り者の汚名覚悟でやっているはずだから、本人に問題はないと思うが…)。それでも著書を発表に踏み切らした「怒り」とは何なのであろうか?
 筆者は30数年間を忸怩たる思いで過ごしてきた。外務省に入省して以来、アフリカ局アフリカ課長、内閣安全保障審議官、マレーシア公使、オーストラリア公使、カナダ公使、デトロイド総領事、そしてレバノン特命全権大使、と歴任する中で自分の誇れる仕事は、ほとんど思いつきもしない中でたった1つ南アメリカのアパルトヘイトと戦ったことだと著者は言う。
「私はそれまでの日本の南アフリカ政策を変更し、南アに圧力をかけてアパルトヘイト政策を放棄させようとした。その結果、私は外務省を一時的に追われ、総理府(当時)の内閣安全保障室に飛ばされることになった。」
 アパルトヘイトは中学校の教科書にも載る有名で非人道的な人種隔離政策である。当時、この政策に同意していることに何人の人が気づいていたのだろうか? 日本は知らぬ間に馬鹿な政治家、外務官僚や企業のせいで「非人道国」になっていたかもしれない。さらに恐ろしいことは、この事実を公表した著者が左遷させられることである。正しい常識を持つものが疎んじられ、利益を考えることが重要視される。
 著者の「怒り」の原点はここにある。常識の無い者が頂点にいることは著者にとって耐えられない事実であったに違いない。
 1章を丸々外務省トップ批判に紙幅をあてたこと、ほとんどの人物の名前が実名で挙げられていることは、非常識な外務官僚への著者自身の気持ちを表明している。竹内行夫みたいな「利害損得」しか気にしていない上司に対する怒り、小和田恒のような人間味の無い上司に対する怒り、松永信雄のごとく組織を私物化する上司に対する怒り、著者の怒りの根源とは非常識な上司の非常識な行動なのである。
 著述の中に著者が妻に請われて夜回りをかってでるくだりがある。普段は誰も夜回りに出ようとしない公務員住宅の代表として、町内会の人々と触れあう中で著者は思う。
「高級官僚とは、このような地域活動にはまったく関心も無く経験も無い人種である。そういう官僚たちが国を動かしているのである。」
 本書は理想の外交官が持つべき資質として「常識」が必要であることを説く新しい外交官虎の巻である。ぜひ御一読いただきたい。

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