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レビューアーランキング
先月(2017年6月)

リエイチさんのレビュー一覧

投稿者:リエイチ

5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本日曜日たち

2003/12/24 00:44

惚れたかも…

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 吉田修一を初めて読んだ。都会に生きる若者の生活が、リアルに、特別に奇をてらうこともなく、描かれていて、それが切なくて、いい味なのである。
 五つの短編で構成されているが、どの短編にも登場する兄弟がいて、背景のひとつでしかなかったような兄弟が、本を読み進めていくうちに、だんだんと存在感を増してきて、最後の短編で重要な役割を果たしてくる。
 そして、切ないばかりだったこの短編集の最後に、「ほっとする締め」を与えてくれるのだ。「いいなあ、吉田修一」と思った。読後のほのぼのとした感じ、久しぶりだ、こういう感動。
 生きていくって、いいことばかりではない。むしろ、いやなこと、落とし穴の多い人生だ。そういう思いをしながら、でも、人は生きていく。傷はいつか癒えるし、またいいことに出会うこともある。そう思える本だ。惚れてしまったかも。吉田修一に。

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紙の本笑う招き猫

2004/04/04 22:39

中高校生推薦図書にしたいくらいの青春小説

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 読んでいるうちに女性漫才コンビ「北陽」を思い出した。表紙の絵も心なしか二人に似ている。
 ヒトミとアカコという27歳の女性コンビが実力派漫才師を目指す話だ。
 はっきりとした目的意識と強い信頼感で結ばれている二人が、セクハラにも負けず、貧乏にも負けず、「恋したい、おしゃれしたい」という女心を捨てて、スター街道を上っていく。Hシーンもないし、前向きで、それほど悲惨じゃなくて、元気になれる、健全な青春小説、という感じ。
 二人を取り囲む、祖母やオカマの白峰、マネージャーの永吉もみんな骨太で善良、作中でアカコが披露する自作の歌がまたおもしろくて、安心して楽しんで読め、爽快感さえあった。
 これなら、本になじみのない中・高校生にも薦められそうです。

 

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紙の本魔女の息子

2004/01/25 12:11

誠実な小説

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「魔女の息子」というから、ファンタジーかと思ったら、いきなり冒頭から男同士の濃厚なファックシーンです。お母さん方、くれぐれも、題名だけ見て、子供に本を与えないように…。

 しかし、ここで本を閉じてはいけない。グロイとも言えるセックスシーンを、ポーカーフェイスでやり過ごせば、「生きる」意味にまじめに取り組んだ、稀に見る誠実な小説に出会えることになるのですから。
 主人公は、同性愛者であること以外は、しごくまともで、普通の39歳独身男性。酒乱だった父へのわだかまり、父亡き後、新しい恋を謳歌する母親への思い、家を出て、結婚して新しい家庭を築いている兄への違和感—を抱えている。家族との葛藤、という点では、最近増えている中年の独身男性など、身につまされる話ではないだろうか。
 
 家族だけでなく、登場人物全ての人物描写がリアルで、生き生きしていて、それぞれが自分の抱える問題を前向きに決着させようとする展開にどんどん引き込まれる。
 
 父親に遠慮しながら生きてきて、父親の死後、自由と恋愛を謳歌する母親のゆるぎない生き方が特にいい。偽善という派手なスーツを着た女性運動家に、ラストで母親が言い放つ言葉の迫力っていったら!
 
 えげつないだけのテレビドラマより、やっぱり「小説」の方が上等! そう思える一冊だ。

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紙の本ハリガネムシ

2004/01/18 23:47

暴力の博覧会

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 暴力の博覧会である。
 虫を殺す暴力、風呂屋で放尿する暴力、リンチする暴力、それをもみ消す暴力、陰核を切り取られる暴力、生徒の窮地を放置する暴力、親が子を見捨てる暴力……。この本一冊の中の暴力を数え上げていたら丸一日はかかるだろう。
 さらに暴力の連鎖もある。ソープ嬢を蔑みながらいたぶる高校教師の暴力、その高校教師とソープ嬢をいたぶる若者たちの暴力、若者たちの中には、教師がかつて窮地に放置したままの生徒の姿があったし、教師にひどい目に遭わされても懲りないソープ嬢は、自分を慕うやくざの男に冷酷だ。

 主人公の高校教師は、ある日出会ったソープ嬢と共にどんどん堕ちていく。頭の悪い、暴力に麻痺した女の言動が、男をどんどん、投げやりで凶暴な気分にさせていくのだ。暴力の度合いはどんどん濃厚になって、けして気分のよい内容ではない。が、なぜか読後感は悪くない。凄惨な話なのだが、女の、窮地にめげないたくましさが、「人間なんて気取ってみたって、しょせんはこんなもんよ」と言っているようなのだ。

「暴力はいかん!」と普段私たちは声を大にして言うけれど、「疲れている夫を無視する暴力」や「混雑するスーパーで、駐車場を他人から奪う暴力」や、「この寒空にホームレスがいることを知っていて何もしない暴力」などを、毎日果てしなく続けている。
 いちいち悩んでいては生きていけないのである。暴力は憎むべき行為である。しかし、生きるということは、被害者になったり加害者になったりしながら、傷だらけになって前に進むことなのだと、気づかされる。
 抵抗と諦観を繰り返しながら、人は生きていくのだよ、との著者のメッセージを感じた。

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紙の本ツ、イ、ラ、ク

2004/01/01 23:23

劣情小説

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 著者はこれを「恋愛小説」だと言う。でも私は「劣情小説」だと思った。
 劣情……1、いやしい心情 2、肉情。情欲。(広辞苑)
 舞台は、主人公森本隼子とその仲間たちが小学2年生の時から始まる。小学2年生、幼児期を抜け出し、男と女の違いを意識し始め、原始的欲望のまま、自分の感情をオブラートで包む術を知らない年頃。その人がもつ1、いやしい心情 が、露骨に表れる。グループの中の統子という少女がその象徴だ。「ああ、こういう、いやらしい、粘着質な子、いるな」と思わせる。不快指数が高まる。
 小学校時代から、中学で、隼子が若い男性教師とカンケイをもつまでの前半は、まさに2、肉情、情欲の世界。ほのかな性欲の芽生え、公然と、体をさわりまくる体育教師。それをいやだと思いつつ、抗議することもせず、我慢する少女たち。(もし、自分の娘がこんなことをされたら、絶対教育委員会に訴える!)       
 小学校時代から「ソウジュク」だった隼子は家庭環境による寂しさゆえか、好きな歌手の歌詞に刺激されて、妄想たくましい少女に成長していた。そして、教師を誘う。たいして好きではなかったはずなのに…。
 作者は恋愛小説というが、始まりを見る限り、ふたりは性欲から始まり、それからそのカンケイが恋になったという話だ。だから、前半は「劣情小説」。
 後半、ふたりの関係がばれそうになって、別れてからの話は、ぐっと落ち着いて、恋愛小説らしくなってくる。なにより、前半のエロ描写では、作者のほとばしる興奮が、こちらに伝わってくるような、文体乱れまくりの文章だったのが、後半になるとしっとりと落ち着いてくる。そういえば、「ひと呼んでミツコ」も前代未聞の型破りな文体だった。
 著者の、執筆中の興奮が伝わってくる小説なんて、そうはない。いやはや、これは姫野カオルコ自身の「劣情」小説だ。

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